2019年3月26日火曜日

26- ロシアゲートは 露国との関係悪化が目的で米体制派が仕組んだ

 米司法省は22日、マラー特別検察官によるいわゆるロシアゲート問題(ロシアの米大統領選干渉疑惑)の捜査が終結し、司法長官に捜査報告書を提出した明らかにしました
 22カ月に及んだ捜査では37人を起訴し、7人が罪を認め、1人は公判で有罪となりましたが、トランプ大統領の関与は認められませんでした。司法省高官は、特別検察官によるこれ以上の起訴はないとしています
 
 この案件については、マラー特別検察官は18年2月16日にもSNSを通じて共和党候補だったトランプ大統領を応援する集会を組織するなどの干渉を行ったとして、ロシア民間人13人やロシアのネット企業など3社を連邦大陪審が起訴したと発表しトランプ陣営がロシア側と「共謀」した事実はないとしていました。
 
 それに重ねてまた訴追した事情はよく分かりませんが、そもそも「ロシア疑惑」が事実であれば、マラー特別検察官が任命された時点でNSA(米国家安全保障局)のスパイ・プログラム設計の第一人者であるウィリアム・ビニー自身がすべての通信を傍受、記録しているNSAからその傍受記録を取り寄せるだけで決着が付くので、特別検察官を任命する必要はないと語ったことを、元経済政策担当財務次官補で著名なコラムニスト Paul Craig  Robertsが明らかにしています。
 (18年2月20日) 元々なかったロシアゲート疑惑
 
 櫻井ジャーナルの記事「ロシアとの関係悪化を目的にネオコンが始めたロシアゲートの捜査が終結」を紹介します。 
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ロシアとの関係悪化を目的にネオコンが始めたロシアゲートの捜査が終結  
櫻井ジャーナル 2019年3月24日
 ロシア政府が2016年のアメリカ大統領選挙に介入したとする「ロシアゲート」の捜査をロバート・マラー特別検察官は終結させ、報告書をウィリアム・バー司法長官へ提出したという。この疑惑が作り話だということをマラーも認めざるをえなかったようだ。
 
 2009年1月から17年1月まで大統領を務めたバラク・オバマはジョージ・W・ブッシュ政権が始めた中東侵略を継続、その障害になっていたロシアに対する軍事的な恫喝を強め、核戦争の危険性が高まっていた。このオバマ大統領核兵器の増強にも熱心で、2014年には核兵器を改良するため、30年間に1兆ドル以上を投入すると報道されている。
 
 2014年とは、アメリカがウクライナでネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)を使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除した年。言うまでもなくヤヌコビッチは合法的に選ばれたのであり、クーデターは憲法に違反している。そのクーデターの際、ネオ・ナチが広場で無差別狙撃していたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。
 
 こうしたオバマ政権のロシアに対する軍事的な行動を西側の政府や有力メディアは煽り、ヒラリー・クリントンはロシアとの核戦争を招きかねない主張をしていたのに対し、ドナルド・トランプはロシアとの関係修復を訴えていた。民主党の候補者選びでバーニー・サンダースが人気になった一因はクリントンたちの好戦的な姿勢への反発があったからだろう。
 
 クリントン陣営の狂気は彼女の側近であるマイク・モレル元CIA副長官(2011年7月1日から9月6日、12年11月9日から13年3月8日の期間は長官代理)の発言にも現れている。この人物は​2016年8月、チャーリー・ローズのインタビューでロシア人やイラン人に代償を払わせるべきだと語り、司会者からロシア人とイラン人を殺すという意味かと問われると、その通りだと答えたのだ。
 
 元CIA副長官がロシア人を殺すと公言したわけだが、実際にロシアの幹部外交官が相次いで死んでいく。例えば、2016年11月にニューヨークのロシア領事館で副領事の死体が発見され、12月にはトルコのアンカラでロシア大使が射殺され、ロシア外務省ラテン・アメリカ局の幹部外交官が射殺され、KGB/FSBの元幹部の死体が自動車の中で発見された。2017年1月にはギリシャのアパートでロシア領事が死亡、インドでロシア大使が心臓発作で死亡、そして2月にはロシアの国連大使だったビタリー・チュルキンが心臓発作で急死。モレル発言の前、2015年11月にはアメリカ政府が目の敵にしてきたRTを創設した人物がワシントンDCのホテルで死亡している。
 
 2016年12月、任期を終える直前のオバマ大統領は外交官35名を含むロシア人96名を追放、ロシアとの関係をさらに悪化させ、軍事的な緊張を高めようとしている。
 こうしたオバマ政権の動きに対し、トランプに安全保障問題のアドバイスをしていたマイケル・フリン元DIA局長はロシアのセルゲイ・キスリャクと会い、オバマ政権がロシアに対して行っている「制裁」を話題にした。挑発に乗らず、自制して欲しいと伝えたようだが、アメリカの​有力メディアはこれを問題にした。フリンはトランプ政権で国家安全保障補佐官に就任するが、2017年2月に解任された。(今回、DIA局長時代の話は割愛する。)
 
 そしてロシアゲートなる話でトランプが攻撃され始める。その話の開幕はアダム・シッフ下院議員が2017年3月に下院情報委員会で宣言した。2016年の大統領選挙にロシアが介入したとする声明を出したのだが、証拠は何も示していない。そして、同年5月にマラーが特別検察官に任命されたのである
 
 シッフの主張は「元」MI6(イギリスの対外情報機関)オフィサーのクリストファー・スティールが作成した報告書だが、根拠薄弱だということはスティール自身も認めている。
 スティールに調査を依頼したのはフュージョンなる会社で、そのフュージョンを雇ったマーク・エリアス弁護士はヒラリー・クリントン陣営や民主党全国委員会の法律顧問を務めていた。
 
​フュージョンを創設したひとりであるグレン・シンプソンによると、同社は2016年秋にネリー・オーなる人物にドナルド・トランプの調査と分析を依頼している。その夫であるブルース・オーは司法省の幹部で、このオーとシンプソンは2016年11月に会っている。その直後にブルースは司法省のポストを失い、フュージョンはスティールに調査を依頼することになる。
 
 アメリカの電子情報機関NSAの不正を内部告発したことでも知られているウィリアム・ビニーも指摘しているように、ロシアゲートが事実ならすべての通信を傍受、記録しているNSAからその傍受記録を取り寄せるだけで決着が付く。特別検察官を任命する必要はない
 
 ビニーは1970年から2001年にかけてNSAに所属、技術部門の幹部として通信傍受システムの開発を主導、NSA史上最高の数学者ひとりと言われている人物。退職後、NSAが使っている憲法に違反した監視プログラムを告発、2007年にはFBIから家宅捜索を受けた。この人物が刑務所へ入らなかったのは重要文書を持ち出さなかったからだと言われている。
 
 特別検察官を任命した大きな理由はトランプの周辺にいる人物を逮捕、司法取引で偽証させることにあったと推測する人もいる。ところがその工作に失敗、今に至るわけだ。
(後 略)