東京都議選では改めて「菅首相では選挙に勝てない」ことが証明されました。4月の衆参3選挙は3連敗に終わり、山形、千葉、静岡の知事選も敗北しました。秋には必ずある総選挙で、選挙に弱い自民党議員は「このままでは落選してしまう」と真っ青になっているということです。
一方 菅首相の方は、総裁選が行われる前に解散総選挙に打って出る作戦で、総裁選がなければ菅降ろしも阻止できるというのが再選のシナリオということです。恐るべき執念ですが、これまでの流れを見るとほぼ菅首相が目指している通りに進んでいるようにも見えます。
8月8日には菅首相のひざ元の横浜で市長選が告示されます。
自民党横浜市連は6月、多選や年齢を理由に林文子・現市長に「支援しない」と伝達し、国家公安委員長を辞任した小此木八郎氏が、カジノ反対を掲げて急遽出馬を表明するという異例の事態になりました。
ところがここにきて林市長が4期目を目指し出馬する可能性が濃厚になってきました。15日までに正式に表明するという運びです。
自民党横浜市連は、市民の半数以上がI R誘致に反対の空気の中では林氏の4選は無理と判断したものと思われますが、林氏にすればそれは菅氏の意に沿ったものだったので納得できなかったことは容易に想像されます。
林氏が出馬することになるとI R誘致を謳う有力候補者になるので、経済界や部商店街関係者、それにこれまでIR関連議案に賛成してきた市議らが支援に回る可能性があり、事実上の分裂選挙になります。もしも野党系の市長が生れれば批判の的になるのは菅首相です。
菅氏は本心ではI R誘致を目指しながら、カジノ反対を表明している小此木八郎氏と通じ合っていることは明らかで、その不透明な挙動が批判されることになります。肝心の地元すらも抑えられないということになれば一挙に“菅降ろし”に向かう可能性があります。
日刊ゲンダイと毎日新聞の記事を紹介します。
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8・8から始まる「菅降ろし」はもう止まらない…横浜市長選がトドメ
日刊ゲンダイ 2021/07/07
「菅首相では選挙に勝てない」――ことを改めて証明した東京都議選。この秋には必ず総選挙があるだけに、選挙に弱い自民党議員は「このままでは落選してしまう」と真っ青になっている。東京五輪が閉会する8月8日から、一気に“菅降ろし”が動き出すのではないかと囁かれている。
「菅首相の再選シナリオは単純です。自民党の総裁選が行われる前に解散総選挙に打って出る、というもの。総裁選がなければ、菅降ろしも阻止できると踏んでいるようです。しかし、自民党議員も自分たちの当落がかかっているから必死です。なにしろ、菅首相になってから選挙は連敗続きです。4月の衆参3選挙は3連敗。山形、千葉、静岡の知事選も敗北。だから、“選挙の顔”にならない菅首相は交代させたい。これから、解散の前に総裁選の実施を求める動きが出てくるはずです」(自民党事情通)
“菅降ろし”の動きが表面化してくるのは、東京五輪の閉会後とみられている。焦点は、五輪期間中に新型コロナウイルスの感染が広がるかどうかだ。海外メディアは、「東京五輪は一大感染イベントになる」と警告を発している。すでに東京はリバウンドがはじまっている。しかも、ワクチン不足は9月まで解消しないとみられている。とうとう、「一部競技が中止に追い込まれる事態もあるのではないか」と懸念する声まで上がっている。
もし、五輪期間中に感染拡大の「第5波」が襲来したら、菅首相の責任を追及する声が吹き荒れるのは間違いない。
8.8からスタート
今から“菅降ろし”を決定的にする可能性があると指摘されているのが、五輪が閉幕する8月8日に告示される横浜市長選だ。菅の足元の市長選である。
「8月8日告示・22日投開票の横浜市長選は、波乱が起きておかしくありません。すでに国家公安委員長を辞めた小此木八郎(56)が、カジノ反対を掲げて出馬表明しています。ややこしいのは、カジノ推進派である現職の林文子市長(75)も出馬しそうなことです。自民党は分裂選挙になる。しかも、野党が担ぐ横浜市立大教授の山中竹春(48)は、タマとして悪くない。田中康夫元長野県知事(65)も無所属で出馬の意向です。もし、ここで野党が勝利したら“菅さんは足元の選挙でも勝てないのか”“そこまで人気がないのか”と菅不人気を決定づけることになってしまうでしょう。菅降ろしに火がつきますよ」(政界関係者)
昨年の総裁選の時、“菅支持”で雪崩を打ったのはなんだったのか。
横浜市長選、林文子氏が4選出馬へ調整 IR誘致推進の立場で
毎日新聞 2021/7/6
任期満了に伴う横浜市長選(8月8日告示、22日投開票)に、現職の林文子氏(75)が4選を目指して出馬する方向で調整していることが6日、複数の関係者への取材で判明した。林氏はカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致について推進の立場で、IR実現を望む地元経済界などから出馬を期待する声が上がっていた。他の立候補予定者はほとんどIR反対を掲げており、誘致の是非が主な争点となりそうだ。【樋口淳也、高田奈実、中村紬葵】
2009年に初当選した林氏は、民間出身の市長として3期12年務めてきた。これまで「与党」として支えてきた自民党市連が6月、多選や年齢を理由に「支援しない」と伝達。林氏はその場で出馬に強い意欲を示したとされ、動向が注目されていた。
IRを巡って林氏は、19年8月に横浜港・山下ふ頭への誘致を表明し、自ら市民説明会に参加するなど積極的な姿勢を見せてきた。最近の記者会見でも「山下ふ頭でIRを行うべきだ」と改めて強調。6月29日に市内中心部の商店街関係者有志が誘致を求める嘆願書を提出した際には「心強い。市としては一貫して方針は変わっていない。今後ともよろしくお願いする」などと応じていた。
市長選には既に計6人が立候補を表明しており、元横浜市立大教授の山中竹春氏(48)=立憲推薦=などほとんどがIR誘致に反対の立場をとる。前国家公安委員長で自民党の小此木八郎氏(56)も党が推進してきた横浜への誘致について「取りやめる」と表明。林氏が出馬すれば、これまでIR関連議案に賛成してきた市議らが支援に回る可能性もある。
市長選について林氏は、新型コロナウイルスワクチン接種への対応や東京オリンピック・パラリンピックへの準備を挙げ「まだ判断に至らない」との発言を繰り返し、進退の明言を避けている。ただ、関係者の間では15日にも表明する案が浮上しており、林氏は近く最終判断するとみられる。