2019年3月11日月曜日

辺野古の工期 最短でも13年 膨らむ工費 沈下は防げず

 政府が強行している辺野古新基地工事は、新たに軟弱地盤の地盤改良工事が加わるので、当初8年とされていた工期は13年以上に延びます。
 その内訳は、海上からの地盤改良(砂杭63万本)-3年8か月、浅瀬の地盤改良(砂杭14万本)-約1年で計約5年、埋め立て工事ー最短5年、地上の施設整備ー最短3年 です。
 以上は正味の工期であって、実際は沖縄県が設計変更を承認してからの話なので、完成までに更にどれだけ遅延するかは不明です。その責任が、県民の意志に逆らい、色々と問題があるのを承知で工事を強行しようとしている政府にあることは自明です。
 
 海面下70m~90mの軟弱地盤については深すぎて地盤改良が出来ないことは政府も認めています。それで急遽海面下70m以下の地層は固い粘土層だと言い出しましたが、そんなウソはとても通用しません。
 
 同じ様に深部の地盤改良が出来なかった関西空港は、いまも毎年10センチずつ沈下しています。辺野古がどれほどの沈下量になるのかは実際に工事をしてみないと分かりません。
 政府は移設を進める理由として、一貫して(いまも)「普天間飛行場の一日も早い返還」のためには辺野古に移設するしかないと口にしていますが、13年以上も掛かるというのにそれがどうして「1日も早く」につながるのか・・、もはや大義名分は崩れています。真の意味で工事が完了するのかも不明です。
 それらを全て承知の上で「1日も早く」と言い続けているところが、隠蔽とゴマカシを旨としている安倍政権の特質です。辺野古移設は中止するしかありません。
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新基地工期 最短13年 軟弱地盤、問題次々 膨らむ工費 沈下恐れも
琉球新報 2019年3月10日
 名護市辺野古の新基地建設を巡って、軟弱地盤の問題による工事の長期化を示す事実が次々と明らかになっている。政府は地盤改良だけで工期を約5年と見込むが、そのために必要な県への計画変更申請も認められる見通しは立っていない。工期と同様に工費が膨らむことも避けられない情勢で、政府が辺野古移設を進める理由に掲げる「普天間飛行場の一日も早い返還と危険性除去」という大義名分は崩れている
 
 政府の当初予定では、埋め立て5年、その後の施設整備3年の計8年の工程が計画されていた。だが、軟弱地盤の対応が発生したことで、単純計算すると13年以上の工期がかかることになる。県が独自の試算で示した「13年」に符合する。
 
■計画変更
 防衛省の報告書で示された工程表によると、地盤改良工事は大きく分けて二つの段階がある。海上から大型作業船を使って地盤を固めるための砂杭(ぐい)6万3155本を打ち込む工事には約3年8カ月を見込む。それに加え、改良が必要な場所は大型船で対応できない浅瀬部分にも広がり、いったん埋め立てた後に砂杭1万3544本を打ち込む作業が計画される。この過程には約1年かかる。足し合わせると約5年になる。
 報告書では浅瀬部分について「海上工事に連続して施工する工程としている」と記載し、二つの改良工事は同時並行での実施を見込んでいない。
 
 これらの地盤改良は、政府が今後工事の計画変更を県に申請し、承認されてからが起点となる。2月の県民投票で辺野古新基地に「反対」の民意が改めて示され、防衛省内は「変更申請に対して知事がはんこを押すことはできないだろう」と見る。地盤改良に着手できなければその分、工期も遅れる。
 
■7・7万本
 軟弱地盤に約7万7千本の砂杭を打ち込む辺野古の改良工事に関して、防衛省の報告書には東京国際空港(羽田空港)との比較表が載っている。開会中の国会審議でも、防衛省は過去の軟弱地盤工事で羽田空港が約25万本、関西空港は1期目が約103万本、2期目が約120万本の杭がそれぞれ使われる規模だったとして、辺野古の本数の“少なさ”を強調し工事が可能だと説明している。
 だが、地盤工学が専門の鎌尾彰司日本大学准教授は「羽田空港とは埋め立て面積の規模が異なり、杭の本数が違うのは当然だ。本数よりも深さが問題で、深くなるほど工事の難度が高くなる」と語る。
 辺野古の軟弱地盤は最大で水面下90メートルの地点に達しているが、防衛省は改良が必要なのは水面下70メートルまでで、その下の地盤は「より固い粘土層」ゆえ工事は不要との立場を示している。
 
 ただ、関西空港の例では軟弱地盤が改良地点よりも深い場所に及び、現在でも年に10センチずつ沈下しており定期的に補修が施され莫大(ばくだい)な費用がかかっている。辺野古についても防衛省は完成後の地盤沈下の対策を検討しており、追加的な補修により経費がかかる可能性がある。
 鎌尾教授は「長期にわたる地盤沈下の見通しを立て、適切な対応を取らなければ安全な構造物ではなくなる」と危険性を指摘した。(明真南斗、嶋岡すみれ)