6月12日の第1回米朝首脳会談に引き続き、第2回目も近く行われる雰囲気です。
それなのに日朝首脳会談の方はいまだにその見通しすら立っていません。日本政府は北が応じないからと述べていますが、本当にそうなのでしょうか。
今月中旬に行われた南北首脳会談で、金正恩委員長は文在寅大統領に「適切な時期に日本と対話をして、関係改善を模索する用意がある」旨のメッセージを託し、それは日韓首脳会談で安倍首相に伝えられました。ところがそれを受けた安倍氏は「北朝鮮との相互不信の殻を破り、金正恩委員長と直接向き合う用意がある」と紋切り型の対応でやり過ごしたということです。
要するに安倍氏には「日朝対話を行う決断ができていない」ということで、国際ジャーナリストの太刀川正樹氏は、
「安倍首相は腹を決めて交渉に臨む覚悟ができておらず、日朝対話の再開を少しでも先延ばしにしたいのではないか」
と述べています。一体何を惧れているのでしょうか。たとえどんな理由であろうとも、日朝首脳会談を忌避するなどということはあり得ない話で、国民は納得しません。
ところが金正恩氏は、安倍首相が本心では日朝対話の再開を望んでおらず、「求心力を維持するための方便に過ぎない」と見抜いているということです。これでは、日朝首脳会談どころではありません。自分の体面だけを考えて行動する、不正直で不誠実な人間が必然的に招いた破綻です。
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北「対話用意」に右往左往…安倍首相“やってる感”でドツボ
日刊ゲンダイ 2018/09/28
拉致被害者家族の期待は高まる一方だが、安倍首相はどう応えるつもりなのか。「適切な時期に日本と対話をして、関係改善を模索する用意がある」という北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の発言が波紋を広げている。国連総会が開催中の米ニューヨークでは26日午前(日本時間27日未明)、河野外相が李容浩外相と「約20分間」「着席した形」で会談したと大ハシャギだったが、雲行きは相当に怪しい。
金正恩の発言は今月中旬の南北首脳会談で文在寅大統領に託されたもの。日朝外相会談に先立つ日韓首脳会談で文在寅が安倍に伝えた。金正恩は史上初の米朝首脳会談でも「安倍首相と会う可能性がある。オープンだ」と言及していて、さらに踏み込んだ格好だ。ところが、これを受けた安倍は「北朝鮮との相互不信の殻を破り、金正恩委員長と直接向き合う用意がある」と紋切り型の対応でやり過ごしたという。日朝対話にまったくヤル気が見えないのだ。
拉致問題に詳しい国際ジャーナリストの太刀川正樹氏は言う。
「拉致被害者12人全員の帰国を“公約”する安倍首相と、ストックホルム合意に基づく再調査でも〈8人死亡、4人未入国〉とする北朝鮮の主張は平行線をたどっている。日朝関係が再び動き始めれば、この問題は絶対に避けて通れません。安倍首相は腹を決めて交渉に臨む覚悟ができておらず、日朝対話の再開を少しでも先延ばしにしたいのではないか」
金正恩にしたって、膠着状態の米朝交渉を進展させるので手いっぱいだ。にもかかわらず、安倍首相に“秋波”を送る意図はどこにあるのか。
「金正恩氏は、安倍首相は本心では日朝対話の再開を望んでいないし、求心力維持の方便に過ぎないと見抜いています。あえて対話のドアを開くことで安倍氏を追い込み、減らず口を塞いでやろうという思惑なのです」(日朝関係筋)
金正恩に揺さぶられているわけだ。渡米前に拉致問題の「国民大集会」に出席した安倍首相は、「最後は私自身が金正恩委員長と直接向き合わなければならない。これを行う以上は、拉致問題の解決に資するものにしなければいけない」とまた大口を叩いていたが、“やってる感”を振りまいているだけ。ウソ八百の「外交の安倍」に拉致問題の解決はムリだ。