2021年7月20日火曜日

20- 障害者団体 開会式の楽曲担当小山田圭吾氏のいじめで強く抗議

 東京五輪・パラ組織委員会は19日、五輪の開会式で楽曲を担当するミュージシャンの小山田圭吾氏の辞任を発表しました。
 14日に五輪開会式の楽曲担当が小山田圭吾氏であると発表されると、同氏が94年1月発行の「ロッキング・オン・ジャパン」と95年8月発行の「クイック・ジャパン」誌上で、小中高一貫校に在学中に障害のある級友に対し筆舌に尽くしがたい苛烈ないじめ行為繰り返したことを、何の反省も示さずに武勇伝風に語っていたことがネットで取り上げられ、批判に晒されましたそれは肉体的、精神的な「拷問」そのものでした。
 また、知的障害者の権利擁護と政策提言を行う一般社団法人「全国手をつなぐ育成会連合会」会員約10万人18日、この問題について公式サイトで小山田圭吾氏に関する一連の報道に対する声明」を発表しました。
 その中で。障害のあるクラスメイトに対し、採録がためらわれるほどの凄惨な、いじめというよりは虐待、あるいは暴行と呼ぶべき所業を繰り返したことを非難し、大きく3点が重大な問題点であるとして、
 (1)障害の有無に関わらず、いじめや虐待は許されるものではない
 (2)小山田氏の行為は極めて露悪的である
 (3)なぜ小山田氏が楽曲提供担当となり、組織委は留任させることにしたのか
を挙げました。
 そうした非難に対して小山田氏は16日にツイッターで謝罪しましたが、批判は収まらず19日、組織委に対して楽曲担当辞任を申し出ました。
  ⇒ <全文>五輪開会式の楽曲担当の小山田圭吾さん、学生時代のいじめを謝罪
    いじめ加害告白の小山田圭吾さん、五輪開会式の楽曲担当の辞任申し出
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
小山田圭吾さん 五輪開会式の楽曲担当辞任 過去に同級生いじめ
                            毎日新聞  2021/7/19
 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は19日、4日後に迫る五輪の開会式で楽曲を担当するミュージシャンの小山田圭吾氏(52)の辞任を発表した。同級生をいじめていたとする過去のインタビューなど一連の騒動を受けて小山田氏から辞任の申し出があった。組織委は小山田氏に続投を求めていたが、批判の高まりを受けて一転、「誤った判断」として受け入れた。
 小山田氏はツイッターで「私がご依頼をお受けしたことは、様々な方への配慮に欠けていたと痛感しております。組織委員会の皆様へ辞任の申し出をさせて頂きました」とつづった。

 東京五輪・パラリンピックを巡り役職辞任などに至った主なトラブル(写真版より作成)
 15年9月 佐野研二郎  公式エンブレム盗作疑惑により白紙撤回
 19年3月 竹田恒和  五輪招致時の不正疑惑で五輪委員会会長を任期満了で退任
 21年2月  喜朗  女性蔑視発言により大会組織委員長を辞任
 21年3月 佐々木宏  タレントの容姿を侮辱し開会式演出の総合統括を辞任
 21年7月 小山田圭吾  同級生いじめで開会式楽曲担当の辞任申し出
      (敬称略)
 組織委が14日、小山田氏が楽曲担当であることを発表すると、ネット交流サービス(SNS)上では、1994年1月発行の雑誌「ロッキング・オン・ジャパン」などで掲載されたインタビューでいじめをしていたと明かしていた過去が大きな批判を浴びた。
 小山田氏は16日に「深い後悔と責任を感じている」と謝罪文を掲載する一方、「辞退すべきだったかもしれないが、自分の音楽が少しでも力になれば」と開会式の楽曲担当を続ける意向を示した。組織委の武藤敏郎事務総長も17日、小山田氏を続投させる意向を示し、雑誌での発言については「知らなかった」とした。
 しかし、小山田氏を巡る騒動は収まらず、海外でも「五輪を悩ませる最新のスキャンダル」などと相次いで報道された。国内でも加藤勝信官房長官は19日午前、「いじめや虐待はあってはならず、許されるものではない」とした上で、「組織委で適切に対応していただきたい」と述べた。
 東京五輪・パラリンピックは大会ビジョンの一つに「多様性と調和」を掲げるが、今年に入って不祥事が相次ぐ。2月に前会長の森喜朗氏(84)が女性蔑視発言で会長を引責辞任した。3月には開閉会式で演出の総合統括を務める佐々木宏氏(66)が女性タレントの容姿を侮辱するプランを提案したことが発覚し、責任を取って辞任した。【円谷美晶】
 辞任を明らかにしたミュージシャンの小山田圭吾氏が自身の「ツイッター」に投稿した全文は次の通り。(後 略)
   ⇒ いじめ加害告白の小山田圭吾さん、五輪開会式の楽曲担当の辞任申し出


障害者団体「強く抗議」 小山田圭吾さんのいじめ加害で声明 組織委員会に「重い説明責任」
                         東京新聞 2021年7月19日
 知的障害者の権利擁護と政策提言を行う一般社団法人「全国手をつなぐ育成会連合会」は18日、東京五輪開会式の楽曲を担当するミュージシャンの小山田圭吾さんが過去の雑誌インタビューで告白した学生時代のいじめに批判が集まっている問題について、公式サイトで声明を発表した。連合会は、知的障害者本人や親、支援者らで構成され、会員は約10万人。(デジタル編集部)

◆「理解に苦しむ」
 声明では「小山田氏のインタビュー記事は採録がためらわれるほどの凄惨な内容であり、いじめというよりは虐待、あるいは暴行と呼ぶべき所業」とし、「小山田氏の行為には強く抗議する」としている。
 さらに「なぜ小山田氏が自身を『いかなる差別も禁じる』としている五輪憲章を掲げるオリンピック、そして障害者アスリートの祭典であるパラリンピックの楽曲提供を担当するに相応しいと考えたのか、理解に苦しみます」と指摘。また「今般の事案を踏まえても留任させる決断をしたにも関わらずまったく公式な説明を行っていない東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会には、重い説明責任があります」として、小山田氏と組織委員会に「真摯な説明」を求めている

◆「楽しめない気持ちに」
 一方で、「すでにオリンピックの開催が直前に迫っており、小山田氏も公式に事実を認め謝罪していることも勘案して、東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作への参加取りやめまでを求めるものではありません」としつつ、「今般の事案により、オリンピック・パラリンピックを楽しめない気持ちになった障害のある人や家族、関係者が多数いることについては、強く指摘しておきたい」とつづっている。
 連合会の事務局、又村あおいさんは、今回の声明について「国際的なイベントに、五輪憲章に明らかに抵触する差別的な言動があり、雑誌で取り上げた人物が重要な役割でかかわることに、強く抗議すべきだとの声が会員から上がっている」と説明。「今後小山田さんや組織委員会からできる限り早く、真摯な説明がなかった場合は、さらに厳しい声明を出さざるをえない」としている。
 雑誌は1994年1月発行の「ロッキング・オン・ジャパン」と95年8月発行の「クイック・ジャパン」。小山田氏が東京五輪の開会式で楽曲制作の担当に起用されたことで、インターネットなどで批判の声が上がり、小山田氏は16日に学生時代のいじめについて謝罪する文章をツイッターに投稿している。

 全国手をつなぐ育成会連合会の声明全文は次の通り。

小山田圭吾氏に関する一連の報道に対する声明

 東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作へ参加しているミュージシャンの 小山田 圭吾 氏に関する一連の報道について、一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会(以下「本会」という。)として次のとおり声明を発表いたします。
 新聞等の報道によると、小山田氏は私立の小中高一貫校に在学していた際、障害のあるクラスメイトに対し、筆舌に尽くしがたい苛烈ないじめ行為をしており、そのことを平成6年(1994年)および平成7年(1995年)の2回にわたり、異なる音楽雑誌のインタビューで赤裸々に語っていました。小山田氏自身も、公式サイトにおいていじめ行為があった事実を認めており、謝罪もしています。(ただし、あわせて音楽雑誌側に事実を誇張していた旨の主張もしています)
 今回の事案について、本会としては大きく以下の3点が重大な問題点であると認識しています。
(1)障害の有無に関わらず、いじめや虐待は許されるものではない
 小山田氏のインタビュー記事は採録がためらわれるほどの凄惨な内容であり、いじめというよりは虐待、あるいは暴行と呼ぶべき所業です。このような行為は、たとえ学生という未成熟な年代であったとしても、許されるものではありません。しかも、そのターゲットが反撃される可能性が少ない障害のあるクラスメイトだったことも考え合わせると、小山田氏の行為には強く抗議するものです。
(2)小山田氏の行為は極めて露悪的である
 上記のとおり小山田氏の行為は決して許されませんが、学生という年代であったことを考慮すると、行き過ぎた言動に走ってしまうことはあるかもしれません。
 しかし、そのことを成人して著名なミュージシャンとなった後に、わざわざ高名な音楽雑誌のインタビューで面白おかしく公表する必要性はなかったはずです。極めて露悪的と言わざるを得ません。しかも、インタビューでの発言では明らかに障害者を差別的に揶揄している部分も各所に見受けられ、少なくともインタビュー時点ではまったく反省していないばかりか、一種の武勇伝のように語っている様子が伺えます。
(3)なぜ小山田氏が楽曲提供担当となり、留任させることにしたのか
 小山田氏の公式サイトによると、「過去の言動に対して、自分自身でも長らく罪悪感を抱えていたにも関わらず、これまで自らの言葉で経緯の説明や謝罪をしてこなかった」と明記されており、東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作への参加要請があった際にも、組織委員会に対していじめ加害者であったことは説明していなかったことが色濃く推測されます。
 あれだけ露悪的なインタビューが公表されているにも関わらず、なぜ小山田氏が自身を「いかなる差別も禁じる」としている五輪憲章を掲げるオリンピック、そして障害者アスリートの祭典であるパラリンピックの楽曲提供を担当するに相応しいと考えたのか、理解に苦しみます。同様に、そのような小山田氏を起用し、今般の事案を踏まえても留任させる決断をしたにも関わらずまったく公式な説明を行っていない東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会には、重い説明責任があります。
 本会としては、すでにオリンピックの開催が直前に迫っており、小山田氏も公式に事実を認め謝罪していることも勘案して、東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作への参加取りやめまでを求めるものではありません。
 しかし、今般の事案により、オリンピック・パラリンピックを楽しめない気持ちになった障害のある人や家族、関係者が多数いることについては、強く指摘しておきたいと思います。
 小山田氏が露悪的であったことも含め心からの謝罪をしたのか、それとも楽曲提供に参画したい一心でその場しのぎで謝罪をしたのか、本会としては小山田氏の言動や東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の動向について、今後も注視してまいります。
                         令和3年(2021年)7月18日
                     一般社団法人 全国手をつなぐ育成会連合会

                               会 長  久 保 厚 子