4日投開票の都議選では、自民党は、都民ファースト(都ファ)の没落予想に気を良くして50議席以上の大勝を予想しました。勝利宣言の原稿まで出来上がっていたそうですが、最終版で事態は大きく変わり選挙プランナーの三浦博史氏から直近の情勢を伝えられた菅首相はショックを受け、4日夕には官邸を引き揚げ議員宿舎にこもったということです
植草一秀氏が「五輪有観客を否定した東京都議選」と総括する記事を出しました。
同氏は、「自公が圧勝するとの見通しが意図的に流布され、人々の行動を誘導する情報操作が展開された。投票率も40・8%と極めて低く、通常投票率が下がれば下がるほど組織票を持つ自公には有利になるがそれでも自公は過半数議席を確保できず、都ファは壊滅的に敗北するとされていたが善戦した」としています。自民敗北の最大の理由は、五輪の有観客開催強行方針に象徴される菅自公政権の横暴・暴走にあるとしています(都ファは五輪の無観客化を公約に明示しました)。
植草氏は、国民の8割が東京五輪の中止または無観客開催を求めているのに、それを無視して有観客開催を強行しようとする菅氏に対して主権者が断罪する日は近いと述べています。「天の網は菅氏を見逃さない。菅内閣終焉が秒読み態勢に移行した」と。
植草一秀氏のブログを紹介します。
AERA dot. も「 ~ 菅首相に『選挙の顔は無理』自民党幹部から厳しい声」とする記事を出しました。そのなかで。
「東京都議選で都ファは31議席を獲得したのに対して、50議席以上の大勝と予測されていた自民党は33議席に留まり(公明党は解散時の23議席維持)、自公あわせても過半数64議席には遠く及ばない」、「都議選で大勝し、東京五輪・パラリンピックを成功させて、解散総選挙につなげたかった菅首相は大誤算」、「菅首相の下での自民党は、4月の衆参補選・再選挙で3連敗し、千葉県知事選挙、静岡県知事選挙でも敗北した。そのうえにこの都議選の結果では、衆院選は戦えないことがはっきりした」と述べています。
まあ、党首が変わって自民が伸びることなどは決して望みませんが、菅氏が退場すること自体は結構なことです、
併せて紹介します。
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五輪有観客を否定した東京都議選
植草一秀の「知られざる真実」 2021年7月 5日
東京都議選が投開票日を迎えた。
定数は127。過半数は64。自公が過半数を確保するとの見通しが流布されていた。
しかし、現実はそうならなかった。
自公が圧勝するとの見通しを意図的に流布して人々の行動を誘導する。こうした情報操作が展開されている。しかし、自公は過半数議席を確保できなかった。
都民ファーストは壊滅的に敗北するとされたが大善戦した。
自民獲得議席が都民ファーストを2議席上回り、第一党を確保する可能性がある。
投票率は40.8%。有権者の4割しか選挙に行かなかった。
選挙に行かない理由の第一は「入れたい候補者がいない」。
これに、「誰に入れていいかわからない」、「政治家は公約を守らない」が続く。
投票率が下がれば下がるほど、自公には有利になる。
自公支持者は何があっても選挙に行く。自公支持者は全有権者の25%程度と推定されるが、この支持者を全員選挙に動員することによって自公は政権を維持している。
投票率が4割なら自公が圧勝しておかしくない。しかし、その自公が過半数議席を確保できなかった。
最大の理由は五輪の有観客開催強行方針に象徴される菅自公政権の横暴・暴走にある。
本ブログ、メルマガで、五輪の有観客開催強行を主導する自公には絶対に投票するべきでないことを訴えてきた。東京都の有権者の間でも、この声が強まったと考えられる。菅政治に対する明確なNOの意思表示。
都民ファーストは五輪の無観客化を公約に明示した。自公の有観客開催よりもはるかに望ましい政策公約。
共産党やれいわ新選組は明確に東京五輪中止を訴えた。この訴えも主権者から支持を集めたと考えられる。
菅義偉氏は「国民の命と健康を最優先する」と口で言いながら、真逆の行動をゴリ押しする。
人流が拡大し、新規陽性者数が拡大に転じるなかで緊急事態宣言解除を強行。
それだけでない。五輪の有観客開催を押し通そうとしている。
開会式を2万人規模で開催する方針を示し、鉄道各社に五輪開催期間の終電繰り下げを要請した。コロナで国民がどれだけ力を注いできたのかをまるで理解していない。
国会議席の多数を占有すれば何をやっても構わないと考えている。
議会制民主主義そのものを冒涜している。
国民の8割が東京五輪の中止または無観客開催を求めている。その国民意思を無視して有観客開催を強行しようとしている。
民主主義の根幹を踏みにじる菅義偉氏に対して主権者が断罪する日は近い。
菅義偉氏が首相に就任したのは昨年9月。9ヵ月が経過したが、菅義偉氏の政策運営に成功は皆無。失政の連続だ。
最大の失政はコロナ。菅コロナ大失政は鮮明。Go Toで感染爆発を招いた。
海外で変異株が確認されても迅速な水際対策を取らない。変異株が容易に流入して感染爆発を引き起こした。
3月には五輪聖火リレー開始に合わせて緊急事態宣言を無理やり解除。
「再び緊急事態宣言を出すことがないように対策をしっかりやるのが私の責務」と述べながら、わずか1ヵ月後に緊急事態宣言再発出に追い込まれた。
6月21日の緊急事態宣言解除も誤り。解除を強行して五輪有観客開催を強行しようとする。
天の網は菅義偉氏を見逃さない。菅内閣終焉が秒読み態勢に移行した。
(以下は有料ブログのため非公開)
小池劇場にしてやられた菅首相に「選挙の顔は無理」自民党幹部から厳しい声
AERA dot. 2021/07/05
次期衆院選の前哨戦となる東京都議選(定数127)は、最終日に「小池劇場」の幕が開き、想定外のどんでん返しとなった。
小池百合子東京都知事の応援で都民ファーストの会(以下は都民ファ)が劣勢を覆す善戦で31議席を獲得。一方、50議席以上の大勝と予測されていた自民党は最終日に失速し、辛うじて第一党となったものの、33議席に留まった。公明党は前回と同じく23議席を獲得したが、自公であわせても最低ラインとした過半数(64議席)には遠く及ばず、与党に衝撃が走った。
投開票が始まった7月4日夜、自民党本部に集まった東京都連幹部らの表情は固く、候補者の名前に当確の花を付けるようなムードになかなかならなかった。
「50議席まではいかないにしても、45議席以上は堅いと予測され、党内は最終日(3日)まで大勝ムードでしたので、33議席はショックが大きかった。小池さんが選挙区に入った際も、叩き潰してやれ、という感じでまだ余裕でしたから。それがたった1日で情勢をここまで一変させるとは、小池さんこそ都議選のゲームチェンジャーでしたね」(自民党都連幹部)。
一方、菅首相は投開票日の4日夕には官邸から引きあげ、議員宿舎に引きこもったという。
「選挙プランナーの三浦博史さんから都議選の情勢についてレクチャーを受け、相当ショックを受けたようです。選挙に勝てないイメージを払拭するチャンスだったのに小池さんにしてやられた。何が起こっているのか理解できず、茫然となっているようでした。あくまで地方選挙であり国政に影響しない、とコメントするしかないでしょう」(官邸関係者)
菅首相の今後の政権運営はもちろん、今秋の衆院選に向け、求心力が低下することは確実となった。自民党の閣僚経験者はこうため息をつく。
「都議選の結果でこのままでは、衆院選は戦えないことがはっきりしたのではないか。菅首相のコロナ対応、東京五輪・パラリンピックへの対応は都民に支持されなかったということだ」
逆に小池知事の政治的な存在感は高まった。
「最終日に都民ファの候補者の応援に入る大勝負にでた。下馬評通り大敗していたら、政治力は失墜したが、勝ったということですね。菅首相も今後は小池さんの政治力を無下にできないでしょう」
菅首相は東京五輪・パラリンピック開催や新型コロナウイルス対応について、世論調査や都議選の議席予測の数字を常に参考にしながら決めてきたという。
「公明党と足せば、過半数は軽くクリアできると思っていたのに…。都議選で大勝し、東京五輪・パラリンピックを成功させて、解散総選挙につなげたいというのが本音だった。風向きが変わったのは、小池さんが退院し、リモートで公務に戻った7月1日から。急に都民ファが勢いづき、2日に小池さんが記者会見し、『東京五輪は無観客を軸に』と言い、明らかに風が吹き始めた。それでも大丈夫だろうと思っていたが、最終日は小池旋風に飲まれてしまった」(自民党東京都連幹部)
象徴的だったのは定数1を4人で争った千代田区だ。都民ファの平慶翔(けいしょう)氏が、かつて「自民党都議会のドン」と呼ばれた内田茂氏の娘婿の直之氏を破り、2度目の当選を果たした。自民党は17年の区長選と都議選、今年1月の区長選に続き、都民ファに4連敗となった。前出の都連幹部はこうぼやく。
「菅首相は東京五輪の開幕を目前に控えているのに、有観客、無観客などの策を小出しにし、世論の反応を見ていた。ワクチン接種にしても職場接種や自治体の大規模接種を散々、煽っておきながら7月になって急に数が足らなくなったとストップをかけた。こうした場当たり的な対応に国民の不信感が募っていたように思う。コロナと五輪対応が勝敗のカギだった」
衆議院の任期は今年10月までで解散総選挙は目前だ。だが、菅首相は4月の衆参補選・再選挙で3連敗、千葉県知事選挙、静岡県知事選挙でも敗北している。「選挙の顔」として不安視する声が党内で相次いでいる。
「衆院選となれば、立憲民主党や共産党など野党だけではなく、吉村洋文大阪府知事が率いる日本維新の会も含めた厳しい選挙戦になる。都議選で20近く議席を落とした菅首相では負け戦となると衆院議員から厳しい声が出ている。安倍前首相と違って菅首相は選挙に弱い。菅首相で解散総選挙が戦えないとなれば、これからは完全に政局になる。河野太郎ワクチン担当相、岸田文雄元外相、小泉進次郎環境相、野田聖子幹事長代行らがポスト菅の有力候補だろう。だが、ダークフォースとして小池待望論が党内で巻き起こる可能性もある」(前出の自民党幹部)
政界の一寸先は闇のようだ。 (AERAdot.取材班/今西憲之)