2021年7月23日金曜日

感染最悪 医療危機に これで五輪強行か+

 22日、コロナ新規感染者数は5397人/日と、5月以来の5千人台になりました(重症者は392人)。また東京都の新規感染者は1979人/日に達し、週平均値で前週の56%増となりました(20代が658人、30代が399人、40代が314に対し65歳以上の高齢者は6620代がピークで以下漸減)。
 コロナの感染が急拡大しつつある中での五輪の開催という、国内外の専門家が繰り返し警告してきた危険が、まさに現実のものになりつつあります。
 元外交官の飯村豊氏は、菅首相6月G7サミットで東京五輪開催が全首脳から力強支持された」と述べたのは不正確で、各国首脳は「コロナに打ち勝」ったうえで「安心・安全な形」で行うという条件付の「支持」だったのに、その国際約束に反していると述べました。
 実際 コロナは鎮静せず、入国時のチェックと隔離がいい加減な上に、選手団を守るバブル(泡)の膜も穴だらけという状態です。このままでは8月第1週に新規感染者が3000人/日になる惧れがあり、医療逼迫→医療破綻が起きるのは時間の問題です。
 カナダのトルドー首相、韓国の文在寅大統領、台湾のオードリー・タン、英国のアン王女など各国・地域の首脳級訪日のキャンセルを表明したのは、自国への感染拡大の危険を考慮したものとみられます。
 しんぶん赤旗が「感染最悪 医療危機に これで五輪強行か」とする記事を出しました。
+ NHKの記事「東京 感染者数 京大 西浦教授が試算“来月上旬に1日3000人超”」を追加しました。

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感染最悪 医療危機に これで五輪強行か
                       しんぶん赤旗 2021年7月22日
 東京都の新型コロナウイルスの感染状況が一段と深刻になっています。新規陽性者数は21日、水曜日では最大の1832人となりました。過去最悪の感染状況のなか、23日から東京五輪が強行されようとしています。五輪強行への批判の声はますます強くなっており、日本共産党は、今からでも五輪を中止し、国民の命と暮らしを守れと訴えています。
陽性者急増
8月第1週 3000人にも

(写真)フェースシールドにマスク姿で整然と並び、検疫所に向かう中国選手団=18日、千葉・成田空港

 「このままのスピードで感染が広がると、2週間後にはおそらく2倍になって第3波のピークを超える」―。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は20日、日本テレビの番組に出演し、東京都の1日あたりの陽性者数が8月第1週には約3000人に上る見通しを示しました。
 
東京iCDC(感染症対策センター)専門家ボード座長の賀来満夫東北医科薬科大特任教授は同日、NHKの番組で「これまでで最大の危機」と警鐘を鳴らします。21日の都モニタリング会議では、国立国際医療研究センターの大曲貴夫医師が、デルタ株への置き換わりが進んでいるとして「第3波を上回るペースで感染が急拡大している。危機的な状況だ」と警戒感をあらわに。入院患者数が6月下旬から倍増し、20日時点で2388人となっていることを受け、「医療ひっ迫の危機に直面する」との懸念も示されました。
 東京都は14日以降、19日を除き陽性者数は1000人超が連続しています。重症者数は、20日時点で都基準で60人ですが、国基準では19日時点で重症者は619人に上り、確保ずみの重症病床1207に対する使用率は51・3%と半数を超えています。


 全国の新規陽性者数も、14日に3170人となり、17日には3871人と4000人に迫りました。増加率をみると15日以降、140%を超え、18、19両日には151%に達するなど拡大傾向が顕著となっています。
 東京以外の首都圏でも感染拡大の傾向が強まっています。神奈川県は6月下旬までは、減少傾向を維持していましたが、7月1日から一転し、直近では増加率140%台で推移しています。大阪も横ばいの状態が続いていましたが、14日に349人と5月下旬以来の陽性者数を確認するなど、増加ペースを拡大しています。
 感染状況が悪化する中での五輪開催について、日本共産党の志位和夫委員長は15日の記者会見で「国民の命を文字通りギャンブルにかける無責任のきわみだ。絶対に許されない」と強調しました。五輪開催には、いよいよ深刻な矛盾が鮮明にあらわれています
「バブル方式」に穴
特例だらけ 既に崩壊
 「本当にこれで大丈夫かと。プレーブック(感染予防規則集)が安心につながっておらず、大きな不安になっている」。20日、東京五輪・パラリンピック組織委員会・橋本聖子会長は会見でこう言わざるを得ませんでした。
 大会関係者の新型コロナ感染者は75人(21日現在)に上っています。業務委託スタッフや国際オリンピック委員会(IOC)関係者、ボランティアに加え、選手村内の選手も含め、陽性者が相次いでいます。
 「安全安心な大会」の根拠とされた「バブル方式」に穴が開いているからです。
 バブル方式とは、選手、関係者をバブル(泡)の膜で包みこむように、一般の人や外部との接触を最小限にするもの。しかし、空港では選手と一般客を動線で分けるとしながら、出てきた選手にファンがサインを求めたり、グータッチしたりといった光景がみられます。
 大会関係者が宿泊するホテルでも、プレーブック違反の行動が問題視されています。これに記載されている監視者が明確でなく、原則禁止だったコンビニやレストランの利用を「15分以内」なら認める組織委の公式通達が明らかになり、問題となりました。
 五輪関係者を運ぶバス乗務員はワクチンも打てず、ずさんな感染対策の施設で宿泊を強いられるなど、バブルのほころびは枚挙にいとまがありません。
 政府は濃厚接触者の競技参加の特例措置を15日に決定しました。従来の国内ルール(14日間待機)を大幅に緩和し、競技開始6時間前のPCR検査などによって出場を認めるとするもの。
 22日、サッカーの日本代表と対戦する南アフリカは、チーム内に3人の陽性者が確認され、濃厚接触者18人がこの特例のもとで出場が認められようとしています
 しかし、この特例措置は、専門家から疑問の声が出ています。「濃厚接触者のアスリートが活動すると感染が広がる恐れがある」「6時間前のPCR検査後も抗原検査でのフォローアップが必要」など、感染拡大につながる危険があります。
 元英キングス・カレッジ・ロンドン教授の渋谷健司さんは「バブルシステムがある意味、崩壊しているのは明らか」(ロイター)と指摘しています。
世界的拡散の恐れ
専門家から警告の嵐
 「デルタ株の拡散を悪化させる恐れ」(ロイター20日電)、「東京でカオス(混沌)」(米紙USAトゥデー電子版19日付)―。東京五輪の選手村で各国選手の新型コロナウイルスの感染が相次ぎ、海外メディアが批判の声を上げ、東京五輪を契機に世界にウイルスが拡散される危険の高まりに警鐘を鳴らしています
 世界では今、ワクチンの全予防接種の85%が高・中所得国が占める一方、低所得国は0・3%にすぎず、「ワクチン格差」が大問題となっています。東京五輪を契機にウイルスが世界に広がれば、「とくにその被害を、深刻な形で被るのは発展途上国」(日本共産党の志位和夫委員長)です。
 米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のブルース・リー准教授は、「フォーブス・ジャパン」(電子版16日付)に寄稿し、「世界中からこれほど多くの人を集め、それぞれの国に帰らせることは、各国に『デルタ株』をはじめとするウイルスの種をまくようなことだ」と述べ、「(東京五輪は)世界中にデルタ株の感染を広げる『超スーパースプレッダー』になる」と警告しました。
 日本女医会の青木正美理事は、フラワーデモの松尾亜紀子氏らとともに行った外国特派員協会での女性を苦境に追い込む五輪の中止を求める記者会見(12日)で、東京が世界への感染源になるとして、「選手や関係者が大量に集まることを絶対にしてはならない」と強調しました。

 34カ国からなる世界看護師連盟が国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長に宛てた書簡(9日付)は、日本を含むワクチン接種率の低さに触れて、「世界的な感染症拡大が公衆衛生と安全に深刻な脅威をもたらし、大会参加者と帰国後の各国と日本の何百万人もの住民にリスクをもたらす」としています。
 国内外の専門家が繰り返し警告してきた危険が、まさに現実のものになりつつあります。
 カナダのトルドー首相、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領、台湾のオードリー・タン・デジタル担当相、英国のアン王女など各国・地域の首脳級は、東京五輪のための訪日のキャンセルを表明しています。自国への感染拡大の危険を考慮したものとみられます。



東京 感染者数 京大 西浦教授が試算“来月上旬に1日3000人超”
                     NHK NEWS WEB 2021年7月22日
新型コロナウイルスの今後の状況について京都大学の西浦博教授がシミュレーションを行い、東京都では新規感染者数の増え方が現状よりも少し下がったとしても来月上旬には1日3000人を超えるという結果になりました。
これは西浦教授が21日に開かれた厚生労働省の専門家会合で示したものです。
試算では、前の週の同じ曜日と比べた1日の新規感染者数の増え方が現状の1.5倍より少ない1.3倍が続いたと仮定すると、東京都内では来月7日には1日3000人を超え、来月21日には5235人に上るという結果になりました。
さらにグループでは今月14日までのデータをもとに今後の都内の入院患者数の推移を試算しました。
その結果、1人が何人に感染を広げるかを示す実効再生産数が、東京都で現状の「1.2」から10%の減少にとどまった場合は新規感染者数は減少せず、入院患者数も今月14日時点のおよそ2000人から増えて来月中旬には3000人台が続き、来月末には4083人に上るという試算になったということです。
また、来月下旬には40代や50代の入院患者が全体の半数ほどを占める可能性があるということです。
一方、実効再生産数が20%下がれば、新規感染者数は減少に向かい、病床のひっ迫も避けられるという結果になりました。
西浦教授は「ワクチンの普及に伴って重症化する高齢者は減っているが、感染者数全体の規模が大きくなっていて大変憂慮している。一般病床でも医療従事者の負担が増していて、ゆっくり静かに医療現場が危機を迎えつつある。今は流行を止める重要な瀬戸際にあるので、職場でのクラスターを抑えたり、東京から地方に出かけて感染を広げることが無いようにしたりと、一人ひとりが協力してほしい」と話しています。