21日、東京都の新型コロナ モニタリング会議があり、現状のペースでは新規感染者数は東京五輪後半の8月3日には1日当たり約2598人(直近1週間平均)に達するとの試算が示されました。第3波のピーク時の1・4倍の水準で、人出の増加や感染力の強い変異株への置き換わりが進むと、「2週間を待たずに『第3波』をはるかに超える危機的な状態になる」ということです。東京新聞が伝えました。
また「新型コロナ感染症対策分科会」の尾身会長は20日夜、日本テレビの番組で「このウイルスは6割くらいがワクチンを受けても感染が下火になることはない、したたかなウイルス」と述べ、接種率が上がっても集団免疫の獲得は困難なので暮らしや経済活動の制限緩和は慎重に進めるべきだとの考えを示しました。そして「今まででもっとも厳しい時期に来ている。医療逼迫が起きる可能性があるので、もうひと踏ん張りしてほしい」と呼びかけました。毎日新聞が報じました。
東京新聞と毎日新聞の記事を紹介します。
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東京の感染、五輪期間中に「2598人」…「第3波はるかに超える」
小池知事「4連休、外出控えて」
東京新聞 2021年7月21日
東京都の新型コロナウイルスのモニタリング会議が21日あり、現状のペースで感染拡大が続いた場合、直近1週間平均の新規感染者数は、東京五輪後半の8月3日には1日当たり約2598人に達するとの試算が報告された。第3波のピーク時(1月11日)の約1816人の1・4倍の水準で、大曲貴夫・国際感染症センター長は、人出の増加や感染力の強い変異株への置き換わりが進むと、「2週間を待たずに『第3波』をはるかに超える危機的な状態になる」と訴えた。
報告によると、新規感染者数の増加比は1週間前の7月14日時点の130・7%から上昇し、20日時点で149・0%。大曲氏は「『第3波』を上回るペースで感染が急拡大している」と指摘した。
医療提供体制について報告した猪口正孝・都医師会副会長は、20日時点の入院患者数2388人について6月下旬から約1ヵ月で倍増したとし、「今後、増加し続ければ、医療提供体制が逼迫の危機に直面する」と指摘。「若年、中年層を含め、あらゆる世代が感染によるリスクを有しているという意識を都民の1人1人があらためて強く持つことが必要」と強調した。
小池百合子知事は、夏休みや22日からの4連休に触れ「残念ながら今年も、感染拡大の恐れがまだ、まだございます。引き続き不要不急の外出、都県境を超える控えていただきたい」と強調。東京五輪の感染防止対策については「組織委員会、国と連携して取り組んでまいります」と述べた。
ワクチン6割接種でも「感染下火にならない」「解除慎重に」尾身会長
毎日新聞 2021/07/21
政府の有識者会議「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の尾身茂会長は20日夜、日本テレビの番組で「残念ながらこのウイルスは6割くらいが(ワクチンを)受けても感染が下火になることはない、したたかなウイルス」と述べた。ワクチン接種率が上がっても集団免疫の獲得は困難とする見方で、暮らしや経済活動の制限緩和は慎重に進めるべきだとの考えも示した。
尾身氏は「国民の6~7割がワクチン接種をすると重症者は減るが、感染は完全に防げることではない」と指摘。英国ではワクチン接種が進んだことで、首都ロンドンを含むイングランドで19日にマスク着用義務やイベント人数制限など大部分の措置を解除したことについて問われると「かなりリスキー(危険)なやり方。日本はもう少し慎重にやったほうがいい」と語った。
また、東京都内で新規感染者数が現在のペースで増え続けると、2週間後には2倍になり、これまで最も多かった年末年始の第3波のピークを超えると予測。「今まででもっとも厳しい時期に来ている。医療逼迫(ひっぱく)が起きる可能性があるので、みんなでもうひと踏ん張りしてほしい」と呼びかけた。
分科会は緊急事態宣言の期限である8月22日までに、ワクチン接種が進んだ際の生活のあり方について考え方をまとめる方針を表明している。【原田啓之】