2019年3月19日火曜日

19- “高齢化”する自衛隊 「自治体非協力」発言の背景

 自衛隊員の高齢化が止まらないということです。それは自衛官の募集・採用減少しているためですが、安倍内閣が戦争法によって海外派兵を可能にしたことが、そのまま自衛隊員応募者の減少や防衛大卒業生の任官拒否につながっているためです。
 何のことはない、首相が自衛隊を明記するという9条改憲を叫べば叫ぶほど、若者の足が自衛隊から遠のいているのが真相です。
 若者は社会的な貢献や国土を守る情熱に促されて自衛隊員を志向することはあっても、米軍の手足になって海外の戦争に駆り出されることは真っ平の筈です。それを「自治体の非協力のため」に募集が進まないと非難するのは飛んだお門違いです。
 
 首相はつい先日も防衛大の卒業式で舞い上がった演説を行っていましたが、そうした態度や発言が防衛大生の感覚からも遊離し、自衛隊員募集の阻害要因になっているという自覚がないのは愚かなことです。
 しんぶん赤旗を紹介します。
 
 日刊大衆が「安倍晋三  もはや神がかりのトンチンカン」と題する痛烈な批判記事を出しましたので、併せて紹介します。
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“高齢化”する自衛隊 「自治体非協力」発言の背景
 しんぶん赤旗 2019年3月18日
 自衛隊の高齢化が止まりません。少子高齢化や慢性的な人手不足、さらに安保法制=戦争法に伴う任務の激化により、自衛官の募集・採用とも減少傾向が続いています。
 防衛省によれば、非任期制の「一般曹候補生」の2017年度の応募者数は2万9151人でした。11年には一時5万人を突破するなど、4万~5万人台で推移していました。



顕著な減少傾向
 任期付きの「自衛官候補生」の応募者数は、12年から減少が顕著になり、15年には3万人を割りました。年によって増減はあるものの、全体として減少傾向は顕著です。
 その結果、軍隊のあるべき年齢構造はピラミッド型ですが、自衛隊の平均年齢は1990年の31・8歳から2011年には35・6歳まで上がっています。
 さらに、1面報道のように、自衛隊幹部を養成する防衛大学校の18年度卒業生に占める任官辞退者数が、前年度から11人増え、過去10年間では最多の49人に達しました。
 


 こうした中、打開策の一つとして打ち出したのが、採用年齢の引き上げです。昨年10月、「自衛官候補生」「一般曹候補生」の上限を引き上げ、これまでの18~26歳を32歳に引き上げました。「予備自衛官」の年齢上限は36歳から54歳へと大幅に引き上げました。
 


個人情報の危機
 また、防衛省・自衛隊は隊員募集への自治体動員を強化。適齢者名簿の提出を自治体に要請するなどしています。採用年齢の引き上げで自衛隊が情報を求める範囲も広がるため、個人情報がより危機にさらされます。
 安倍晋三首相は、今国会で自衛官募集に関し、6割以上の自治体が「協力を拒否している」などと発言。適齢者名簿を提出しない自治体を「非協力」とみなしました。
 しかし、自治体が名簿提出に応じないのは、個人情報保護などの観点からです。法令上、名簿提出の義務もありません。さらに、防衛省によれば、名簿の閲覧・書き写しを認めている自治体が54%を占め、9割以上の自治体が何らかの形で協力しています。
 むしろ、首相が9条改憲を叫べば叫ぶほど、若者の足が自衛隊から遠のいているのが真相です。(桑野白馬、柳沢哲哉)
 
外征型への変貌反映
 明治大学特任教授 纐纈厚(こうけつ・あつし)さんの話
 自衛官の応募減少の背景には、少子化による労働人口減のほか、自衛隊そのものの変貌があります。自衛隊が専守防衛ではなく、事実上、外征型の軍隊になり、危険な戦場に送り出されるかもしれないということを、募集対象年齢の若者たちが感じているのではないでしょうか。
 自衛隊側もそのことが分かっているので、構想する定員補充もままならない状況に非常に危機感を持っています。予算は増額されていますが、それは武器購入に使われ、給与などの人件費や募集業務の経費はかなり窮屈な予算繰りをしている。自衛隊内部には、高額武器の購入よりも人件費を増やすべきだという不満もかなり出ているといいます。
 自衛隊の任務が増大する反面、自衛官が十分補充できない問題が顕在化しているもとで、政府が自治体に自衛官募集に協力するよう圧力をかけることは、半強制、つまり徴兵制に近い形に踏み込もうという議論さえ出かねません。
 
 
安倍晋三「国会ウスラバカ答弁」もはや神がかりのトンチンカン
日刊大衆 2019年3月18日
 どんどんレベルアップしている――今、こう騒がれているのが安倍晋三首相だ。いったい、何が変わったのか。その答えは、安倍首相の一連の発言にある。2月6日、参院予算委で答弁を求められた安倍首相が、こう言い放ったのだ。「私は総理大臣ですから、森羅万象すべて担当しております」
 
 森羅万象とは、〈宇宙に存在する、すべてのもの〉(三省堂辞書)。つまり、流れ星や太陽の軌道、地球上の地震から天気まで、すべてを担当しているというのだ。「これまでも安倍首相は、“私は立法府の長”と、トンチンカンな答弁(本当は行政府の長)をしてましたが、あくまでも一国の首相との認識でした。2017年11月には、“森羅万象、私が説明できるわけではない”と答弁していたのに、いつの間にか、宇宙をも統括するお偉い立場になられたわけです(失笑)」(野党中堅議員)
 
 わずか22日後には、安倍首相はさらに姿を変える。28日、衆院予算委員会で今度は、こう言い切った。「私が国家です」
 
 なんと、今度は首相自身が国になってしまったのだ。「300年ほど前、フランスの国王ルイ14世が“朕は国家なり”と宣言して、絶対君主制を敷きました。“私が国家です”発言は、安倍首相の独裁願望の表れでしょう」(前出の野党中堅議員)
 
 実は、「最近の安倍首相の発言は“饒舌”だと、危険性を指摘する声が党内から出ている」(全国紙記者)のだという。その一つが、ヤジ問題だ。「安倍首相自身が、“だから、なんだってんだ”“(自分は)選挙に5回勝ってる”と下品なヤジを飛ばしたとして、非難を浴びました。一方で、自分へのヤジには“ヤジるのだけは、やめてもらえませんか?”“誠意をもってお答えしているんですから”という身勝手ぶりです」(前同)
 
 そして2月11日には、安倍首相の「悪夢のような民主党政権」という発言が批判されたことについて(自分にも)「言論の自由がある」と、およそ最高権力者とは思えないマヌケな言い訳を披露。立憲民主党の枝野幸男代表の「総理大臣が小学校6年生並みだ。下手すると、うちの息子のほうがまだまし」との酷評につながった。
 
 口を開くたびに、トンチンカンで周囲をざわつかせる安倍首相。“森羅万象を担当する”なら、北方領土やモリカケ、普天間基地移転など諸問題の一つでも解決してほしいものだが……。