2019年3月20日水曜日

平成は大転落の時代 日本経済をダメにした首相は誰か

 新元号の発表まで10日あまりとなりました
 平成元年には日本経済は頂点を極め、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称され、世界の時価総額ランキング上位10社のうち7社が日本企業でした
 それが平成30年には、日本で時価総額トップのトヨタ自動車が、ようやく44位にランクインするありさまで、平成30年の国際競争力は25となりました。
 
 日刊ゲンダイが、「平成は大転落の時代 日本経済をダメにした戦犯首相は誰か」という記事を掲げました。
 
 日本経済の低迷を決定づけたのは、平成13年(01年)に登場した小泉竹中政権の構造改革でした。小泉氏は「郵政民営化」を叫んで登場しましたが、それ以外の政策は不明で、政策の実務面は主に特命担当大臣(経済財政金融担当)の竹中氏に任せていました。
 アメリカで新自由主義を学んだ竹中氏は「規制緩和」・「構造改革」を行いました。日本経済の中堅を担っていた中産階級はそれによって切り崩され、一方で派遣社員が大々的に増やされました。こうして良かれ悪しかれ、終身雇用制をベースにした労働者経営側株主三位一体という日本の企業風土は破壊され、短期的な利益を重視する米国式企業経営が是とされるようになりました。格差拡大する一方でした。
 
 規制緩和によって外資が次々と主要な会社の株主におさまると、社員のいだお金の大半は配当に回され、労働者には分配されなくなりました。そして非正規路労働者が増え、中産階級が少数となって雇用面での不安定さが現実化すると、国民はカネを使わなくなりデフレに陥りました。
 経済アナリスト菊池英博氏「小泉・竹中構造改革路線を端緒に、新自由主義が日本の社会基盤を壊してしまった。それが平成という時代の核心」と述べています。
 
 小泉氏はいまは政界を去って、原発推進政策が誤りだったという反省の下に「脱原発」を主張していますが、竹中氏に行わせた「構造改革」への反省の言はまったく聞かれません。その辺が小泉氏の限界なのでしょう。
 一方、人材派遣会社の会長におさまった竹中氏は、現在も政府委員の要職に就いて、労働者からの搾取を中心とする企業本位の政策の推進に腐心しています。
 
 その後国民は、小沢一郎氏が実質的なリーダーとなっていた民主党政権誕生させましたが、メディアと司法を巻き込んだ体制側の策動で、たちまち鳩山・小沢内閣は瓦解させられました。そのあとに出来た菅政権と野田政権は共に財務省の傀儡であって、消費税増税を言い出した結果国民の信頼を失い、再び自民・公明政権に振り子を戻してしまいました。
 
 さて安倍政権ですが、アベノミクスは当初から収拾させるための出口政策(の立てよう)がないと批判されていましたが、いよいよ破綻の気配が濃厚になりました。これこそは平成最大の問題とされるべきことです。
 それにもかかわらず安倍首相はいまもひたすら米国のご機嫌伺いに徹し、戦争法の成立に引き続いて軍事費をいずれ10兆円に増やす方針を決め、いまはまったく無用の米兵器の爆買いに励んでいます。
 
 アベノミクスの破綻に関しては別の記事に譲ります。 
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平成は大転落の時代 日本経済をダメにした戦犯首相は誰か
日刊ゲンダイ 2019年3月19日
(阿修羅 文字起こしより転載)
 新元号の発表まで10日あまり。終わりつつある平成という時代を振り返った時に、この30年での国民生活の変わりよう、その疲弊には愕然としてしまう。
「24時間戦えますか」のキャッチフレーズに世のビジネスマンが鼓舞された平成元年はバブルの真っただ中。日本には活気があふれていた。会社のため、家族のため、寸暇を惜しんで働けたのは、未来を信じられたからだ。リストラの不安に怯えることもない。今年より来年は確実に給料が上がる。高級品が飛ぶように売れ、消費も盛んだった。
 日本経済は頂点を極め、企業も「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を疑う余地はなかった。平成元年の世界の時価総額ランキングを見ると、上位10社のうち7社が日本企業だ。それが平成30年には、日本で時価総額トップのトヨタ自動車が、ようやく44位にランクインするありさまである。
 平成とは災害の時代だったという見方がある。同時に、平成は日本経済没落の歴史ではなかったか。
 
 安倍首相は空前の好景気を喧伝するが、庶民の給料は上がらず、消費を控え、ひたすら老後の生活の心配をしなければならない。低賃金で結婚できない若者が増え、少子化にも拍車がかかる一方だ。平成の年を重ねるにつれ、未来に希望が持てなくなった。まったく、何という時代にしてくれたのだと絶望的な気分になってくる。
 
■日本経済のシェアは3分の1に
 経済評論家の森永卓郎氏は、NHKのインタビューで「平成は『転落と格差』の30年だった」と、こう語っていた。
「日本の世界に対するGDPのシェア、日本経済が世界のどれだけの割合を占めているのかっていうのは、例えば1995年は18%だったんです。それが直近では6%まで落ちた。つまり日本経済の世界でのシェアが20年余りで3分の1に転落したんです」
「ジワジワ来たので、みんなあんまり感じてないかもしれないんですけれども、その世界シェアっていう面で見ると、とてつもない大転落を日本経済が起こしてしまったっていうこの30年の歴史なんだと思います」
日本の会社が海外あるいはハゲタカのものになって、しかもそこで稼ぐお金を全部ハゲタカが持っていって労働者に分配しない。この構造の中で一気に大転落が起きて、その結果、なにが起こったかっていうと、とてつもない格差の拡大っていうのがこの平成の間に起こったんだと私は見ています」
 
 日本経済の没落を如実に表すのが、国際競争力の低下だ。日本は平成元年からの数年間、世界1位の競争力を誇っていた。山一証券が破綻し、金融危機に襲われた平成9年、前年の4位から17位に急落すると、そのままズルズルと低迷を続け、再浮上はかなわなかった。平成30年の国際競争力は25位だ。
「平成のはじめにバブルが崩壊し、銀行の不良債権処理に手間取ったことで、苦しい状況がしばらく続いた。その後、適切な経済・雇用政策を取っていれば、日本経済が再浮上する可能性もあったのですが、小泉政権の構造改革が日本経済の低迷を決定づけました。派遣社員を増やすなど、雇用のあり方を根本的に変えてしまったのです。雇用面でのセキュリティーが脅かされた国民はカネを使わなくなり、デフレマインドが蔓延していきます」(経済アナリスト・斎藤満氏)
 構造改革で中産階級は切り崩され、その結果が格差の拡大だ。日本で貧困が社会問題になるとは、平成元年に誰が予想しただろうか。 
 
新自由主義が日本の社会基盤を破壊し格差を広げた 
「平成の途中まで、日本企業は従業員を大切にし、働く側も会社に対するロイヤルティーがあった。それが小泉構造改革で短期的な利益を重視する米国式の経営に変えられ、企業を儲けさせることが第一で、人件費もコスト扱いされるようになって、労働者と経営側、株主の三位一体のバランスが壊れてしまったのです。ソニーのウォークマンのような画期的な技術が生まれなくなったのも、こうした雇用環境の変化と無縁ではありません」(斎藤満氏=前出)
 そのソニーの出井伸之元CEOは、朝日新聞のインタビューで平成をこう振り返っていた。
「日本が凍りつくぐらいの北風が吹いた時代でした」
「サッカーに例えれば、『バブル崩壊でオウンゴールをしている間にIT革命が起き、米国や中国にどんどん点を入れられ、気付いたら4対0で負けていた』という状況でした」
 
 平成初頭には庶民にも海外旅行が広がった。強い日本の「円」の力で、東南アジアの発展途上国に行けばお大尽気分を味わえたものだ。いま、日本は外国人観光客が増えているが、それは格安で楽しめる国になっているからだ。すっかり逆転現象が起きている。
小泉・竹中構造改革路線を端緒に、日本の富がどんどん米国に吸い上げられる仕組みができ、日本国民は収奪されて貧しくなる一方です。かつては労働者に分配されていた企業の利益が、株主配当と経営者の高額報酬に回される。外資ファンドは企業や従業員がどうなろうと知ったことじゃない。新自由主義が日本の社会基盤を壊してしまったことが、平成という時代の核心だと思います」(経済アナリスト・菊池英博氏) 
 
■経済も気分も沈下した「鬱の時代」
 先月亡くなった作家の堺屋太一氏は、平成9年から新聞連載を開始した小説「平成三十年」で、年間出生数100万人割れや年金支給年齢の引き上げ、地方の衰退などの現状を“予言”していたことが話題になった。それらの課題に向き合わず、まやかしの改革で、その場だけごまかして先送りしてきたのが歴代政権だ。そのツケを次代が負わされる。
米国追従で、小泉政権に輪をかけてひどい新自由主義で庶民を痛めつけ、貧富の差を拡大させている安倍首相が政権を維持していられるのも、野党が弱すぎるからです。小泉構造改革に代表される自民党のデタラメに国民が気づいて、民主党政権が誕生したのに、菅政権と野田政権が消費税増税を言い出して、国民の信頼を失った。それが今も尾を引いて、野党は支持されず、安倍1強を許しているのです。それで平成の終わりに、暮らし向きがよくならない鬱憤や先行き不安のはけ口として、排他的ナショナリズムが台頭してきた。殺伐として危うい社会になっていると感じます」(菊池英博氏=前出)
 
 ノンフィクション作家の梯久美子氏は日経新聞のインタビューで、「平成は経済的な落ち込みが続いただけでなく、人々の気分が沈下し、停滞し続けた『鬱の時代』でもあった」と語っていた。
平成の大転落は、自民党清和会の森政権から小泉、安倍政権という流れで決まった日本を外資に売り渡し、国民生活をめちゃくちゃにした彼らの責任は重大です。それを明確にし、糾弾しないと次の時代も同じ低迷を続けることになる。極悪人首相がのうのうと居座っていられることがおかしいのです。国民の立場から政策を遂行する内閣を樹立しなければならない。時代の区切りとして粛清が必要です」(政治評論家・本澤二郎氏)
 
 新しい時代に希望を持てるかどうかは、国民がどういう政治を選ぶのかにかかっている。