2018年9月11日火曜日

11- 地震対応で過剰演出の安倍首相 「国民は違和感」を知らない

 パフォーマンスにこだわり、北海道大地震への対応で存在感をアップさせたい安倍首相は、インフラの復旧状況ばかりでなく、安否情報やコンビニなどの小売店動向まで事細かに発信し、ついには「天気予報」にまで言及して、国民から失笑を買っています。
 
 国民は、従来警察や消防などが発表していた安否情報を首相自ら発表したりすることに過剰な“やってる感”の演出を感じ、違和感を持っているわけです。安倍首相の思惑は裏目に出ているわけで、そのことが分からなければ、もはやそれまでです。
 
 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は今、求められているのは、相次ぐ災害に対処する補正予算の編成です。2カ月前の西日本豪雨時から、野党は臨時国会開会を求めていますが、安倍首相は逃げ回り、予備費支出でお茶を濁してきました」と述べています。
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地震対応で過剰演出 “天気予報”まで始めた安倍首相の墓穴
日刊ゲンダイ 2018年9月10日
 3選を狙う自民党総裁選(20日投開票)の論戦はそっちのけで、安倍首相が北海道胆振東部地震に前のめりになっている。災害対応を理由に総裁選の活動を3日間自粛。その間、安倍首相はインフラの復旧状況ばかりでなく、安否情報やコンビニなどの小売店動向まで事細かに発信するなど、存在感アップに躍起で、ついには「天気予報」にまで言及して失笑を買っている。9日は現地入りし、平均15分ペースで被災地を駆け足視察。“やってる感”の過剰演出にはウンザリだ
 
■NHKは「安倍首相が」「安倍首相が」
 総裁選の票固めのため、西日本豪雨の最中に「赤坂自民亭」と称する酒宴に参加して批判を浴びた安倍首相の対応は、段違いにスピードアップしている。
 胆振東部地震の発生1分後には、官邸の危機管理センターに官邸対策室が立ち上がり、2分後に安倍首相が被害状況の把握や被害者の救助徹底を指示したと報じられた。その後は一日2回ほど関係閣僚会議を開催し、最新情報の伝達や対応を指示。安倍ヨイショ報道が板についたNHKがその様子を垂れ流す。
 
「安倍首相“16人死亡 26人安否不明”」「安倍首相“16人死亡 多数の重軽傷者”」「安倍首相“応急的な住まい確保に早急に取り組む”」「安倍首相“あす中にほぼ全域で停電解消の見込み”」などと、あらゆるニュースに「安倍首相」を盛り込み、“リーダーシップ”を強調している。
 
 そうした中、話題になっているのが、7日午前の関係閣僚会議に関するNHKの放送だ。安倍首相が「被災地では本日午後から明朝にかけて雨が降る見込みです。家屋の倒壊や土砂災害の恐れもありますので、今後の地震活動や天候の状況に引き続き警戒を続けて下さい」と言及し、これをNHKが繰り返しオンエア。
 
 SNS上で〈総裁選のために関係ないところでパフォーマンス〉〈毎日の天気予報も安倍がやれ〉〈地震発生も天気予報も時報も安倍首相から発表されるようになる〉などと揶揄され、〈印象操作する安倍はNHKを私物化している〉と批判を集めているのだ。
 
 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は言う。
「従来、警察や消防などが発表していた安否情報を首相自ら発表するのにも、非常に違和感を覚えます。官邸主導や首相のリーダーシップをアピールする思惑でしょうが、その結果、死亡者数を訂正する騒ぎが起きた。過剰な“やってる感”の演出でその思惑は台無しだし、かえって逆効果です。今、求められているのは、相次ぐ災害に対処する補正予算の編成です。2カ月前の西日本豪雨時から、野党は臨時国会開会を求めていますが、安倍首相は逃げ回り、予備費支出でお茶を濁してきました」
 
 西日本豪雨による被災地復旧に投じられた予備費は追加され、約1700億円に膨張。ここにきてようやく1兆円規模の補正予算編成が浮上したが、臨時国会の開会は10月19日ごろの見通しだという。1カ月以上も先だ。
 結局、安倍首相の頭にあるのは総裁選圧勝だけなのがアリアリだ。延期された所見発表演説会や共同記者会見は、10日実施。安倍首相の“やってる感”に決してダマされてはいけない。