東京五輪中止を求める緊急ネット署名を立ち上げた元外交官の飯村豊・政策研究大教授は、先のしんぶん赤旗のインタビューで、五輪中止を訴えたきっかけは 組織委が看護協会に500人の動員を要請したことに、五輪のために国民の健康を犠牲にするのかと思ったからで、海外では東京五輪が世界に感染を拡大させるイベントになりかねないと非常に強い批判が出ているとして、たとえ開催が強行されても最後の最後まで中止を訴えると述べました。
日本共産党の志位委員長は22日、東京五輪に関して「『五輪より命が大切』の立場にたち、中止の決断を求め続ける」とする声明を発表しました。
それとは別に、東京五輪・パラで屋外業務を行うアルバイトに、組織委は大会公式スポンサーであるコカ・コーラ社以外の飲料の持ち込みを禁じていたことが22日、しんぶん赤旗が入手した資料で分かりました。持ち込み量も750cc以下のもの1本に限定のため、熱中症対策としては量的に全く不十分で(炎天下では20~30分ごとにカップ1~2杯程度の水分が必要)、自販機で同社の飲料を購入すればお金がかかると関係者は述べています。
何ともアコギというしかありません。もしも熱中症で倒れる人が出て、こうした制約が明らかにされれば、コーラ社にとって逆効果になるのは明らかです。
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「五輪より命が大切」の立場にたち、中止の決断を求め続ける
志位委員長が声明発表
しんぶん赤旗 2021年7月23日
日本共産党の志位和夫委員長は22日、東京五輪に関する声明を発表しました。
(1)
「五輪より命が大切」――この立場から、日本共産党は、今年1月以来、五輪を中止し、コロナ対策にあらゆる力を集中することを求めてきた。
五輪の開会が強行されるもとでも、わが党は、命を守ることを最優先にする立場を揺るがず貫き、開会途中でも中止を決断することを求め続ける。
(2)
開催都市東京の感染が、過去最悪ペースで増えるなど、国内の感染はきわめて深刻であり、すでに病床が逼迫(ひっぱく)し、医療崩壊の危機も差し迫っている。
緊急事態宣言を出しながら、それとまったく矛盾する五輪開催に突き進んだことが、国民への誤ったメッセージとなり、感染を抑止するうえでの重大な障害となっている。
たとえ「無観客」であっても、選手、大会関係者、警備や輸送、ボランティア、報道関係者など、数十万人にのぼる巨大イベントは、さまざまな場面で感染拡大のリスクを大きく増大させている。
すでに選手村内でのアスリートの感染をはじめ、大会関係者の感染が連日明らかになるなど、「バブル」は穴だらけとなり、「安全・安心の大会」という日本政府、東京都、IOCの言い分は完全に崩壊している。
世界を見ても、パンデミックは、デルタ株のまん延など深刻化している。そのもとで「世界最大のスポーツの祭典」を開催することが、世界にウイルスを拡散させる一大契機になるとの警告が発せられている。
(3)
「多くの人々の命にリスクをもたらしながら、なぜ五輪を開催しなければならないのか」。この根本的な問いに、菅首相は、いまだに答えられないままである。
(4)
以上の諸点にてらし、今回の五輪開催が間違いであることはあまりにも明らかである。この間違いは、開会を強行することで、決してあいまいにしたり、なし崩し的に容認したりすることをしてはならないものである。
「五輪より命が大切」の立場にたち、中止の決断を。
思想・信条の違いをこえ、この一点で、力をあわせよう。
日本共産党は、命を守ることを最優先にする立場を貫き、国内外の多くの人々と手をたずさえて奮闘する決意である。
コカ・コーラ社だけ 五輪屋外バイト持ち込み飲料
750ミリリットル以下1本 熱中症よりスポンサー 資料を入手
しんぶん赤旗 2021年7月23日
東京五輪・パラリンピックで屋外業務を行うアルバイトに、大会公式スポンサーのコカ・コーラ社以外の飲料の持ち込みを禁じていたことが22日、本紙が入手した資料で分かりました。持ち込み量も750ミリリットル以下のもの1本に限定。大会期間は真夏であり、熱中症対策としても疑問の声が上がっています。(新井水和)
資料では熱中症対策のため、水分を十分にとるよう促していますが、場内に持ち込みができる飲料は、コカ・コーラ社に限定。750ミリリットル以下のペットボトルまたは、水筒のどちらか1本のみとしています。
自販機あるが…
東京都では気温が30度を超える日が続いており、今年初となる35度以上の「猛暑日」を19日に記録しました。各地では「熱中症警戒アラート」が出されています。気象庁は、五輪が開催される8月の気温が平年並みか、平年より高くなる見込みと発表しています。
厚生労働省の「職場における熱中症予防対策マニュアル」では、暑い中で作業する際に、少なくとも20~30分ごとにカップ1~2杯程度の水分を摂取することが望ましいとしています。
関係者によると1日のシフトは9時間がほとんどで、大量の飲料が必要になります。資料に「場内に自販機あり」と書かれていますが、炎天下の中、緻密なスケジュールを滞りなく進めるよう求めています。
「事前説明では具体的にいつ休憩があるか教えてもらっていない。必要な時に本当に買いに行けるのか。自販機で買うとお金もかかり大変」と関係者は話します。
他ブランドNG (NG=不可)
飲料の他、スニーカーもアシックス製、またはノーブランドと指定。スポンサー以外のブランド製品持ち込みには配慮するようにと資料に明記されていました。
関係者は「いったい誰のための五輪なのか。『国民のため』というが、スポンサーや一部のもうける人のためになっているんだなと感じる」とあきれます。
会場に持ち込む飲料については、五輪組織委員会の担当がコカ・コーラ社以外のペットボトルの飲み物はラベルをはがすようにと茨城県鹿嶋市内の小中学校に説明していたことが判明しています。