2019年3月24日日曜日

報道は政府から独立を NHKに市民団体が申し入れ

 NHKが政府の「広報機関」に成り下がったという指摘は、これまで当ブログでもたびたび紹介して来ました。
 NHKの政権寄りの報道姿勢は今に始まったものではありませんが、安倍政権になってからその度合いが著しくなりました。定時のニュースで国会審議の一部を報じるときに、必ず政府の答弁のシーンで終わるようになりましたが、官邸がそう要求したからだと言われています。その結果、リアルタイムの中継を見たことのない人には、安倍内閣があたかも常に適正に答弁しているかのような印象を与えるようになりました。
 
 先の根本厚労相の大臣不信任決議案で、野党の小川淳也議員が2時間にわたって濃密な趣旨説明を行ったときの、『ニュースウオッチ9』の報道の仕方は取り分け酷いものでした。それは冒頭で小川議員がネット上で寄せられた川柳を読み上げた部分だけを取り上げ、あとは小川議員が何度か水を飲むシーンを挿入し、「少し早めて結論に導いてください」という議長の注意をそれにかぶせて、あたかも水を飲んで演説を長引かせたかのように印象付けるという「切り取り」の報道でした。
 
 NHKの報道関係では岩田明子氏らの政治部が幅を利かせているということですが、野党議員を貶めるためにそこまで狡猾なテクニックを弄するとは、とても民放などの及ぶところではありません。
 
 放送記念日の22日、「NHKとメディアの『今』を考える会」は、上田良一NHK会長あてに「政府から独立した公共放送の原則に立つ政治報道を求めます」との申し入れ書を提出しました。
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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報道 政府から独立を NHKに市民団体が申し入れ
しんぶん赤旗 2019年3月23日
 放送記念日の22日、「NHKとメディアの『今』を考える会」は、上田良一NHK会長あてに「政府から独立した公共放送の原則に立つ政治報道を求めます」との申し入れ書を提出しました。
 
 提出に先立って、東京・渋谷区のNHK放送センター西口門前で申し入れ内容を伝えるNHK職員向けのビラを配布。約300人(主催者発表)が参加した集会では、元NHK経営委員で国立音楽大学名誉教授の小林緑さん、マスコミ九条の会共同代表の仲築間卓蔵さんらがリレートーク。「アベチャンネルになるな」「視聴者の声を聞け」などと訴えました。
 
 申し入れ書は、▽「(辺野古の)サンゴは移した」など、安倍首相の発言や行動に対する検証や批判的報道がほとんどない ▽政権にとって不都合と思われる事実が伝えられない例が目立つ ▽韓国徴用工裁判報道で、「『徴用』問題」と表現するなど、政府が発表する呼称に従う傾向がある ▽森友・加計学園問題では、報道を抑制する姿勢が批判されている ―などを指摘。受信料のみで支えられているNHKは「政権から距離を置き、必要な時は批判する」という基本に立ち返るよう求めています。
 
 同会は、「放送を語る会」や日本ジャーナリスト会議、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」などの団体のメンバーが個人参加で結成した組織。今回の申し入れ書には、全国各地の「NHKを考える会」など20団体NHK退職者50人を含め約100人の個人が賛同しています。