昨年秋以降、政府提出の入管法改正案に対し、外国人労働者に対する人権侵害・不当労働行為の多くの事例が国会で明らかにされました。当然、対策法の整備が要求されましたが、政府は結局何の対応も取らないまま、安価な労働力を求める経済界の要求に応じて改正入管難民法を拙速に成立させました。
その法律の施行が迫る中、外国人労働者が環境の改善を訴える集会「ここに生きる!多民族・多文化共生社会 マーチ・イン・マーチ」が3日、上野公園で開かれ、参加者らは職場で受けてきた厳しい扱いを訴えました。
約200人の参加者はデモ行進を行い、「不足する人材の穴埋めという意識をやめるべきだ」などと訴えました。
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「人不足の穴埋め」にNO 上野 外国人労働者、環境改善求めデモ
東京新聞 2019年3月4日
外国人労働者が環境の改善を訴える集会「ここに生きる!多民族・多文化共生社会 マーチ・イン・マーチ」が三日、東京都台東区の上野恩賜公園であった。外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法の施行が迫る中、二百人近い参加者がデモ行進。「(不足する人材の)穴埋めという意識をやめるべきだ」などと春雨の空へ声を張り上げた。 (井上靖史)
外国人が加盟する労働組合や支援者でつくる団体などが一九九三年から春闘を前に毎年開催。参加者らは職場で受けてきた厳しい扱いを訴えた。
インド出身で横浜市のシン・ウダイ・プラタップさん(38)は昨年、エンジニアとして勤めていた大手家電メーカー系のシステム会社から派遣元の人材会社を通じて解雇を通告された。「年次有給休暇で帰省し、戻ってきたら『なぜ休んだのか』と追及され、クビにされた」と憤る。モンゴル出身の技能実習生の男性は実習先のプレス加工会社から「もう来なくていい」と告げられたが、納得できる理由を示されていないと訴えた。
厚生労働省によると、昨年十月現在の外国人労働者は百四十六万人。四十九万人だった二〇〇八年から三倍に増えた。来月からは単純労働分野にも受け入れを拡大する新制度が始まり、五年間で最大約三十四万人が見込まれている。
NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」スタッフの崔洙連(チェスウヨン)さん(27)は「移住者の権利や尊厳を保障するような政策はほとんどなく、長年の課題は放置されたまま。日本は一九八〇年代から都合の良い外国人の利用を続けてきたが、多様な民族、文化の共生こそ社会を強く豊かにする。その考えを日本の常識にしていきましょう」と壇上から呼び掛けた。