2021年7月29日木曜日

東京都の新規感染者数 過去最多の3177人 28日

 28日、政府分科会の尾身会長は、衆議院内閣委員会で、コロナの入院患者や高濃度の酸素吸入を必要とする人、それに自宅や宿泊施設で療養している人などが増えていると指摘し「医療のひっ迫がすでに起き始めている」と述べました。

 東京都はコロナ新規感染者が急増する中で26日、都内の医療機関に対し、通常医療の制限をしてでもコロナ病床確保を求める通知を出しました。
 具体的には ▽救急医療の縮小・停止 ▽予定手術等の延期 ▽一部診療科の停止 ▽診療機能の縮小 などで、新規439病床の確保を8月6日をめどに行うよう求めています。
 しんぶん赤旗が報じました。
 要するに同じパイの中でコロナ患者分を拡大するためには、それ以外のところを縮小するしかないということで、コロナ以外の患者の重症化(や死)につながりかねないものです。
 日本の病院がコロナ患者対応能力が海外に比べて圧倒的に低い理由は、公立と私立の比率が、日本では私立が圧倒的に多数で 海外の比率と完全に逆転しているせいですが、それが更に拡大する方向で進み、全く改善できていないことが目下の事態につながりました。
 
 NHKが都内の医療施設の実態について以下のように報じました。
 中等症の患者を受け入れている杉並区にある「河北総合病院」では新型コロナの患者のために43床を確保していますが、1週間ほど前から入院患者が増え、28日の時点では46人になったため家族の患者は同じ病室に入院してもらうなどして対応しています。
 同病院がいま一番注意しているのは院内感染を起こさないことで、もしも院内感染が起こると医療崩壊に直結します。
 都内の入院患者数は、27日時点で2864人と1か月前の倍近くになったほか、病床の使用率も上昇し、48%になりました。上述の通り、都は新型コロナ患者を受け入れている医療機関通常医療の制限検討することを要請しましたが、逆に医療機関からは「通常医療を制限するなら都が都民に対してしっかり説明してほしい」という要望が出されたということです。
 文京区の東京医科歯科大学附属病院では、28日朝、病院の幹部などを集めてオンライン会議き、そこで中等症の病床が満床状態になっていることが報告されました。収容能力を上げるため、これまで「アルファ株」と「デルタ株」の患者分けていましたが、病室を分けるのを一旦やめことを決めました。
 東京都では、自宅療養している人の人数1か月前と比べ5倍に急増し21日時点で4068人になりました。
 自宅療養者の往診にあたる世田谷区にある『ふくろうクリニック等々力』の山口潔院長によると、26日に往診した自宅療養の患者が1週間熱が下がら肺炎の症状もあったため中等症と診断して入院することになったということです。山口院長は「在宅でも酸素投与や点滴はできるが、病院での治療と比べて圧倒的に手間がかかり限界もある」と述べています。
 21日時点で自宅待機者が4000人以上ということは既に医療崩壊に近いと言えます。これ以上感染拡大が続けば一挙に医療崩壊につながります。
 併せてNHKの記事を紹介します。
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通常医療制限を通知 コロナ病床確保へ都 救急医療停止や手術延期
                       しんぶん赤旗 2021年7月28日
 東京都内の新型コロナ新規感染者が急増する中で、都が都内の医療機関に対し、通常医療の制限をしてでもコロナ病床確保を求める通知を出していることが明らかになりました。通知は26日付。
 都内のコロナ病床は現時点で重症用392床を含め5967床。これを最大6406床に引き上げるための体制を求めています。
 体制確保に当たっては、各医療機関の実情を踏まえるとしながらも「最大確保病床に至っていない医療機関におかれましては、都から個別に確認の御連絡」をするとし、「通常医療の制限等を視野に病床の転用等」を要請しています。
 具体的には ▽救急医療の縮小・停止 ▽予定手術等の延期 ▽一部診療科の停止 ▽診療機能の縮小―を提示。体制確保は8月6日をめどに行うよう求めています。
 通知は、現在の感染状況について「今後、新規感染者数が急速に増加すれば、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)の危機に直面」という都の会議の指摘を示しています。
かつてない危機の表れ
 日本共産党の藤田りょうこ都議の話 通知は、都内の医療体制がかつてない危機に直面していることの表れです。オリンピックは今からでも直ちに中止し、ワクチン接種の推進、検査の強化など、コロナ対策の抜本的強化に力を集中するべきです。


過去最多の3177人となった28日の東京都の新規感染者数
                     NHK NEWS WEB 2021年7月28日
感染拡大に歯止めがかからず、医療体制のひっ迫への危機感が広がっています。東京都の医療体制の現状をまとめました。

尾身会長「医療のひっ迫がすでに起き始めている」 
28日、政府の分科会の尾身会長は、衆議院内閣委員会で「夜間の滞留人口は、繁華街などでは少しずつ減ってきているが、期待されるレベルには残念ながら至っていない」と指摘しました。
そのうえで、尾身会長は、入院患者や高濃度の酸素吸入を必要とする人、それに自宅や宿泊施設で療養している人などが増えていると指摘し「医療のひっ迫がすでに起き始めているというのが、われわれの認識だ」と述べました。
そして「もう少し急激に、人流や接触の機会を下げる必要がある。入院のひっ迫に関する指標を市民に十分理解していただき、日本の社会みんなが危機感を共有することが、今、非常に重要だ」と述べました。

中等症患者 受け入れの病院「キャパオーバー」
中等症の患者を受け入れている都内の病院では、用意した病床を上回る患者が入院するなど、対応に追われています。
東京 杉並区にある「河北総合病院」は、新型コロナウイルスの患者に対応する基幹病院の1つで、本院と近くにある分院で中等症までの患者を受け入れています。
病院では新型コロナの患者のために43床を確保していますが、1週間ほど前から入院患者が増え、28日の時点では46人が入院しています。
家庭内で感染するケースも多いため、家族は同じ病室に入院してもらうなどして対応しているということです。
年代別では、▽30代までの若い世代が全体の3分の2を占めているほか、▽40代や50代の患者が重症化して別の病院に転院するケースもあるということです。
また、▽1歳未満の赤ちゃんも6人入院し、感染を防ぐガウンを着た看護師がだっこしてミルクを与えるなどしていて、入院患者の増加で、業務の負担も増しているということです。
この病院の発熱外来には連日20人以上が訪れていて、検査した人のおよそ4割が陽性と確認された日もありました。
河北総合病院の杉村洋一院長は「7月の初めくらいまでは35人から40人だったが、ここ2週間ほどは43床が満床になり、1週間くらい前からは入りきらなくなった。感染力が強く、潜伏期間も長い変異株の患者が増えていて、40代、50代が重症化して人工呼吸器を付けるケースも増えている。キャパオーバーの状況はしばらく続くのではないかと思う」と話しました。
さらに「いま一番注意しているのは院内感染を起こさないこと。この状況で院内感染が起こると医療崩壊に直結するので、これから治療や検査で入院が決まっている人は、極力感染するような場所には行かないでほしい。難しいが、人流を抑える努力をして、若い人には今までよりも自分たちにリスクが増えていることを知ってもらいたい」と話していました。

都「通常医療の制限も検討を」 医療機関「都民に説明を」
内の入院患者数は、27日時点で2864人と1か月前の倍近くになったほか、病床の使用率も上昇し、48%になりました。
こうした中、東京都は新型コロナウイルスの患者を受け入れている医療機関を対象に説明会を開き、通常医療の制限も検討してさらに病床を確保するよう要請しました。
医療機関からは「通常医療を制限するなら都が都民に対してしっかり説明してほしい」などという懸念の声が出されたということです。
都は「現在、確保している病床」の5967床を、来月6日をめどに「最大で確保できる」としている6406床まで増やしたいとしています。

大学病院「一般診療に影響が出かねない」
都の要請を受け、東京 文京区の東京医科歯科大学附属病院では、病床の確保についてどう対応するか、28日朝、病院の幹部などを集めてオンライン会議が開かれました。
会議では、28日の時点で、▽中等症の患者が21人、▽重症の患者が4人、それぞれ入院していて、中等症の病床が満床状態になっていることが報告されました。
こうしたことから、これまでは変異ウイルスの患者の病室について、▽イギリスで確認された変異ウイルス「アルファ株」と、▽感染力が強いインドで広がった「デルタ株」の患者などで分けていましたが、感染が急拡大している今、病室を分けるのをいったんやめ、同じにすることで、病室を空けて患者をより多く受け入れる体制を取ることを決めました。
病院が撮影した映像では、デルタ株を意味する「L452R」という貼り紙がされた病室に、看護師らが慌ただしく出入りして対応に当たっていました。
この病院では、重症患者はまだ受け入れられるものの、さらに感染の急拡大が続き、重症患者も増えていけば、一般診療に影響が出かねないと危機感を強めています。
東京医科歯科大学附属病院の小池竜司副病院長は「患者は爆発的に増えている。変異株の型で病室を分けるという必要度よりも、患者を収容するということを優先せざるをえないのでご理解いただきたい」と話しています。

救急搬送困難なケース急増
救急患者を受け入れる医療機関がすぐに決まらない「搬送困難」なケースも、7月に入り急増しています。
総務省消防庁のまとめによりますと、今月25日までの1週間では2202件と3週連続で増加し、前の週(18日まで)の1週間の1545件と比べると1.4倍になっています。
このうち、新型コロナウイルスの感染が疑われるケースは698件で、前の週までの1週間と比べて1.6倍に急増しています。
地域別にみますと、
▽東京都が1121件(+285件)
▽大阪市が255件(+116件)
▽札幌市が137件で(+54件)
▽横浜市が135件(+53件)
などと大都市で目立つということです。
総務省消防庁は「地域にもよるが、医療機関の選定や患者の搬送に時間がかかる状況がすでに発生し、データからは病床がひっ迫する兆しも見えている。よりいっそう新型コロナウイルスの感染対策をとってほしい」としています。

東京都の自宅療養者 1か月前の5倍以上に
一方で、自宅療養している人の人数も1か月前と比べ急増しています。
今月21日時点で全国で1万人を超え、東京都では4000人余りと、1か月前の5倍余りに増えたことが厚生労働省のまとめで分かりました。
厚生労働省のまとめ(今月21日時点)
▽全国 1万717人
 前の週(5809人)よりおよそ4900人増えています。
▽東京都 4068人
 前の週(1839人)のおよそ2倍、1か月近く前の6月23日時点(711人)と比べると5.7倍に増加しています。
▽神奈川県 2241人
 前の週(1468人)の1.5倍、1か月前(746人)の3倍に
▽千葉県 792人
 前の週(470人)の1.7倍、1か月前(251人)の3倍余りに
▽埼玉県 1104人
 前の週(410人)の2.7倍、1か月前(108人)と比べると10倍以上に急増しています。
往診の医師「在宅では十分に治療できるか心配」
自宅療養者の往診にあたる医師も危機感を強めています。
世田谷区にある『ふくろうクリニック等々力』の山口潔院長によりますと、26日に往診した自宅療養の患者が「1週間熱が下がらない」と話し、肺炎の症状もあったため中等症と診断して入院することになったということです。
山口院長は「在宅でも酸素投与や点滴はできるが、病院での治療と比べて圧倒的に手間がかかり限界もある。地域のかかりつけ医は新型コロナの診断をしたことはあっても治療の経験はほとんどなく、十分に対応できるか心配している」と話しています。
感染の拡大で自宅療養者も増えると見られることから、ほかの地区医師会にも協力を呼びかけることにしています。