首相自らが「国政選挙に直結する大事な選挙」と位置づけて、自民党は60人の候補を立てましたが50議席は堅いという見立ては大幅に崩れ、前々回に次いで過去2番目に少ない33議席という大敗でした。
菅氏ははじめは「謙虚に受け止める」とコメントしたようですが、一夜明けると早速 「前回の選挙より8議席伸び、第1党になった。その責任感の下に全力で取り組んでいきたい」と開き直りました。もともと謙虚な人間などではないので、都議選で示された都民の「五輪NO」の意思を受け止めることは無理のようです。物事は全て「舌先3寸」で進められるとでも思っているようです。
この先、仮に共産党や立民党が選挙公約に従って五輪の中止や延期を求める議案を提出して可決されても、まん延防止等重点措置を延長しながら、無観客(公称)でも構わないとして五輪開催にしがみつくと見られています。本来であれば残された選択肢は五輪中止か総辞職であるにもかかわらずにです。
いまや自民党内の最大の関心は衆院選前に党総裁選ができるかどうかになっていると言われます。
いよいよ憲政史上「最悪」の安倍・菅政権の終わりが始まります。
日刊ゲンダイが取り上げました。
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この期に及んでマンボウ延長 無観客でしがみつくのか
菅首相 残された選択肢は五輪中止か総辞職
日刊ゲンダイ 2021 年 7 月 6 日
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
「こんなに負けるのか」。自民党内では“惨敗”に衝撃が走っているらしいが、この政治状況の中で「勝てる」と予想し、楽観視していた方がどうかしているとしか思えない。
4日投開票された東京都議選。自民党は前回(2017年)の選挙で歴史的大敗を喫したことから、今回は「国政選挙に直結する大事な選挙」(菅首相)と位置づけ、政党別では最多の60人の候補を擁立。当初は「50議席は堅いだろう」といった見方も流れていたものの、終わってみれば50議席どころか、過去2番目に少ない33議席。公明(23議席)と合わせても、最低目標ラインとしていた「自公で過半数」の目標にすら届かなかった。
「(自民は)前回の選挙と比較をして8議席伸び、第1党になった。自民党として都政の発展のために、都民のために、その責任感の下に全力で取り組んでいきたい」
「要因はいろいろあろうかと思うが、まず都連と本部が連携し、冷静に期間を置いてしっかり分析して次に備えていきたい」
党総裁の菅首相は5日、首相官邸で記者団に対して強がるそぶりを見せ、冷静を装っていたが、選挙結果について「分析」するもヘッタクレもないだろう。自民が議席を伸ばせなかった理由はハッキリしている。国民の多くが中止や延期を求めているにもかかわらず、何が何でも開催に向けて突き進む自公の五輪強行の戯言に都民(国民)が呆れ果て、憤りの「NO」を突き付けたのだ。
都議会で「五輪中止」を可決する可能性も
東京五輪について選挙公約で触れなかった自公とは対照的に、いち早く「中止」を公約に掲げ、31人を擁立した共産党は告示前の18議席を上回る19人が当選。立憲民主党も「中止か延期」を掲げ、告示前の8議席を上回る15人が当選を果たした。告示前の45議席から大幅に議席を減らした都民ファーストも、公約では「無観客開催」を掲げ、自民に次ぐ31議席を獲得。つまり、都民は明らかに新型コロナウイルスの感染拡大が続く現下の五輪の通常開催に対して「NO」の意思表示をしたのであり、その強烈な民意を自公はあらためて突き付けられ、思い知らされたわけだ。
「(国や都などによる)5者協議で最終的に方向性を決める」
それなのに菅はこの期に及んでも、相変わらずノラリクラリ。東京五輪に関する記者の質問に真正面から答えず、上から目線で「おまえら(国民)がうるさいから無観客も検討してやるよ」とでも言いたいかのよう。だが、都議選で示された通り、民意が求めているのはあくまでも「中止」や「延期」であって、いつの間にか出てきた「無観客」か「有観客」なのか、ではない。
たとえ無観客であっても、現在の予定では海外からアスリートや関係者が約7万人も来日するわけで、来日し始めた外国人アスリートに早くも新型コロナの陽性者がバンバン見つかっている状況を考えれば都民・国民の不安は当然だろう。それがなぜ分からないのか。
福田赳夫元首相の秘書を務めた中原義正氏がこう言う。
「都議選の結果を受け、正副議長を決める臨時都議会などが開かれた場合、共産や立憲が選挙公約に従って五輪の中止や延期を求める議案を提出するかもしれず、そうなれば、賛成多数で可決する可能性が高い。それでも菅首相は(新型コロナの)まん延防止等重点措置を延長しながら、無観客でも構わないとして五輪開催にしがみつくつもりなのか。民意軽視も甚だしいだろう」
憲政史上「最悪」の安倍・菅政権の終わりの始まり
五輪の開催都市であり、日本の首都でもある東京都の議会が、開催直前のタイミングで「五輪NO」を示すことになれば前代未聞の展開になるのは間違いない。もはや完全に常識、良識を失い、民意に目をつむる迷走政権の見るに堪えない醜悪醜態と言っていいが、よくよく考えれば東京五輪そのものが安倍・菅自民政権に都合よく利用されてきた面は否めない。
東北震災を理由に挙げて「復興五輪」を掲げた安倍前首相は、IOC(国際オリンピック委員会)総会の最終プレゼンテーションで、東電福島原発の状況を「アンダーコントロール」と大嘘をついて招致を勝ち取ったものの、あっという間に「復興五輪」のスローガンは消え去り、新型コロナの感染が拡大すると、五輪の開催意義は「人類が新型コロナに打ち勝った証し」(安倍)へと変わった。そうしたら、安倍政権を引き継いだ菅は4月に訪米した際、突然、「(東京五輪は)世界の団結の象徴」とか言い出し、その後は「平和の祭典」「一流のアスリートが東京に集まり、スポーツの力で世界に発信する(場)」「安全安心の大会」「子どもたちに夢や感動を伝える機会」……などと、口を開くたびに新たな言葉が飛び出す始末だ。
もはや五輪の理念も何もあったもんじゃない。これぞ、いい加減な言葉やこじつけで人をだます「三百代言」そのものだ。
都民は無計画な「コロナ対策」にも激怒
都議選で都民が示した民意は「五輪NO」だけではない。穴だらけの水際対策、「打て打て」と国民をせっついて大掛かりに始めたかと思ったら、いきなり「足りない」とストップしたワクチン接種など、政府・与党の無計画で、おざなりな「コロナ対策」に対しても激怒しているのだ。
とりわけ、菅が「未知への挑戦」と強調していたワクチン接種は、五輪開催とコロナ対策の“切り札”だったはずだ。それが中途半端なまま頓挫し、ロクに検証すらされていないわけで、さすがに“政権寄り”と揶揄される読売新聞でさえ、社説で<五輪の感染対策 これで安全に開催できるのか>と書くのも無理はない。いわんや都民・国民の不安や焦り、怒りは当然だ。
いずれにしても4月の3つの国政選挙で「全敗」したのに続き、都議選でも結果を出せなかった菅。次期衆院選を控え、党内の求心力低下は避けられない見通しだが、選挙前から都議選候補に敬遠され、応援演説にすら立つことができなかった男だ。求心力の低下どころか「菅降ろし」が始まるのも時間の問題だろう。
残された選択肢は五輪中止か総辞職、あるいはその両方しかないのだが、それでも菅本人は「五輪を開けば何とかなる」と能天気に考えているらしい。ナントカの一つ覚えのように「安全安心の五輪に全力」とか言い続けているからだ。
しかし、この発言を信用する都民・国民がどれだけいるのか。
菅といえば、官房長官時代から脅しスカシは当たり前。「パワハラ人事の暴君」と化し、不祥事が起きても「問題ない」「指摘はあたらない」などと記者をけむに巻く。過労を理由に休養した東京都の小池知事に対して「自分でまいた種でしょうが」と言い放った麻生財務相の暴言ではないが、菅が都民・国民に信用されないのも、すべては自分でまいた種。菅の人間性と政治姿勢が信用されていないからなのだ。
政治評論家の小林吉弥氏がこう言う。
「都議選の結果といえども、国政に対する民意が示されたのが実態です。つまり、五輪、コロナなどの課題に対して菅政権では無理だと有権者は考えている。おそらく内閣支持率もこの先、どんどん落ちるでしょう。こうなると五輪うんぬんどころではなく、自民党内の最大の関心は衆院選前に党総裁選ができるかどうか。何が起きても不思議ではありません」
悪夢どころか憲政史上「最悪」の安倍・菅政権の終わりの始まりだ。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。