2019年3月20日水曜日

20- 天文学と安全保障との関わりについて 日本天文学会が声明

 日本天文学会が15日付で、安全保障と天文学の関係をめぐって「人類の安全や平和を脅かすことにつながる研究や活動は行わない」「天文学の研究・教育・普及、さらには国際共同研究・交流などを通じて、人類の安全や平和に貢献する」とする声明を発表しました。
 
 その背景等に関して、しんぶん赤旗とNHKが記事を出していますので併せて紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 
 天文学と安全保障との関わりについて
日本天文学会
2019 年3 月15 日
 
 
• 日本天文学会は、宇宙・天文に関する真理の探究を目的として設立されたものであり、人類の安全や平和を脅かすことにつながる研究や活動は行わない。
 
• 日本天文学会は、科学に携わる者としての社会的責任を自覚し、天文学の研究・教育・普及、さらには国際共同研究・交流などを通じて、人類の安全や平和に貢献する。
 
 
 
平和脅かす研究しない  天文学会が声明
 しんぶん赤旗 2019年3月18日
 日本天文学会(会長・柴田一成京都大学教授)は16日、安全保障と天文学の関係をめぐって「人類の安全や平和を脅かすことにつながる研究や活動は行わない」「科学に携わる者としての社会的責任を自覚し、天文学の研究・教育・普及、さらには国際共同研究・交流などを通じて、人類の安全や平和に貢献する」とする声明を発表しました。
 
 2015年に始まった防衛省「安全保障技術研究推進制度」に一部の大学・研究機関の研究者が参加するなど軍学共同が進み、学問の自由や健全な発展を脅かすと懸念されています。天文衛星や望遠鏡など最先端の宇宙技術には軍事転用可能なものが多くあります。
 今回の声明は、日本学術会議が「軍事目的のための科学研究を行わない声明」などを17年3月に継承し、各分野の学協会に真摯(しんし)な議論を呼びかけたことに応えたもの。年会での特別会合、学会誌での特集、会員アンケートなどに取り組み、臨時会員全体集会などの議論を経て今月15日に代議員総会で声明を決定しました。
 会員アンケートの結果は、防衛省の研究制度への賛否は「反対」がやや優勢でしたが、20~30代では「賛成」の方が上回るなど、幅広い意見がありました
 
 柴田会長は記者会見で「こういう問題では議論を忌避する雰囲気もあるが、全体として議論することに前向きだったのはうれしい結果だ」と述べました。
 関係者からは「天文学会は会員全体を巻き込んだ議論をし、誇るべき対応をした」という声がありました。
 
 同学会は1908年に設立。個人会員は現在、大学・研究機関の研究者のほかアマチュア天文家など3200人あまり。
 
 
“天文学は軍事利用せず” 学会が声明も世代間で意見の違い
NHK NEWS WEB 2019年3月16日
  (前 略)
日本天文学会は、防衛省が装備品の開発につなげるため大学などに研究資金を出す「安全保障技術研究推進制度」を4年前に導入したことをきっかけに、軍事利用につながる研究について議論をしてきました。
  (中 略)
日本天文学会の柴田一成会長は「戦争への怖さや嫌悪感などのバックグラウンドが世代間で違いがあることが分かった。平和を脅かすことにつながる研究かどうか、科学者はこれからも慎重に考えていく責任がある」と述べました。
 
「防衛省が研究資金」反対54%も若い世代は逆転も
日本天文学会は、防衛省が装備品の開発につなげるため大学などに研究資金を出す「安全保障技術研究推進制度」について、去年秋、学会に所属する研究者など2829人にアンケート調査を行い、結果の一部を公表しました。
このうち、この制度について賛成か反対かを問う質問に対して、全体のおよそ28%にあたる800人が回答し、反対が54%、賛成が46%で反対が上回りました。
一方、年代別に見ますと、70代以上は反対が81%賛成が19%、60代は反対が72%賛成が28%、50代は反対が68%賛成が32%、40代は反対が54%賛成が46%、30代は反対が48%賛成が52%、20代は反対が32%賛成が68%でした。
若い世代ほど防衛省の制度への賛成が増え、20代と30代では賛成が反対を上回りました。
 
賛成の理由については「昨今、基礎研究のための資金が減る中、趣旨を問わず、制度に応募できるようにすべきだ」という意見や、「世界情勢を考えると防衛省が基礎研究を推奨することは当然だ」といった意見などがあったということです。
  (後 略)