ライトハイザー米通商代表は2月27日、米議会で「日本との貿易交渉入りを3月にも始めたい」と明言しました。そのときも、交渉の対象は農産品の市場開放のほか、日本からの自動車輸入の抑制や対米投資拡大、さらには非関税障壁の撤廃、円安操作の禁止(為替条項)を求めるという内容でした。それに対して日本は、国内の政治的事情からその交渉を4月以降に延ばすように要請しました。
トランプ米大統領が19日、議会に提出する大統領経済報告を発表しましたが、そこにも 日本との間で「自由貿易協定(FTA)の交渉を始める」と明記され、農業のほかサービスも含む包括的なFTAを目指す考えが強調されているということです。
日本は昨年末、日米首脳会談で決められたものは「物品の関税に限定する物品貿易協定(TAG)」であると強調しましたが、米国がそういう認識でないことはその時点で明らかでした。TAGなどというどこにも通用しない新語は、安倍政権お得意の「偽装」です。
交渉を担当する茂木特命担当相(経済再生)は、早くも「物品に限定されるとは言っていない」と予防線を張っています。語るに落ちるものです。
東京新聞の記事を紹介します。
(関係記事)
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「日本とFTA」明記 米、サービスも交渉意欲 大統領経済報告
東京新聞 2019年3月20日
【ワシントン=白石亘】トランプ米大統領は十九日、議会に提出する大統領経済報告を発表した。日本との間で「自由貿易協定(FTA)の交渉を始める」と明記し、農業のほかサービスも含む包括的なFTAを目指す考えを強調。モノの関税に限定する物品貿易協定(TAG)と位置付ける日本側との認識の違いがあらためて浮き彫りとなった。
経済報告は一般教書、予算教書と並ぶ三大教書の一つ。政権が経済政策を立案する際のたたき台となる。
対日貿易について「豚肉や牛肉などの関税が高い」と問題視。その上で、米国が離脱した環太平洋連携協定(TPP)に加盟するオーストラリアは日本への輸出関税が低くなっているとして「日本とFTAを結べば、他の国と競争条件が公平になる可能性がある」と分析した。また、農業以外についても「サービスの関税や非関税障壁が輸出を妨げている」と言及、対日交渉に意欲を見せた。
欧州連合(EU)や英国とそれぞれFTAを締結すれば「農産品、工業品、サービス分野で貿易障壁をなくせ、米国の利益となるだろう」とも説明した。
日米貿易交渉を巡っては四月以降の開催を目指して日本政府は米側と調整を進めている。
米経済報告のポイント (原文は写真版)
・米国は日本と自由貿易協定(FTA)の交渉に入る
・日本の牛肉や豚肉の高関税を例に挙げ、FTA締結でオーストラリアなど競合国と条件が公平になる可能性があると指摘
・物品やサービスの関税や非関税障壁が米国から日本への輸出を妨げている
・日本と中国は液化天然ガス(LNG)の輸入大国で、魅力的な市場になる
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