30日、国連の人種差別撤廃委員会は日本の人権状況と政府の取り組みをまとめ、勧告を公表しました。
その中で、米軍基地の問題を「沖縄への差別問題」「沖縄の人権問題」として取り上げ、民間地域での米軍機の事故に関して琉球・沖縄の人びとが直面している課題のみならず、沖縄の女性に対する暴力の報告にも懸念しているとして、琉球・沖縄の人びとに適切な安全と保護を確保し、加害者に対する適切な起訴と有罪判決が確実になされることを締約国が保証するよう勧告するとしました。
これは要するに不平等極まりない日米地位協定の見直しに向けた取り組みを行うよう、日本政府に要求したものです。
日本政府はこれまで国連の人権理などが日本の検察制度などについて何度改善を勧告しても、その都度「問題はない」と木で鼻を括るような回答を繰り返して来ました。それは、アメリカの言うことなら、「カラスをサギと言い、黒を白と言う」ことでも何でも受け入れるのとは対照的な「ふてぶてしさ」でした。
しかし、この「日米地位協定の見直し」については、8月14日に全国知事会からも具体的に要求が出されたばかりであり、この世界一遅れている協定の見直しはもはや避けることは出来ません。
国連人権理や人種差別撤廃委などの 言わば良識の府の勧告を常に無視し、史上空前の侵略国家であるアメリカの言い分にのみ従っていては国がまともになる筈がありません。
安倍政権は今度こそ大いに悔い改めてこの問題に取り組むべきです。
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国連が「沖縄への基地集中は差別」と日本政府に勧告!
沖縄の民意を無視し辺野古移設強行する安倍政権に国際社会もNO
LITERA 2018年9月1日
昨日8月31日、沖縄県が辺野古の埋め立て承認を撤回する通知書を沖縄防衛局に提出した。今月8日に死去した翁長雄志知事が7月に承認撤回の手続きに入ったことを発表していたが、これは翁長氏の遺志であると同時に、前回知事選で県民が翁長氏に託した「辺野古新基地反対」という意思だ。
政府は撤回の執行停止を申し立てる方針だといい、沖縄の民意を踏みにじる政治姿勢をあらためる様子はまったくない。だが、こうした政府の姿勢に、国際社会が厳しい目を向けている。8月30日、国連の人種差別撤廃委員会は日本の人権状況と政府の取り組みをまとめ、勧告を公表。同委は米軍基地の問題を「沖縄への差別問題」「沖縄の人権問題」として取り上げたのだ。
まず、今回の勧告では、同委や他の人権機関から琉球・沖縄の人びとを「先住民族」と認めて権利の保護するよう勧告を受けてきたにもかかわらず、政府がその勧告を受け入れていない状況への懸念を示した上で、こう続けている。
〈米軍基地の存在により、民間地域での米軍機の事故に関して琉球・沖縄の人びとが直面している課題のみならず、沖縄の女性に対する暴力の報告にも懸念している〉
〈当委員会は、女性を暴力から守ることを含め、琉球・沖縄の人びとに適切な安全と保護を確保し、加害者に対する適切な起訴と有罪判決が確実になされることを締約国が保証するよう勧告する〉(翻訳は編集部による)
米軍機の事故や繰り返され続けている女性への暴力に対して、日本は適切に対応するように ─ 。ご存じの通り、沖縄では米軍機の墜落事故をはじめ、小学校や保育園への落下物事故が相次いでいる。さらに2016年には米軍属の男による女性殺害・死体遺棄事件も起こった。だが、こうした事故・事件が発生しても、安倍政権はまったくと言っていいほど対応策を取ってこなかった。これを国連は問題視しているのだ。
しかも、この勧告では、〈加害者に対する適切な起訴と有罪判決が確実になされることを締約国が保証する〉ことを求めている。これは殺人などの凶悪事件やヘリ墜落などの大事故が起こっても日米地位協定に阻まれて捜査の主導権すらもてない状況を指摘するもので、つまりは不平等極まりない日米地位協定の見直しに向けた取り組みをおこなうよう、日本政府に要求していると言っていい。
そもそも、同委では2010年にも沖縄への米軍基地の集中について「現代的な形の人種差別」と認定、「沖縄における不均衡な米軍基地の集中が住民の経済的、社会的、文化的権利の享受を妨げている」と指摘し、適切な対策を取るよう勧告していた。だが、日本政府はこうした沖縄の状況に対する勧告に対してことごとく聞く耳をもたず、時に開き直って正当化してきた。
実際、国連人権理事会の特別報告者であるデービッド・ケイ氏は昨年、辺野古の新基地建設反対運動をリードしてきた沖縄平和運動センター・山城博治議長が逮捕・長期拘留されたことについて「不均衡な重い罪を科している」「抗議行動を萎縮させる懸念がある」と指摘。ケイ氏を含む3名の専門家らは日本政府に懸念を示した文書を送っていたが、日本政府の回答は「適切に対応した」「主張は完全に間違っている」というふてぶてしいものだった。
そして、政府は沖縄を無下にするだけでなく、沖縄の状況を世界に発信した翁長知事にも刃を向けた。
翁長知事は国連で「沖縄の人々の自己決定権や人権が蔑ろにされている」と訴えていた
翁長知事は2015年、国連人権理事会において英語でスピーチをおこない、基地問題は人権問題であると訴えた。
「沖縄県内の米軍基地は、第二次世界大戦後、米軍に強制接収されて出来た基地です。沖縄が自ら望んで土地を提供したものではありません。沖縄は日本国土の〇.六%の面積しかありませんが、在日米軍専用施設の七三.八%が存在しています。
戦後七〇年間、いまだ米軍基地から派生する事件・事故や環境問題が県民生活に大きな影響を与え続けています。
このように沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされています。
自国民の自由、平等、人権、民主主義、そういったものを守れない国が、どうして世界の国々とその価値観を共有できるでしょうか」
「私は、あらゆる手段を使って新基地建設を止める覚悟です」(翁長雄志『戦う民意』KADOKAWAより引用)
「間違っているのは私たちなのかどうか、沖縄の置かれた状況を世界の人々がつぶさに見て判断してほしい」──そうした思いから翁長知事は演説をおこなったが、しかし、この行動に菅義偉官房長官は「強い違和感を持っている」などと噛みつき、こう言い放った。
「19年にわたって多くの沖縄県関係者の協力を得ながら適正な手続きで進めてきた。そうしたことを踏まえない翁長知事の主張は国際社会で理解されないと思う」
県民が選挙で「辺野古新基地建設反対」という明確な民意を示したのに、菅義官房長官は話し合いを求める翁長知事の面談を繰り返し拒否。その上、安倍政権は基地反対運動を強権的に排除する姿勢を強め、挙げ句、「翁長知事の主張は国際社会で理解されない」と断じたのだ。
しかし、今回の国連人種差別撤廃委の勧告が示すとおり、「国際社会で理解されない」のは、自国民を蔑ろにする安倍政権の姿勢のほうなのである。
今回出された勧告に法的拘束力はないとはいえ、日本は人種差別撤廃条約の締結国であり、勧告を無視することは国際社会からの不信をさらに強めることになる。これは日本に対する重大な警告だ。
だが、それでも安倍政権は沖縄に「国に楯突くな」と言わんばかりに、基地の押し付けという苦痛を与えつづけていくことははっきりしている。沖縄では9月30日に知事選の投開票がおこなわれるが、この選挙が沖縄の分水嶺となることは間違いない。(編集部)