2021年7月15日木曜日

東京五輪 贅沢三昧の五輪VIP・関連業者は大儲け・バブル方式は最初から破綻

 IOCのバッハ会長は8日の5者協議で、プロ野球などが有観客であることを念頭に、「緊急事態宣言はどういうことなのか」「五輪が無観客なのは理解に苦しむ」と不満を口にしました。しかしそれは菅首相と同様に現実から遊離した感覚です。東京都は14日、新型コロナの新規感染者が1149人/日と第4波のピークを上回りました(入院者は2000人以上)。恐れていた「コロナ感染拡大の中での五輪開催」に突き進んでいます。

 東京五輪は招致時に「世界一お金がかからない五輪」と喧伝し、大会経費は7300億円としていたのですが、最終的に3兆円を超えました。驚くべき放漫経営で、その陰には竹中平蔵氏が会長を務めるパソナが五輪関係の人材派遣を独占し、ディレクターの経費を72万円/日と吹っ掛ける一方でその95%以上をパソナが取得するなどというデタラメが行われています。
  ⇒(5月28日)東京五輪でも 人材派遣業者パソナが暴利を貪る!?
  (6月2日)「パソナ」の純利益 前年の10倍以上、東京五輪とコロナ対策事業を大量受注
 それに加えて、五輪の各会場には、国際競技連盟の専用ラウンジ「IFラウンジ」が設置され、そこには超豪華な酒類や調度品が備えられ、サービスの人材も派遣されているということです。
 LITERAが、五輪組織委の元職員の証言を紹介しました。
 それとは別に政府の高言とは裏腹に「安全安心のための『バブル方式』があらゆる場所で破綻しまくっている」のに、そのチェックを政府が放棄している実態をLITERAが明らかにしました。併せて紹介します。
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五輪組織委の元職員が証言! IOCのラウンジ以外にも贅沢三昧のVIPルーム、電通など広告代理店は物品購入でも15%を上乗せ
                              LITERA 2021.07.13
 緊急事態宣言下での東京五輪開幕まで、あと10日。バブル方式の破綻などデタラメなコロナ感染防止対策の実態が次々と明らかになっているが、もうひとつ忘れてはならないのは、東京五輪の金の問題だ。
 そもそも、東京五輪の招致時には「コンパクト五輪」「世界一お金がかからない五輪」などと喧伝し、大会経費は7300億円としていたにもかかわらず、2019年末の段階で1兆3500億円、新型コロナによる延期で1兆6440億円と、完全に倍増。さらに関連経費をくわえると、大会経費は3兆円を超える。そして、この膨れ上がった大会経費の赤字の尻拭いを背負わされるのは国民だ。
 しかも、その大会経費は、不正と言ってもいいような金の使われ方がされている。10日放送の『報道特集』(TBS)でも、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の元職員が、国際スポーツ団体のためのありえない無駄遣いと、大手広告代理店の新たなピンハネが横行していることを告発した。
 まず、組織委の元職員が証言したのが、国際競技連盟の専用ラウンジ「IFラウンジ」の問題だった。
 五輪では、各競技会場に「オリンピックファミリーラウンジ」というIOC委員らのためのVIP用ラウンジが設置され、ここでIOC委員らがワインやシャンパンを片手に観戦するのが慣例になっている。そして、東京五輪では「オリンピックファミリーラウンジ」の家具や什器、備品の調達にかんする競争入札が1億413万2116円で落札されていたことがすでに明らかになっている。
 しかし、じつは東京五輪の競技会場には「オリンピックファミリーラウンジ」とは別にもうひとつ、「IFラウンジ」なるVIPルームが設置されている。IFというのは、各国の競技団体を統括する国際競技連盟の略称。「IFラウンジ」は国際競技連盟の関係者を接待するための部屋なのだが、これが贅沢三昧だというのだ。

「オリンピックファミリーラウンジ」とは別に、国際競技連盟用「IFラウンジ」で贅沢三昧
 国際競技連盟のための「IFラウンジ」について、組織委の元職員は番組でこう告発していた。
「『お酒はこうだ』『食事はこうだ』といろいろと言われるわけなんですけども、(IF側が)言ったものがすべて購入される。しかもそれが非常にハイスペックで。たかだか1時間、2時間しかいない部屋に、非常に高価な調度品がそのためだけに準備されて、お茶を淹れる専属の人がついて」
 じつはこの「IFラウンジ」、2017年には「オリンピックファミリーラウンジ」と合体するという提案も出ていた。しかも、昨年9月に組織委とIOCが大会の簡素化について合意したなかには、この「IFラウンジの簡素化」も挙げられていた。
 にもかかわらず、組織委作成の資料(「飲食提供に係る基本戦略とは」)を見ると、競技会場には「IFラウンジ」と「オリンピックファミリーラウンジ」がそれぞれ設置されることが書かれており、さらには「簡素」とは程遠い豪華な調度品が揃えられていたのだ。そして、専属のお茶を淹れる係まで……。スポーツ大会を社交界か何かと勘違いしているとしか思えない
 組織委がIOCへの言いなりに金を出しまくっている事実については、再三、指摘されてきたが、オリンピックでやりたい放題な団体は、IOCだけではなかったのだ。
 実際、IFは競技で使う物品についても自分たちの利権にしており、それがオリンピックの経費が膨大に膨らむ原因になっているという。
 組織委元職員は、競技に使う物品をどのメーカーから購入するかはIFの意向が絶対であるとしたうえで、日本で購入すれば1000万円程度で済む物品を、IFから「絶対この会社を使え」とドイツの会社を指定されたと証言。輸送費や関税などで倍の金額がかかったとし、こう述べた。
「こういうことをやっているから、どんどんオリンピックの経費ってかさんでいくんだな、というのが私はわかりました」
 しかし、組織委元職員が告発したのは、利権をむさぼる五輪貴族らのわがままのための無駄遣いだけではなかった。国内で、五輪の利権を牛耳る広告代理店などがなんと、物品購入の際にも自分たちのピンハネ分を上乗せしていたことを暴露したのだ。

運営の業務委託だけでなく、物品の購入にも広告代理店が15%の取り分を上乗せ
 電通をはじめとする広告代理店などが組織委から委託されている大会会場の運営業務を「中抜き」している問題は、これまでもしばしば指摘されてきた。
 たとえば、予算規模がもっとも大きいオリンピックスタジアムでは運営業務の委託先に約35億円が支払われるというが、電通などの元請け業者は実際は何もやらず下請け会社に再委託するだけ。にもかかわらず、「管理費」という名目で10%を中抜きしている。つまり、業務は下請けに再委託するだけだというのに、3億5000万円あまりが広告代理店などに渡る計算だ。
 だが、「管理費」という名のぼったくりは、大会会場の運営業務だけのものではなかった。この日の『報道特集』で証言をおこなった組織委元職員によると、会場とは別に設置される仮設施設や、大会で使用される物品などにも「管理費」が上乗せされている、というのだ。
「(物品購入にも)一般管理費がつくので、15%ぐらいが広告代理店の利益として見積書に出てくるものなんですけど。下請けの会社の方にコンタクトして『これっていくらぐらいなんですかね?』という話を訊くと、当然(下請けは)『言えません』と」
「(広告代理店が組織委に請求している金額を下請けに伝えたところ)『え、そんなにですか?』と言うようなことが多々ありますね」(組織委元職員)
 つまり、1000万円の物品購入がおこなわれた場合、代金とは別になんと150万円もの金額が加算され、それが電通などの利益になっているというのだ。もはや滅茶苦茶としか言いようがないだろう。
 さらに、会場運営費用に詳しい別の組織委元職員は、費用が膨らむ要因として、組織委から業務委託された電通などの広告代理店などが業務を下請けに再委託し、さらにその下請けも再々委託に出す構造があると証言。再委託によって中抜きが繰り返され、費用が膨れ上がる。つまり、東京五輪の大会経費が膨れ上がった大きな原因のひとつは、やはり電通による中抜きが問題となった「持続化給付金」の業務委託問題と同じ構造によるものだということだ。
 IOCのトーマス・バッハ会長は「ぼったくり男爵」と呼ばれているが、ぼったくりを繰り広げているのは業務委託先の電通などや東京五輪の人材派遣を担うパソナグループも同じ。ようするに、本来は1円でも多く困窮する人に振り分けられるべきコロナ支援金の事務業務で焼け太りした挙げ句、東京五輪でもそうしたごく一部の利害関係者が丸儲けし、大会費用は膨れ上がってしまったのだ。そして、その赤字を埋めるために公金が支出されるのである。
 東京五輪の開催によって命と安全が危険に晒されるだけではなく、公金の負担まで強いられる国民。こんな状況で「盛り上がれ」と言うほうがどうかしているだろう。(編集部)


海外からの五輪関係者が入国当日、築地を散歩していた! バブル方式も3日間の隔離も嘘、実際は自由に外出できる状態に
                             LITERA 2021.07.14
 開幕まで10日を切った東京五輪。昨日13日にはついに選手村が開村したが、案の定、あっという間に「バブル方式」がまったく機能を果たしていないことが露呈した。
 というのも、今朝放送のNHK『おはよう日本』では、入国から3日も経っていない大会関係者が、隔離期間中であるにもかかわらず「バブル」の外へと自由に出かけていることを伝えたのだ。
 たとえば、NHKが外国人に人気の築地周辺を取材したところ、そこにはアフリカから来日したという大会関係者の姿が。この大会関係者に取材したところ、入国したのは「今朝の2時」だと言い、こう話したのだ。
「きょうは仕事がない日で、この地区に何があるか見に来ました」
「ずっとホテルの中にいたので、ちょっと足を伸ばそうと歩いているだけ」
 感染防止対策を定めた「公式プレイブック」では、選手以外の大会関係者に対して入国後14日間以内の観光を禁じており、散歩も認めていない。しかし実態は、最低3日間の隔離どころか、入国したその日に大会関係者が宿泊先の外に出かけ、築地で探索をおこなっていたというわけだ。
 しかも、こうした「ルール破り」はこのアフリカの大会関係者だけに限った話なのか、疑わしい。実際、築地の商店街の人たちも「外国の人も昨日あたりからちらほらお見えになっていて、少しオリンピックのムードを肌で感じてきている」「多少はやっぱり怖いなというのはある」と答えていたからだ。
 菅義偉首相は8日の記者会見でも、選手や大会関係者の入国について「行動は指定されたホテルと事前に提出された外出先に限定され、一般の国民のみなさんと接触することがないように管理される」と胸を張っていた。ところがどっこい、その関係者が自由に出歩き、「一般の国民のみなさん」と接触している可能性が高いのだ。

ホテルでは自己申告の外出チェックのみ 組織委が説明していた「帯同やGPS管理」は行われず
 しかし、「バブル方式」が完全に破綻している証拠はこれだけではない。大会関係者に対しては、入国後14日以内でも宿泊施設や関連施設で食事ができない場合、公共交通機関を使わずに行ける範囲でのコンビニやレストランのテイクアウト利用、飲食店の個室利用を認める特例を設けている。この特例措置をめぐっては、五輪貴族たるIOC委員たちに高級レストランの利用を認めるために設けられたのではないかと疑惑の目が向けられてきたが、一方、政府や組織委は「監督者等による帯同やGPSを活用した行動管理をおこなう」と説明してきた
 だが、じつはこのルールもあっさり破られていた。前述の『おはよう日本』では、大会関係者を受け入れている品川区のホテルを取材。このホテルには大会期間中、関係者を含めて最大400人以上が宿泊するといい、ロビーには組織委から派遣された警備員が「監督者」として常駐していた。しかし、そこでおこなわれていたのは大会関係者の外出チェックのみで、帯同はおこなわれていなかったのだ。
 しかも、その外出チェックというのも「自己申告」にすぎず、当の警備員は「声をかけること自体がないので、聞かれたことに対して答えるだけ」と回答。ホテルの支配人も「フロントに声をかけないままサーっと出ていかれた場合は、我々は止めることはできない」と口にしていた。つまり、外出先はどこかも告げないまま、宿泊先の外を自由に動き回ることが事実上可能になっているのだ。
 現に、そのことを証明するような「事件」も起こっている。警視庁麻布署は昨日、東京五輪のスタッフとして来日していたアメリカとイギリス国籍の男性4人がコカインを使用したマ薬取締法違反の疑いで逮捕したと発表。発表によると、3日未明に容疑者のひとりが酒に酔った状態で都内のマンションに侵入し、警官から職務質問。尿の鑑定でコカインの陽性反応が出たことで逮捕となったが、職務質問の前日には六本木のバーで飲酒していたという。
 逮捕容疑のコカイン使用が事実かどうかはともかく、問題なのはここでも「プレイブック」のルールは破られていた、ということ。逮捕された4人は入国から14日以上経っているというが、「プレイブック」では入国後15日目以降も食事の場所は原則、大会会場の食事施設や宿泊先内レストラン、自室内でのルームサービスやデリバリーに限定している。だが、実際にはバブルの外の関係者がバーに繰り出していたのである。しかも、薬物使用疑惑による逮捕がなければ、その事実が明るみに出ることはなかっただろう。

大会関係者のコンビニやレストラン利用についても政府は「調査・記録せず」の方針
 安全安心のための「バブル方式」が、あらゆる場所で破綻しまくっているという現実──。菅首相のみならず、来日中のトーマス・バッハIOC会長も昨日、「日本国民が恐れる必要はない。五輪関係者と日本人を明確に隔離する措置を講じており、大会の安全性に全幅の信頼を寄せていい」などと述べていたが、大嘘も言いところ。「全幅の信頼」ではなく、むしろ高まっているのは不安と不信感だけだ。
 しかも、これだけ「バブル方式」の崩壊が明らかになり、国民の不安が高まっているというのに、政府は情報をオープンにして透明性を確保することもなく、むしろ情報を隠蔽して不安に拍車をかけようとしている。
 実際、いまも政府は選手村に入村した国数や人数、陽性者の国籍や競技、症状の有無、入院情報などは「非公表」にするという方針をとっており、さらには大会関係者がコンビニや個室レストランなどを利用できる特例措置についても、内閣官房は「監督者の帯同の下、条件を満たせば利用が認められる」などと言い張って、利用状況を調査・記録しないことを昨日おこなわれた野党合同ヒアリングの席上で明言。前述したように、実態は監督者が帯同しないどころか「自己申告」に任せてスルー状態となっているにもかかわらず、である。これではもし感染が起こっても、その経路をたどることなど不可能だ
 しかも、懸念が高まっているのは、来日した大会関係者や海外メディア関係者から感染が広がることだけではなく、東京五輪がきっかけとなって国内の変異株を「輸出」することになるのではないかという点だ。そして、その懸念が高まる事態も起こっている。ブラジル選手団が事前合宿をおこなっている静岡県浜松市の施設で、従業員やその家族あわせて8人のクラスターが発生したからだ。
「平和の祭典」どころか「変異株の祭典」と化す可能性さえある、前代未聞の非常事態。本日、菅首相とバッハ会長は会談をおこない、菅首相が「政府としても万全な感染対策を講じて安心安全な大会にしたい」と嘘八百を述べると、バッハ会長も「困難な道のりだったが、歴史的な大会になる」などと応答していたが、このままでは「人命軽視で感染拡大を引き起こした歴史的な大会」となることは間違いないだろう。 (編集部)