2018年9月11日火曜日

北 抑制的な軍事パレードに トランプ氏「ありがとう」とツイート

 9日北朝鮮建国70年記念日軍事パレードでは、ICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイルを登場させず、中朝の緊密な関係内外に誇示したものの、恒例の委員長の演説はありませんでした。
 北朝鮮指導部としては、非核化をめぐるアメリカとの協議が難航していることを踏まえて、アメリカを刺激して協議をさらに難しくしないよう抑制的な内容にしたものと見られます。
 
 金正恩委員長は、中国共産党最高指導部のメンバーと会談、「われわれはアメリカとの合意を堅持していて、アメリカにも相応の行動をとってほしい」と述べるとともに、中国側に北朝鮮の立場への理解を求めました。
 
 アメリカのトランプ大統領はツイッター、このパレードについて「テーマは平和と経済発展だった。専門家は、北朝鮮が非核化の約束をトランプ大統領に示すため、核ミサイルを登場させなかったと考えている。これは大きく、とても前向きな北朝鮮の意思表示だ」「ありがとう、キム委員長。われわれ2人はみんなが間違っていると証明するだろう!」と書き込みました
 2か月後の中間選挙をにらみ、6月の米朝首脳会談で合意した非核化に向け、順調に進むための基盤ができていることを強調したものと見られます。
 
 トランプ・金両氏の間にそれなりの信頼感が存在していることは喜ばしいことです。
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北朝鮮 建国70年で軍事パレード ICBM級は登場せず
NHK NEWS WEB 2018年9月9日
北朝鮮は9日、建国70年の記念日を迎えて軍事パレードを行いました。ただ、ICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイルを登場させなかったほか、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は演説せず、非核化をめぐるアメリカとの協議が難航していることを踏まえて、抑制的な内容にしたものと見られます。
 
北朝鮮は9日午前、建国70年に合わせてピョンヤン中心部で軍事パレードを行い、航空機が赤い煙を出して上空に「70」という数字を描いたり、戦車や迷彩服姿の兵士らが行進したりし、国威の発揚を図りました。ただ、北朝鮮が核弾頭を搭載してアメリカ本土まで届くと主張しているICBM級のミサイルは登場しませんでした。
また、キム・ジョンウン委員長は参観したものの、演説はせず、代わりにキム・ヨンナム最高人民会議常任委員長が「社会主義の勝利に向かってすべての国民が進軍を加速させている」などと述べるにとどまりました。
 
このように、今回の軍事パレードは全体的に抑制的な内容で、北朝鮮指導部としては、非核化をめぐるアメリカとの協議が難航していることを踏まえて、アメリカを刺激して協議をさらに難しくしないよう配慮したものと見られます。
一方、キム委員長は、中国の習近平国家主席の特別代表として訪朝している全人代=全国人民代表大会の栗戦書委員長と並んで軍事パレードを参観し、栗委員長の手を取って高く掲げるなど、中朝の緊密な関係を内外に誇示しました。
(中 略)
専門家「一方的に譲歩せずというメッセージ」
9日の軍事パレードについて、北朝鮮情勢に詳しい南山大学の平岩俊司教授は、アメリカに対する配慮を示しつつ、非核化の進め方で一方的な譲歩はしないというメッセージを伝える狙いがあったと見ています。 (中 略)
キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が中国の全人代=全国人民代表大会の栗戦書委員長と手を取り合ったことに関しては、「北朝鮮は、安心して核を放棄できる環境を作る終戦宣言について、アメリカがもっと真剣になるべきだと考えている。そこで、『朝鮮戦争に参戦した中国も戦争の終結を願う思いは同じだ』と示したかった」と指摘しました。
こうした硬軟両方の姿勢を踏まえて、平岩教授は、北朝鮮指導部の意図について、「アメリカと十分に話し合う用意はあるものの、非核化は自分たちが一方的に譲歩するものではないとも訴えたかった」と分析しています。
 
 
北朝鮮 キム委員長「アメリカも相応の行動を」
NHK NEWS WEB 2018年9月9日
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は、中国共産党の最高指導部のメンバーと会談し、「われわれはアメリカとの合意を堅持していて、アメリカにも相応の行動をとってほしい」と述べ、非核化をめぐる米朝の協議が難航する中、中国側に北朝鮮の立場への理解を求めました。
 
中国国営の中国中央テレビによりますと、北朝鮮のキム委員長は9日、建国70年の記念日に合わせてピョンヤンを訪れている、中国共産党の序列3位で全人代=全国人民代表大会の栗戦書委員長と会談しました。
この中で、栗委員長は、朝鮮半島の非核化の問題について「北朝鮮の積極的な努力を高く評価する。北朝鮮とアメリカが首脳会談の合意を実行することを望む」と述べ、中国としても建設的な役割を発揮したいとの考えを示しました。
これに対して、キム委員長は、核実験場を閉鎖したことなどを念頭に、「われわれは、アメリカとの首脳会談の合意を堅持し、そのための措置をとった。アメリカにも相応の行動をとって政治的解決のプロセスを進めてほしい」と述べたということです。
 
キム委員長としては、米朝の協議が難航する中、中国側に北朝鮮の立場への理解を求めるとともに、トランプ政権に対して朝鮮半島の終戦宣言の早期実現など北朝鮮側の要求に応じた対応を求める狙いがあるとみられます。
 
 
トランプ大統領 北朝鮮軍事パレードを評価
NHK NEWS WEB 2018年9月10日
アメリカのトランプ大統領は、北朝鮮が9日に行った軍事パレードでICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイルを登場させなかったことなどについて「とても前向きな意思表示だ」とツイッターに書き込み、評価する考えを示しました。
(中 略)
このパレードについて、トランプ大統領は9日、ツイッターに「いつものような核ミサイルの披露がなかった」と書き込み、核弾頭を搭載してアメリカ本土まで届くと北朝鮮が主張しているICBM級のミサイルを登場させなかったことを評価する考えを示しました。
そのうえで、「テーマは平和と経済発展だった。専門家は、北朝鮮が非核化の約束をトランプ大統領に示すため、核ミサイルを登場させなかったと考えている。これは大きく、とても前向きな北朝鮮の意思表示だ」として、北朝鮮がトランプ大統領を意識してパレードを抑制的な内容にしたと強調しました。
そのうえで、「ありがとう、キム委員長。われわれ2人はみんなが間違っていると証明するだろう!」と書き込んでいます。
 
トランプ大統領としては、2か月後の中間選挙をにらみ、史上初の米朝首脳会談で合意した非核化に向けた交渉が難航しているという批判をかわす狙いがあるとみられます。