竹中平蔵氏は小泉内閣で経財相兼金融相に就いていた時、りそな銀行を破たん寸前に追い込み、二束三文になった株を外資系ファンドなどが大量に買い取ると、今度は一転して国有化を宣言し株を高騰させ、外資に総計で2兆円以上もの大儲けをさせました。
当時この経過にインサイダー取引の疑念を抱いた経済学者の植草一秀氏が公然と批判したところ、官憲により2度に渡って痴漢行為をデッチアゲられて失脚させられました。
郵政民営化担当相時代には、やはり外資に郵政公社株を売り渡すべく、郵政民営化の具体策を立てるに当たって、18回以上も秘密裏に米国財務担当と打ち合わせをしました。しかしそのことが国会で暴露され、更に民主党政権に変わったためにその目論見は失敗しました。
また「規制緩和」を大々的に進めて大量の非正規労働者を生み出しましたが、政界を去ってから就職した先が、何と非正規労働者たちを差配する人材派遣会社最大手のパソナの会長職でした。
そこでも子会社:「日本雇用創出機構」を作り、大企業などがリストラしたい対象者たちを”再就職支援”という口実で受入れては自ら辞めるように仕組み、その都度「転職支援費用」の名目で転職者1人当たり最大60万円の助成金(国費)を得るなどの悪どい商法をして、国会で追及されました。
現在も東洋大教授の名義で政府委員を務め、労働者から搾取する方策を提言しています。
3月24日、パソナ本社を含め各拠点前の全国7カ所で、竹中氏を糾弾する集会が開かれました。建前上は第一線を退いている人を対象に、こういう集会が開かれるのは珍しいことです。
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全国のパソナ前で反竹中平蔵デモ、「竹中を日本から叩き出せ」
高橋清隆 NET IB NEWS 2019年3月25日
未来投資会議(議長・安倍晋三首相)の民間議員として規制緩和や政府機関の民営化を決定し、国民の富を大企業や外資に手引きする竹中平蔵氏を糾弾しようと3月24日、竹中氏が取締役会長を務める人材派遣会社、パソナ本社(東京都千代田区)や各拠点前の計7カ所で集会が開かれた。左右を超えた国民運動を理念に、本社前では愛国団体「一水会」の木村三浩(みつひろ)代表が「竹中を日本から叩き出す必要がある」などと訴えた。
集会は「みちばた興業」と『ピープルパワーテレビ』が主催。東京のほか名古屋・大阪・浜松・静岡・四日市・福岡の各市で午後2時からおよそ2時間開かれた。東京・大手町の本社前では、フランスの反マクロンデモに倣い黄色いベストをまとったり、「竹中平蔵 売国奴」「白蟻(あり)」などのボードを掲げた市民約70人が参加した。
冒頭、元日産自動車会長兼CEOのカルロス・ゴーンのコスプレをした黒川氏が、「アベノミクスでこの6年間、大企業の利益と一部富裕層の資産は増え続け、富裕層の資産は300兆円になった。その反対側で、庶民の生活が崩れている。皆さまは、今まで以上に一生懸命働いてますよね。働いて豊かにならないのは、政治が悪いから。一緒に政治を変えましょう」とあいさつした。
保守系言論誌『月刊日本』の坪内隆彦編集長は「10年間竹中批判をやってきたが、ようやくここにきて、火がついた」と述べ、東洋大4年生の船橋秀人(しゅうと)氏の勇気ある行動がそのきっかけをつくったことをたたえた。
そのうえで、「パソナ会長をしながら、政府の未来投資会議の民間議員として実際の政策を決めている。それを支えているのが慶応大学、そして今は東洋大学の教授という学者の看板。彼の背後には米国がいて、グローバル資本が付いている強大な力だが、それに対する怒りが今、こうして全国にあふれかえっている。今こそ、竹中氏の退場を目指して持続的に頑張ろう」と呼び掛けた。
駆け付けた「一水会」の木村氏は「安倍内閣は『日本を取り戻す』と言いながら、日本を外国に売っている。このパソナ前で訴えている我々こそが本当の愛国者。これをもっともっと盛り上げ、まず第一は、竹中氏の利益相反をやめさせる。そして、竹中氏のやってきた罪過を明らかにし、格差社会の是正をしなければ」と行動の道筋を示した。
さらに木村氏は「パナマ文書は富裕層が日本で税金を納めない人たちの名簿だが、竹中氏はこの先駆け。この売国奴を日本から叩き出す必要がある」と訴えた。
木村氏の誘いで姿を見せた小林興起・元衆院議員は、自身が反対して失職することになった郵政民営化法案に言及。田中角栄元首相が財政投融資で高速道路を整備した例などを挙げ、「日本のために使われていた郵貯資金を米国金融資本のために使おうとしたふざけた法案。その案をつくったのが竹中さん」と糾弾した。
小林氏は消費増税が法人・所得の両減税の穴埋めに使われていることも指摘し、「法人税を下げろというのが米国金融資本の要求。皆さまが払っている消費税は、米金融資本が株でもうけるために使われている。米国にここまでこびる政治では、日本は良くならない。皆さまの若い力で、いい日本をもう1度」と呼び掛けた。
演説の合間にはミュージシャンNao Lion作曲『Bye Bye 売国 竹中平蔵』の曲が流れ、参加者は「派遣でもうける平蔵要らない」「自分で決定、自分でもうける」「売買売国、自民党」などとコールを繰り返した。
埼玉県からきたという40代の夫婦は「おかしいことをおかしいといえないのはおかしい。みんなで国を立て直したい」などと話していた。
主催者によると、今回は参加しやすさを重視して日曜の集会となった。今後は平日の開催を検討している。
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<働き方改革の死角>パソナ時給下げ「法の趣旨反する」 派遣実態聞き取りへ
東京新聞 2019年3月27日
派遣会社大手のパソナが、無期雇用へ転換した派遣社員に通勤手当の支給を開始したのと同時に時給を減額した問題で、根本匠厚生労働相は二十六日の参院予算委員会で「改正労働者派遣法の施行前であるものの、派遣労働者の待遇改善を図る法の趣旨に反し待遇引き下げを行うことは、望ましくない」と述べた。根本氏は派遣会社の業界団体から実態の聞き取り調査をし、事態の改善に向け指導する方針も示した。(池尾伸一)
この問題はパソナが無期雇用に転換する派遣社員に昨年六月から通勤手当の支給を開始した一方で、時給を六十円減額していたことを本紙が報道し明らかになった。他の大手でも同様の動きがある。
参院予算委で立憲民主党の石橋通宏氏は「こうした脱法行為を許したら非正規社員の待遇改善は絵に描いた餅になる」と追及。根本氏は「業界にヒアリング(聞き取り調査)して事態を把握し、(非正規社員の待遇改善を目指す)改正労働者派遣法の趣旨に沿った対応が図られるように来年四月の同法施行に向けて取り組んでいく」と答弁した。
通勤手当支給と引き換えの時給引き下げは、昨年からパソナなど派遣大手の間で広がっていたが、この問題では、派遣業界の監督官庁である厚労省の対応の遅れが目立っている。
本紙の調べでは、非正規の問題に取り組む労働組合などは昨年十月の厚労省の事務方との協議で、問題の広がりを伝えていた。二十六日の参院予算委では、同時期に開かれた労働政策審議会(厚労相の諮問機関)でも、時給が減らされた例が報告されていたことが明らかになった。
しかし厚労省は本紙が詳細を報道するまで事実上、事態を放置していた。根本氏は同審議会で問題点が指摘されていたことについて「承知していなかった」と答弁した。