2018年9月13日木曜日

13- 徹底比較 安倍晋三と石破茂 (14)

 日刊ゲンダイの連載記事:「徹底比較 安倍晋三と石破茂 (14)」を紹介します。
 
 ここでは対米関係における両者の違いが語られています。
  安倍氏の外交は、全て自分にとってプラスかマイナスなのかが基準になっていて、米国に対しては100%米国とともにある」が基軸で、そうした方が摩擦がなくだからとされています。しかしそれでは米国の利己的な要求から日本の国益を守れないことは、いまや全ての国民の知るところとなりました。
 一方 石破氏は、同じく日米同盟は必要という立場ですが、同盟は対等な関係でなければならず、過剰に日本側が負担している片務的な現状や、日米地位協定見直すべきであるとしています。ごく当たり前の主張です。
 
 対談者の鈴木哲夫氏、野上忠興氏のプロフィールについては、連載1回目
      ⇒ (8月26日)徹底比較 安倍晋三と石破茂 (1)、(2)
を参照ください。
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 徹底比較 安倍晋三と石破茂 (14)  
対米外交で安倍は100%米国とともに 石破は言うことは言う
日刊ゲンダイ 2018年9月13日
鈴木 石破は日米同盟は絶対に必要だと思っている。ただし、同盟は対等な関係でなければならず、過剰に日本側が負担している片務的な現状は見直す必要があるし、日米地位協定も見直すべきであると言っています。日米関係についても対等であるべきという考え方で、先日、トランプが来日した時に米軍横田基地から入国したことについて、石破は怒っていましたね。米大統領が、日本という独立した国家に入ってくるのは、東京なら羽田空港か成田空港のはずです。それを大統領専用機のエアフォースワンで勝手に横田基地に降りた。それなのに日本政府は自衛隊を何百人か横田に行かせて、米軍の兵士と一緒にトランプの話を聞いていた。これはもう植民地ですよ。言うべきことは言わなきゃいけないし、けじめはつけなきゃいけない。それが石破の米国との向き合い方です。日米同盟は必要だというところまでは安倍と同じですが、そこから先が違います。
 
野上 安倍の外交はすべて「実利主義」で、自分にとってプラスかマイナスなのかが基準になっているともっぱらです。米国の言うことを聞いていれば、「楽」でいいしマイナスにはならないとみるのでしょうね。下手をすれば、例えば関税の問題にしても厳しい態度に出られる恐れがありますから。トランプの要求する「バイアメリカン」に従う態度がその典型です。大量に米国製の兵器を購入し、2500億円もかけて陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」2基を買う。それも北朝鮮情勢が変化してきている時に。独立国日本としての矜持は、どこに――と思ってしまいますが。安倍が敬愛してやまないおじいちゃんの岸にしても、日米安保条約が内包していた不平等な片務性の解消に動き、米国相手に“ケンカ”をしていますからね。
 
鈴木 石破は「日米の国益が一緒なわけはない」と言っています。信頼関係をつくるのは大事。そのために外交では、先方が喜ぶようなことも一生懸命やる。しかし信頼関係は、ただ仲良くすることではない。きっちりものを言える、言うべきことを言える関係をつくるために、信頼関係を造成しなければならないと考えている。外交というのは国益と国益のぶつかり合いです。有益な議論をするために、信頼関係をつくるということです。安倍もトランプと「強固な信頼関係」ができているということですから、もっとものを言えばいいのですが。
 
野上 安倍は「100%米国とともにある」が外交の基軸なのでしょう。その方が摩擦もなく従って、楽でしょうから。安倍は何カ国訪問して、何百キロ飛行して、何人と会ったとか、よく勲章のように自慢げに「数字」を口にしますが、私が外務省キャップ時代に外相だった晋太郎から再三聞いた「外交のキモのひとつは、国益に結び付けるために無から有へ何かをつくり、生み出すために懸命な努力をすること」の言葉を返したい気持ちになります。 (つづく・敬称略)