北海道議会は6日、知事提出の「北海道主要農産物等の種子の生産に関する条例案」を全会一致で可決しました。要するに17年に突如廃止された種子法を道ベースで復活させるもので、既に制定されている山形、新潟、富山、埼玉、兵庫の各県に続き、岐阜県でも22日に同じ趣旨の条例が可決される見込みです。
日本のコメや麦の種を守る「種子法」が17年4月1日に廃止され、その廃止法と同時に成立した「農業競争力強化支援法」により、これまで県の農業試験場などが開発してきた「コメの種とその情報を民間企業に提供する」ことが義務付けられました。ここでいう民間企業は事実上グローバル種子企業のことで、これによって農産品を品種登録するためのデータが無償で得られることになりました。
政府は、次の段階で「種苗法」を改定し、今後はすべての種子を品種登録させるようにします。そうなるとグローバル企業が既成の品種をベースにしたものをいち早く登録し、農家が従来のように種苗を自家採取することが出来ないようにしてしまいます。
これがグローバル種子企業が、他国の種子・種苗の市場を独占してきたストーリーで、安倍政権は唯々諾々とその戦略に奉仕すべく既存の種子法を廃止し、次には種苗法を改定しようとしています。
前述の通り、いくつかの自治体では種子法廃止を受けて、それにかわる(事実上復活させる)条例を新たに制定することで自衛しています。
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種子法復活条例広がる 北海道議会可決 全国で6例目
安倍農政へ地方の反撃
しんぶん赤旗 2019年3月8日
安倍政権が“民間企業の市場参入を阻害する”との口実で廃止した主要農産物種子法(種子法)と同じ内容の条例づくりが各県ですすんでいます。北海道議会は6日、知事提出の「北海道主要農産物等の種子の生産に関する条例案」を日本共産党や自民、公明を含めて全会一致で可決しました。
山形、新潟、富山、埼玉、兵庫の各県に続き、六つ目です。
種子法は、自国民の食料の供給について国と都道府県の責任を明確にし、主要農産物のコメ(イネ)、麦、大豆の種子の安定した生産・普及を各都道府県に促す法律でした。北海道の条例は、主要農産物とともに小豆、えんどう、そばの種子も加えた「主要農産物等の安定的な供給及び品質の確保を図」ると明記しています。
日本共産党道議団は、条例が遺伝子組み換え農産物の栽培などを防止するもので、条例案の「民間事業者が種子生産をおこなう」とは、「農協などを前提にしたもので、多国籍企業の参入を想定していない」ことを明確にさせる知事答弁を引き出す質問をしてきました。
このほか、岐阜県は超党派の議員提出の条例案が3月議会に出されており、最終日の22日に議決される見込みです。
各県で進む種子法復活の動きについて、農民連の吉川利明事務局長は、「普通に農業をやっていれば、種子法の廃止などはあり得ないことです。廃止は日本農業と食の安心・安全を考えない安倍農政の本質です。その反撃が自民党地方議員を巻き込んで地方から始まっていると思い、心強い」と話します。