2021年7月30日金曜日

30- 小池都知事 感染を若者の責任にし「一人暮らしは自宅を病床に」と

 東京都はいまコロナ大拡大の渦中にあります。

 これについては何よりも政府に多大な責任がありますが、都知事にもそれなりの責任はあります。
 とはいえさすがに小池都知事にも、今後の対応をいつものようにフリップで鮮やかに示すという余裕はなかったようですが、口だけはそれなりに滑らかでした。
 医療体制にかかる負荷に対する認識について「基本的に3つの柱でやっている。自宅、ホテルなどの宿泊療養施設、そして病院。この病院の病床を、いかにして効果的に効率的に生かすかが鍵になる」として、さらっとこんなことを口にしました。
「とくに、一人暮らしの方々などは、自宅も、ある種、病床のようなかたちでやっていただくことが、病床の確保にもつながるし、その方の健康の維持にもつながる」
 これでは都知事の苦衷など何も伝わりません。最も今更「苦衷の言」などを聞かされてもどうなるものでもありませんが、さすがに口が滑ったでは済まされないものでした。
 当然ながら、ネット上でも批判が巻き起こりました
〈病気になった一人暮らしが自宅で寝ていても、健康維持には繋がらないよ。体調急変しても誰にも気づかれない、助けてもらえない。鬼か〉
〈それを医療崩壊と呼ぶんやで。その状態で死んだら孤独死言うんや〉
〈すっごいね、これ。例えば高熱が出て、血中酸素濃度が下がって、「ひとりで家で寝てろ」って、それは首長が言うことじゃないよね〉
というような具合です。
 LITERAが取り上げました。
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感染者数3177人発表前に小池百合子が都庁からトンズラ! 感染を若者の行動のせいにし「一人暮らしは自宅を病床に」と暴言
                       水井多賀子 LITERA 2021.07.29
 東京都がこれまでとは異次元の段階に入った。27日に新型コロナの新規感染者数が2848人となり、昨日28日にはついには3177人と2日連続で過去最多を更新。政府分科会の尾身茂会長も東京の現状について「医療の逼迫というものがすでに起き始めているというのが我々の認識」と述べた。
 だが、この状況に陥っても危機感を表すこともなく、それどころか涼しい顔で信じがたい暴言を吐いた人物がいる。小池百合子・東京都知事だ。
 小池都知事は昨日28日午前、最多更新となった27日の新規感染者数をめぐる都の福祉保健局長の発言に関する認識を報道陣に問われると、ワクチン接種が進んだ高齢者の重症者数が減少していることを強調し、「陽性者数の問題だけではない。これまで通りとは違う」と主張。ワクチンがあるか・ないかの違いを「紀元前と紀元後」などと表現したかと思えば、一方で「逆にワクチンを受けていないけれど、重症、中等症になる若い世代が増えている」「若い方々の行動パターンが鍵を握っている」「ずーっと頑張っている医療従事者のことも考えていただきたい」などと若者批判をはじめる始末。
 たしかに高齢者の感染者は減っているが、言うまでもなく現在の最大の問題はワクチン接種が進んでいない40〜50代の重症化だ。ワクチン不足によって40〜50代の1回目・2回目接種の受付再開さえいまだに目処が立っていない都内自治体もあるというのに、「これまで通りとは違う」だの「紀元後」だのと言われても、危険に晒されている事実は変わらない。
 ましてや、26日に東京都はコロナ病床を最大数まで引き上げるため、医療機関に「救急医療の縮小・停止」や「予定手術等の延期」など通常診療の制限を視野に入れた病床の転用を要請したが、これは本来受けられる医療が受けられない状態に突入するということ。にもかかわらず、東京五輪の開催を中止せず、開催によってあきらかに矛盾するメッセージを発信してしまっていることの判断の誤りを認めるでもなく、若い世代に対して「ずーっと頑張っている医療従事者のことも考えていただきたい」と上から説教するとは何事だ。医療従事者のことを真っ先に考えるべきはお前だ、という話だろう。
 しかし、小池都知事の「暴言」は、これだけにとどまらない。医療体制にかかる負荷に対する認識について、「基本的に3つの柱でやっている。自宅、ホテルなどの宿泊療養施設、そして病院。この病院の病床を、いかにして効果的に効率的に生かすかが鍵になる」と言うと、さらっとこんなことを口にしたのだ。
「とくに、一人暮らしの方々などは、自宅も、ある種、病床のようなかたちでやっていただくことが、病床の確保にもつながるし、その方の健康の維持にもつながる」
 一人暮らしの人は自宅を病床にしろ、それが健康の維持になる……!? 何が何だかさっぱり意味がわからない。一人暮らしの自宅には医師も看護師もいないのに、どうしてそれが「病床」になるのか。それは部屋にただベッドや布団があるだけではないか。

小池都知事の「一人暮らしは自宅を病床」に非難殺到!「鬼か」「こないだ入院してたの誰だ?」
 この小池百合子都知事の「一人暮らしは自宅を病床に」という暴言に対しては、当然ながら、ネット上でも批判が巻き起こった。
〈病気になった一人暮らしが自宅で寝ていても、健康維持には繋がらないよ。体調急変しても誰にも気づかれない、助けてもらえない。鬼か〉
〈それを医療崩壊と呼ぶんやで。その状態で死んだら孤独死言うんや〉
〈そういうのは、訪問診療と訪問看護を帯(1日n回週7日)で入れられる体制を作ってから言うこと。ただ家にほっとくだけならそれは棄民という〉
〈「病床が足りなかったら、自宅を病床として使えばいいじゃない」みたいな感じ?〉
〈すっごいね、これ。例えば高熱が出て、血中酸素濃度が下がって、「ひとりで家で寝てろ」って、それは首長が言うことじゃないよね。ワクチンも足りてないよね〉
〈え?こないだ入院したの誰だっけ?〉
〈この発言は、都民の命や健康を見放したも同然。感染防止策や支援もろくにせずに、何を言い出すのか〉
 怒りが噴出するのは当たり前の話だが、しかし、この発言が恐ろしいのは、現実に「一人暮らしの自宅を病床に」させられている患者がどんどん膨れ上がっていることだ。昨日28日に東京都が発表したデータだと、「自宅療養」の患者の数はなんと7348人にものぼっており、さらには「入院・療養等調整中」の患者は4172人。合計すると、すでに1万人を超えてしまっているのである。このなかには当然、一人暮らしで誰にも頼れない人も多く含まれていることは容易に想像できるし、第4波の大阪のように自宅で急変しても医療にかかれずそのまま亡くなる「自宅死」が、このままでは増加していくことは目に見えている。
 にもかかわらず、「自宅死をどのようにして阻止するか」の対策を打ち出すでもなく、むしろ平然と「自宅を病床に」などと言い出す。これは「見殺し宣言」にほかならないではないか。
 本サイトでは小池都知事が「安倍晋三に匹敵する冷血な独裁体質の持ち主」であることを繰り返し指摘してきたが、今回もその本性をあらわにした、ということだろう。

安倍と同様、都合が悪くなると姿消す小池百合子 昨日夕方は3000人超発表前に都庁から退庁
 しかも、小池都知事は感染爆発によって医療崩壊一歩手前まで状況を悪化させながら、安倍前首相よろしく、姑息な手段に出ている。それは、あきらかに「露出」を控え、都合の悪い数字が出る前にトンズラしていることだ。
 本来であれば、東京五輪の開催期間中であるにもかかわらず3000人超えという過去最多の新規感染者数を出してしまったのだから、緊急会見を開いてお得意の「パネル芸」で危機的状況であることを都民に訴えるべき局面だ。ところが、小池都知事は昨日28日も会見は開かず、退庁時にたったの30秒、報道陣の取材に応じただけ。「不要不急の外出を控えてください」だの「きょうも三村(明夫)東商会頭とテレワークの徹底をお願いした」だのと言い残して立ち去ったのだ。
しかも、問題はその退庁時刻。小池都知事が東京都庁をあとにしたのは、16時30分ごろ。東京都がその日の新規感染者数などの数を発表するのは16時45分だ。つまり、数字が正式発表される前の時間を狙って退庁したとしか考えられないのだ。
 これは2848人と過去最多を更新した27日も同じ。小池都知事は同日の新規感染者数が発表となる前の15時ごろに退庁しており、吉村憲彦・福祉保健局長が取材対応をおこなっていた。
 その上、この吉村局長の説明も酷いものだった。吉村局長も小池都知事と同様、高齢者の重症患者が減っていることなどを強調。さらには報道陣に対してこう“恫喝”をかけたのだ。
「医療提供体制がにっちもさっちもいかなくなって、死者がばたばた出ることは現状ないと思っている。いたずらに不安をあおるようなことはしていただきたくない
「いたずらに不安をあおるな」って、ワクチン接種が進んでいない40〜50代の重症化や、中等症の患者の増加など、あきらかに医療が逼迫状況にあるいまの東京は不安だらけではないか。しかも、吉村局長は東京五輪が現在の感染状況に与えている影響について問われると「大きな影響を与えているとは思っていない」と発言。吉村局長は以前、東京五輪組織委大会準備運営局次長を務めていた人物だが、五輪をかばうために、都が置かれている危機的状況を見ないようにしているとしか思えない。
 しかし、この吉村局長の“恫喝”も、都庁担当記者の間では「明らかに小池都知事の意向だろう」という認識が一般的だ。
 実際、小池都知事といえば、西村康稔・経済再生相が酒類提供停止に応じない飲食店に対して金融機関を使って圧力をかけようとした際にも、当初は「思いは私も同じ」「現場を担う者としては動きやすくなる、また(飲食店を)説得をしていただきやすくなる」などと同調、違法の恫喝行為を後押ししていた。にもかかわらず、その後、西村大臣の発言に批判が殺到すると、今度はダンマリを決め込んだ。
 恫喝体質を隠さず、都合が悪くなると何事もなかったように知らんぷり。メディアに対して「いたずらに不安をあおるな」と脅しをかけたのも、自分の手を汚したくなくて役割を部下に押し付けた。そんなところだろう。

福祉保健局長がマスコミに「不安煽るな」と恫喝も別の都庁幹部は匿名で「万策は尽きた」「五輪の影響」
 メディアにいちゃもんをつけ、医療崩壊待ったなしの状況であることを認めようとせず、そればかりか都合の悪い数字が発表される前にトンズラする──。あまりにも無責任かつ下劣としか言いようがないが、一方でいま東京が最大の危機を迎えていることをしっかり認識している都庁幹部もいる。実際、27日放送の『news23』(TBS)では、都庁幹部による「緊急事態宣言の効果がなくなったと言っても過言ではない状況が生まれている。万策は尽きた」というコメントを紹介。同日放送の『報道1930』(BS-TBS)でも、同じ都庁幹部の「万策は尽きた」というコメントが取り上げられ、さらにこの都庁幹部は「五輪との因果関係はあると思う」ともコメントしたと伝えられた。
 しかし、この「万策尽きた」という都庁幹部のコメントが象徴しているのは、小池都知事の姿勢だ。方策がないどころか、十分な補償とセットにした協力要請はもちろん、東京には「五輪の中止」というカードもある。いま五輪を中止すれば、そこに割かれている療養用ホテルや病床、医療従事者のリソースを戻せる上、現在が危機的状況であることを周知する強いメッセージになる。だが、それでも「万策尽きた」と言うのは、それを小池都知事が決断する気がない、ということだ。
 そして、今回の「一人暮らしの人は自宅を病床に」発言……。東京五輪という感染拡大の要因にくわえ、平然と都民を見殺しにすることを口にする小池氏を首長に据えている事実の深刻さを、都民はどれだけ認識できているのだろうか。(水井多賀子)