2019年3月10日日曜日

日本などに米軍駐留経費の150%を拠出させることを米が検討

 の一部メディアが8日、トランプ政権が日本やドイツなど米軍が駐留している同盟国に対し、駐留経費総額に5割を上乗せした額を支払うよう要求することを検討していると報じまし要するに実際に掛かる経費の「5割増しを出せ」ということで、驚くべきトランプ商法です。これは不平等を極めた日米地位協定からも大きく逸脱したものです。
 トランプ大統領には媚びへつらうだけの安倍首相が、そうした無謀な要求をキチンと断れるのか大いに懸念されるところです。
 
 米軍駐留経費に関する「思いやり予算」は、1978年、当時の防衛庁長官・金丸信が在日米軍基地で働く日本人従業員の給与の一部を日本側が負担すると決めたことに端を発しています。発足した当時は62億円でしたが、現在では莫大な額に跳ね上がっています。
 それを含めて18年度の日本の米軍駐留経費負担額は8022億円という、世界の中でダントツの高額に達しています。(※ 下掲のしんぶん赤旗記事参照)
 このうち辺野古新基地建設費としては、防衛省の資金計画書で約2300億円としていますが、沖縄県は総工費25500億円に達すると指摘しています。政府が辺野古基地工事を強行するのであれば、米軍向けの支出はさらに膨れあがることは確実です。
 この際、米軍の駐留が本当に日本の防衛のためになっているのかについて、根本的に考え直す必要があります。
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米軍駐留経費 日本などに5割増し要求検討か 米メディア
NHK NEWS WEB 2019年3月9日
アメリカのトランプ大統領が同盟国によるアメリカ軍の駐留経費の負担が軽すぎると主張する中、一部メディアは、政権内で日本など各国に負担の大幅な増額を求める案が検討されていると伝えました。
 
アメリカ軍が日本や韓国、ドイツなど同盟国に駐留する経費をめぐって、トランプ大統領は、各国の負担が軽すぎるとして、たびたび不満を示しています。
こうした中、アメリカのメディア、ブルームバーグは8日、トランプ政権内で、駐留にかかる経費の総額に5割を上乗せした金額を各国に要求する案が検討されていると伝えました。
それによりますと、これまで各国が負担していなかったアメリカ兵の給与のほか、空母や潜水艦の寄港にかかる費用を要求することの是非も含めて検討されているということで、中には現在の5倍から6倍の経費負担を求められる国も出るとしています。
一方で、あくまで多くの選択肢の1つで、最終的に各国への要求額は下がる可能性もあると伝えています。
 
在日アメリカ軍の駐留経費の日本側の負担、いわゆる「思いやり予算」をめぐっては、2021年度以降の負担額について今後、交渉が始まる予定で、トランプ政権内での議論の行方しだいでは日本側への要求額にも影響が出る可能性があります。
 
 
シリーズ検証 日米地位協定 在日米軍関係経費 初の8000億円台
膨らむ「辺野古」
しんぶん赤旗 2018年12月24日
 2018年度に日本政府が計上した在日米軍関係経費の総額が8022億円になり、初めて8000億円台に達したことが分かりました。昨年度を225億円上回り、4年連続で過去最高を更新(グラフ)。外務省が日本共産党の赤嶺政賢衆院議員に提出した資料をもとに本紙が計算したものです。
 
突 出
 在日米軍の兵士・軍属(6万1324人、今年9月現在)1人あたりで約1308万円に達しており、米国の同盟国でも突出しています。こうした経費負担があるから、米国は国際情勢がどうなろうと日本に基地を置き続けるのです。
 在日米軍の活動経費のうち、日本側負担分を示す在日米軍関係経費の増大の要因は、米兵・軍属の労務費や光熱水料を負担する年間2000億円規模の「思いやり予算」やSACO(沖縄に関する特別行動委員会)経費に加え、沖縄県名護市辺野古での新基地建設などで米軍再編経費が拡大したことです。
 日米地位協定24条では、日本側の米軍駐留経費負担を定めています。しかし、具体的に明記されているのは土地の賃料などに限られており、(1)思いやり予算 (2)米軍再編経費 (3)SACO経費は協定上、支払い義務はありません。18年度の在日米軍関係経費8022億円のうち、この3分野が4180億円と半分以上を占めています。
 
指 摘
 辺野古新基地建設に伴う埋め立て工事について、防衛省は沖縄県に提出した資金計画書で約2300億円としていますが、沖縄県は総工費2兆5500億円に達すると指摘しています。米軍向けの支出はさらに膨れあがる危険が大きい
 
「思いやり」いらない 第24条 解釈拡大、日本の負担が肥大
 在日米軍駐留経費の負担の在り方を規定する日米地位協定24条では、日本側の負担は施設・区域(基地や演習場)、土地の賃料や地主への補償と規定し、それ以外のすべての駐留経費は「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」としています。
 
限 界
 当初の米軍駐留経費負担は、土地の賃料に加え、基地を抱える住民自治体への“迷惑料”とも言える基地周辺対策経費、基地交付金のみでした。しかし米側は、1970年代にベトナム戦争の泥沼化などで財政が悪化すると、同盟国に「責任分担」を要求。日本政府は要求を受け入れ、「思いやり予算」(金丸信防衛庁長官)と称して78年度以降、基地従業員の福利厚生費の負担を開始しました。その後、労務費の一部や米軍の家族住宅、娯楽施設、さらに戦闘機の格納庫などといった施設建設費を負担。地位協定の解釈を拡大していきました。
 こうした拡大解釈も限界に達し、87年度には「暫定的、特例的措置」として特別協定を締結。水光熱費や従業員の基本給、空母艦載機の訓練移転費にまで拡大していきました。
 特別協定は7回も延長され、事実上恒久化しています。2016年に更新された現行協定は、「思いやり予算」を16年度から20年度までの5年間で総額9465億円と、年2000億円規模を維持する内容になっています。
 78年度に始まり、40年を迎えた「思いやり予算」。現行協定までの期間で、累計の支出総額は7兆6317億円になる見通しです。
 さらに97年度からの「SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)経費」、2006年度からの在日米軍再編経費と、「沖縄の負担軽減」を口実とした基地建設・たらい回し費用が継ぎ足されてきました。
 
絶 賛
 こうした日本の米軍駐留経費負担は、世界でも突出しています。トランプ米政権は同盟国に米軍駐留経費の大幅な増額を求めていますが、昨年2月に来日したマティス国防長官は日本について「世界の手本になる」と絶賛しました。
 NATO(北大西洋条約機構)軍地位協定には、駐留経費負担に関する規定自体が存在しません。ドイツやイタリアでは、労務費、光熱水料、施設整備費は全て米側負担です。
(後 略)
 
事務局追記) 原記事にはグラフや分かりやすい説明図が載っています。下記からアクセスしてください。