2018年9月9日日曜日

「板門店宣言を国連の公式文書に」と要請

 北朝鮮の国連代表部は7日、4月に金正恩委員長と文在寅大統領との南北首脳会談で合意した「板門店宣言」国連の公式文書として全加盟国に配布するよう国連に要請したことを明らかにしました。
 因みに北朝鮮と国交を結んでいる国は164か国に達していて、国交を結んでいないのは日、米、台湾、フランス、イスラエルなどで少数派となっています。
 
 板門店宣言は、朝鮮半島の完全非核化年内に朝鮮戦争の終結を宣言することなど明記されているので、米国との非核化協議が難航する中、対話路線に転じたことを国際社会にアピールし、終戦宣言を受け入れるよう米国に迫る狙いがあると見られます。
 日本などの親米国派は北朝鮮の脅威をあげつらう(論う)のに急で、朝鮮戦争の終結宣言を行うことに反対していますが、「休戦」が行われてから既に半世紀以上(65年)も経過しているのに何故戦争の終結に反対しなくてはならないのか、不可解というしかありません。
 
 核やミサイルの問題をそれに絡めることには理がなく、むしろ朝鮮戦争を終結させ北が米に対して抱いている不信感を取り除くことこそが、そうした問題の解決を促進することつながる筈です。
 東京新聞などが、文在寅大統領のブレーンである、文正仁・外交安保特別補佐官にインタビューした記事も併せて紹介します。
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北朝鮮 「板門店宣言を国連の公式文書に」要請
毎日新聞 2018年9月8日
 【ニューヨーク國枝すみれ】北朝鮮の国連代表部は7日、4月に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との南北首脳会談で合意した「板門店(パンムンジョム)宣言」について、国連の公式文書として全加盟国に配布するよう国連に要請したことを明らかにした。代表部の発表文によれば、要請の書簡には南北両政府の代表が署名しており、国連事務総長と総会議長宛てで6日に提出された。 
 
 板門店宣言は、朝鮮半島の完全非核化を実現することや、年内に朝鮮戦争(1950~53年)の終結を宣言することなどを明記している。北朝鮮の今回の発表には、米国との非核化協議が難航する中、対話路線に転じたことを国際社会にアピールし、終戦宣言を受け入れるよう米国に迫る狙いがあるようだ。 
 発表文は、板門店宣言を公式文書として配布することで「南北が関係強化を続け、平和に向けた新局面が始まったことを示せる」と強調。また、国連加盟国が板門店宣言の実行を積極的に支持することが「朝鮮半島の緊張緩和と平和に向けた劇的な変化を支える」と訴えている。.
 
 
「年内の終戦宣言は可能」 文在寅大統領のブレーン
東京新聞 2018年9月7日
 3回目の南北首脳会談実施が決まり、朝鮮半島非核化を巡り停滞する米朝交渉を後押しできるか、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の仲介役としての役割が注目される。大統領のブレーン、文正仁(ムンジョンイン)・外交安保特別補佐官は6日、東京新聞などのインタビューに応じ、首脳会談では米国と中国、南北による終戦宣言に向けた具体策を協議するとの見方を示した。 (ソウル・境田未緒、写真も)
 
 -大統領特使団の訪朝結果をどうみるか。
 「相当に肯定的な意味がある。米国では北朝鮮の非核化の意思に対する猜疑心(さいぎしん)が大きいが今回、正恩氏は非核化の意思を鮮明にした。これまでの二回の南北首脳会談、シンガポールでの米朝首脳会談でつくられた対話と非核化のモメンタム(勢い)がよみがえった」
 
 -正恩氏はトランプ氏の任期内に完全な非核化をすると言った。
 「完全な非核化は凍結から申告、査察、十分な検証、廃棄、核科学者や技術者をどうするかまでがあり、相当な時間がかかる。任期内の完全な非核化は難しいのでは。ただプルトニウムなどの生産施設を完全廃棄したり、現在ある核兵器や核弾頭の海外搬出、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を可視的に廃棄するといったことは可能だ」
 
 -終戦宣言と非核化の順番で米朝間に争いがある。
 「北朝鮮は終戦宣言を先に、米国は申告や査察を先にと主張。韓国は『同時にできないか』と。十八日からの会談で両首脳がじっくり話せば解決策が見つかるのでは。文在寅氏はトランプ氏がチーフネゴシエーターと言うほど米朝両首脳の厚い信頼を受けている
 
 -年内の終戦宣言は可能か。
 「国連総会では無理になったが『戦争状態を終わらせる』という点で指導者らは一致している。終戦宣言は在韓米軍や米韓同盟への影響もない。韓国は中国も合わせた四者での終戦宣言を目指している。機会としてアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などがあり、米国はペンス副大統領がいればできる」