2019年3月25日月曜日

沖縄の提案を首相拒否 その機会を生かさず、無法で無意味の工事を強行

 菅官房長官は24日、衆院沖縄3区補選に自民党公認で立候補する予定の島尻元沖縄相の沖縄市の事務所を訪れた際、那覇市内の記者会見で、辺野古への移設計画について、「世界で一番危険と言われる普天間飛行場が固定化し、置き去りにされることは絶対に許されない」と述べました。
 しかし政府・防衛省が、2回の知事選と県民投票で示された「辺野古ノー」の民意に背いて進めている埋め立て工事は、「新基地完成には一日たりとも近づくものではない」(沖縄県 意見書)的外れなものです。
 防衛省が、海面下90mまでN値がゼロの場所があると一旦公表したものを、誤魔化そうとしている醜態は論外としても、辺野古埋め立てが普天間飛行場を閉鎖するための「唯一の選択肢」という政府の言い分は完全に破綻しています。「一日も早く」返還するためにという言い方はさすがに止めていますが。
 
 毎日新聞としんぶん赤旗の社説を紹介します。
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社説 沖縄の提案を首相拒否 この機会をなぜ生かさぬ
毎日新聞 2019年3月24日
 膠着(こうちゃく)状態にある辺野古問題の局面を転換すべきときだ。沖縄県の玉城デニー知事が打開策を探ろうとしているのに、安倍晋三首相はなぜこの機会を生かそうとしないのか。
 米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐり、知事は首相との会談で、埋め立ての土砂投入中止と1カ月程度の話し合いを求めた。
 知事はその際、最高裁に上告した工事差し止め訴訟の取り下げを表明するとともに、県が準備していた別の訴訟についても政府の回答次第で見送る譲歩の姿勢を示した。
 
 しかし、政府は週明けに辺野古崎南側の新たな埋め立て区画で土砂投入を始める方針を崩さなかった。岩屋毅防衛相はその理由を「ここで問題が再び漂流すると普天間の固定化にしかならない」と説明した。
 だが今や「辺野古が唯一の選択肢」と固執する政府の姿勢こそが固定化を招く要因になっていないか。
 
 辺野古崎の北東側に広大な軟弱地盤が見つかった。埋め立て工事の設計変更には県の承認が必要であり、県側と話し合わなければならない課題がたくさんあるはずだ。
 防衛省が国会に提出した報告書によると地盤改良には最短でも3年8カ月かかる。水深90メートルまで続く軟弱地盤を、70メートルが限度とされる砂の杭(くい)を打ち込む工法で改良できるのか。大量の砂利をどう調達するのか。合理的な説明はなされていない。
 
 政府は移設容認の知事に代わるのを待つつもりかもしれないが、そうであればなおさら県民の理解を得る努力が必要だろう。2回の知事選と県民投票で示された「辺野古ノー」の民意に聞く耳を持たない政府の姿勢は県民の反発を強めるだけだ。
 仮に容認派の知事が生まれても、それから地盤改良を行い、さらに埋め立てや施設整備に数年かかることを考えれば10年超もあり得る。
 北東側のめどが立たないまま南側にいくら土砂を投入しても工事は完了しない。政府の対応は辺野古の工事を続けることが自己目的化しているといわれても仕方あるまい。
 話し合いの提案を拒否された県は結局、国を相手取った新たな行政訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。
 沖縄の基地問題をめぐって国と県が法廷闘争を繰り返す現状が政治の無策を物語っている。
 
 
主張 辺野古米軍新基地 新工区埋め立ては無法の極み
しんぶん赤旗 2019年3月24日
 沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設計画で、安倍晋三政権は25日にも新たな埋め立て工区への土砂投入を強行しようとしています。県民投票で示された辺野古埋め立て反対の圧倒的民意を踏みつけにするもので、民主国家では決して許されない行為です。
 しかも、今回の土砂投入は、「普天間基地の一日も早い返還」のために新基地建設を急ぐという政府の口実さえ成り立たないものです。無法・無謀な土砂投入は中止すべきです。
 
完成には全く近づかない
 新たな工区への土砂投入は、政府が1月に沖縄県に通知しました。しかし、辺野古埋め立ての賛否を問う2月の県民投票では反対票が7割を超えました。玉城デニー知事は今月19日に首相と会談し、県民投票の結果や1万人規模の県民大会の開催(16日)を伝え、新基地建設断念、新たな土砂投入の中止を訴えていました。
 ところが、岩屋毅防衛相は22日、新たな土砂投入について「準備が整い次第始めさせてもらいたい。辺野古への移設がなければ普天間基地は固定化してしまう」と述べ、強行する姿勢を示しています。
 政府は、県民投票を受けてデニー知事が1日に首相と会談した直後にも新たな護岸工事に着手しており、民意無視の強権姿勢はあまりに異常です。沖縄県が22日、県による辺野古埋め立て承認撤回の効力を停止した政府(国土交通相)の決定を違法だとして提訴に踏み切ったのは当然です。
 
 今回の新たな土砂投入は、政府が狙っている新基地建設の早期完成にも一切関係ありません
 新基地建設の埋め立て区域は、辺野古の南側にある非常に浅い海域と、北側と東側に広がり、大深度の海域が存在する大浦湾にまたがっています。政府が昨年末から土砂投入を続けているのは南側海域の工区で、今回、新たな土砂投入を狙っているのも同じ南側海域のもう一つの工区です。
 
 沖縄県が公表した意見書(15日)によると、当初の政府の工程表では、(1)埋め立て工事は大浦湾側から着手 (2)南側海域はその後に着工 (3)南側海域の埋め立ては大浦湾側よりはるかに早く完成 (4)その後に大浦湾側の埋め立てが完了 ―という順序になっています。全体の埋め立て工事は、大浦湾側で始まり、大浦湾側で終わる計画です。
 ところが、政府は大浦湾側の埋め立てにいまだ着工できないばかりか、そのための護岸の実施設計もできていません。大浦湾に軟弱地盤が存在するためで、南側海域でいくら土砂を投入しても「新基地完成には一日たりとも近づくものではない」(意見書)のです。
 
普天間基地の即時閉鎖を
 それでも政府が土砂投入を強行しようとするのは、既成事実を重ね、県民の諦めを誘う卑劣な狙いからです。しかし、大浦湾側の埋め立てのためには軟弱地盤の改良工事が不可欠ですが、承認権を持つデニー知事の新基地阻止の立場は不動です。
 仮に改良工事が可能になったとしても、それに必要な膨大な砂の調達にめどが立っていないなど、多くの問題を抱えており、新基地の完成は「遠い将来のこと」であり、「事実上の普天間固定化」(同前)につながります。
 辺野古の新基地建設計画の破綻は明らかです。普天間基地は即時閉鎖・撤去こそ必要です。