2021年7月2日金曜日

東京都“爆発的感染拡大の可能性”試算公表

 1日に開かれた東京都のモニタリング会議で、専門家は都内の新規陽性者数の増加比が大きく上昇していて、「感染が再拡大していると考えられる」と指摘しました。このままいけば東京都は7月中旬に1日1000超え、4週間後の8月4日頃には2000超える見通しということです。
 1日1000人超えは今年の年明けのレベルです。1月4日には905人/日であったのが、7日には2520人/日に急上昇し、それが緊急事態下でようやく1000人/日を切ったのは1月29日になってからでした。
 当時はまだ首都圏には英国株は広がっていませんでしたが、こんどはインド株が主体を占めることを思えば、8月4日頃に2000超えるというのは甘い見通しかも知れません。
 何しろワクチン接種以外には感染拡大について何も対策を打っていないのですから、医療提供体制はたちまち限界に達し、多くの重症者が自宅待機を余儀なくされ、日本で最大の死者数を出した「大阪での悲劇」が再来するのは確実です。本来であれば五輪は中止するべきですが、仮に開くとしても無観客で行うことは最低の条件になるでしょう。

 ところで6月30日に行われた政府の新型コロナ対策本部と国会議員、厚労・文科部会合同会議で、内閣官房の担当者から五輪に出場する選手が新型コロナに感染した場合の濃厚接触者の扱いについて「本来であれば検査で陰性でも14日間自宅待機等の制限がかかるのが日本国内のルールです。しかしながら、一生懸命努力を重ねてようやく東京大会にこられた方々を、濃厚接触したということで14日間隔離してしまうと試合に出ることができなくなるので・・・」と、特別扱いを考えているという発言がありました。
 東京五輪におけるコロナ感染対策を記した「プレーブック」では、選手らに対する検査について細かく示され、ルールに違反した場合の処置も記されているにもかかわらず、こんな例外を認めたらすべてが無意味なものになってしまいます。
 もしも選手間に濃厚接触者らによるクラスター発生したらどうするのでしょうか。それが選手間に留まる保証もありません。当事者は「温情」と考えているのかも知れませんが甘すぎます。
 NHKと日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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“4週間後に新規陽性1000人超も”都モニタリング会議
                     NHK NEWS WEB 2021年7月1日
東京都のモニタリング会議で、専門家は都内の新規陽性者数の増加比が大きく上昇していて、「感染が再拡大していると考えられる」と指摘しました。
現在の増加比が続くと、4週間後には1日に1000人を超えるとして急激な感染拡大に強い危機感を示しました。
会議のなかで、専門家は、都内の感染状況と医療提供体制をいずれも4段階のうち最も高い警戒レベルで維持しました。
新規陽性者の7日間平均は、先月30日時点でおよそ503人となり、およそ418人だった1週間前・先月23日時点の12倍になりました。
新規陽性者数の増加比は3週続けて大きく上昇していて、専門家は「感染が再拡大していると考えられる」と指摘しました。
また、現在の増加比が続くと、2週間後の今月14日には1日およそ724人となり、3回目の緊急事態宣言が出された4月下旬とほぼ同じレベルに、さらに、4週間後の今月28日には1000人を超えておよそ1043人と、年明けの第3波とほぼ同じレベルになると分析しました。
そして、人出の増加や感染力が強い変異ウイルスの影響を踏まえると、第3波を超える急激な感染拡大が危惧されると強い危機感を示しました。
一方、先月30日時点で入院患者は1553人と1週間前の先月23日より252人増えました。
また、重症の患者は3人増えて47人で高い値で推移していると指摘しました。
専門家は新規陽性者数が増えれば若い世代や中年であっても入院が必要な中等症患者が一定の割合で発生するほか、重症化する患者も増加するとして、医療提供体制がひっ迫するおそれがあると危機感を示しました。
モニタリング会議のあと、東京都医師会の猪口正孝副会長は、都内の医療提供体制の今後の見通しについて、「デルタ株の感染のスピードを考えると決して楽観できない」と述べました。
そのうえで「まだ、デルタ株の重症化率がよく分かっていない。高いということになると、感染のスピードとともに一気に病床がひっ迫してくる可能性が非常に高いので、かなり警戒をしている」と述べ、強い懸念を示しました。
さらに「新型コロナウイルスに感染した患者を診る病院がワクチンの個別接種や集団接種を行い、職域接種も行っていて余力がない状況だ。このあたりも考慮し、感染者を少なくしていただきたい」と述べ、感染対策の徹底を呼びかけました。


東京五輪選手「濃厚接触者の特別扱い」でクラスター発生は時間の問題
                          日刊ゲンダイ 2021/07/02
「最後の砦」が崩れたら感染拡大は防ぎようがない。
 6月30日に行われた政府の新型コロナ対策本部と国会議員、厚労・文科部会合同会議で、内閣官房の担当者から仰天発言が飛び出した。7月23日に開幕する東京五輪に出場する選手が新型コロナウイルスに感染した場合の濃厚接触者の扱いについて、こう答えていたからだ。
「本来であれば濃厚接触になれば、検査で陰性でも14日間自宅待機等の制限がかかるのが日本国内のルールです。しかしながら、やはり4年に1度の大会であり、選手が一生懸命努力を重ねてようやく東京大会にこられた方々を、濃厚接触したということで14日間隔離してしまうと、試合に出ることができなくなるという状況もあり、(略)関係者の間で何ができるのか、選手のためにそういったことを調整を行っているところです」
 つまり、簡単に言うと濃厚接触者は本来、14日間の隔離が必要なのだが、五輪選手はそうではなく「特別扱いを考えている」というわけだ。
 東京五輪におけるコロナ感染対策を記した「プレーブック」では、選手らに対するPCR検査や抗原検査について細かく示され、ルールに違反した場合には、参加資格の剥奪や国外退去の強制措置などが記されている。にもかかわらず、こんな例外を認めたら、すべてが無意味なものになってしまうだろう。
 さらに言えば、これまでの緊急事態宣言や自粛生活は一体何だったのか。すべては濃厚接触者らによるクラスター(感染者集団)の発生を防ぐための対策ではなかったのか。「五輪だから特別扱い」したところで、ウイルスが活動を控えるわけがない。
「一生懸命努力を重ねて」いるのは五輪選手だけではない。飲食店をはじめとする中小企業、そこで働く人、サラリーマンも皆、コロナ感染拡大封じ込めのために努力を重ねている。このままだと、ヘタをすれば濃厚接触者による感染爆発が発生し、それが日本国内中に広がりかねない。
 政府の水際対策はあちこち穴だらけだが、五輪選手の濃厚接触者特別扱いだけは絶対ダメだ。