2021年7月16日金曜日

飲食店圧力 法律踏み越えた横暴 野党は西村担当相辞任を要求

 政府が、酒類を提供する飲食店に対し金融機関や酒類販売事業者から圧力をかけさせようとした問題で、共産党の塩川鉄也議員は14日の衆院内閣委で、「法律を踏み越えた横暴なやり方で、非常に悪質だ」と、西村経再相に辞任を要求しました。
 また菅首相については「基本的対処方針を決める対策本部の責任者である責任が厳しく問われる」と述べ、「菅首相は国会で説明せよ」と要求しました。
 共産党、立民党、国民党の野党国対委員長は同日、西村担当相の辞任を求めることで一致しました。しんぶん赤旗が報じました。
 日刊ゲンダイが「菅政権の酒屋イジメは確信犯!取引停止の“ドーカツ手法”は1カ月以上前からの謀略だった」とする記事を出し、都道府県が、売り上げの減少した酒類販売業者へ支援金を支給する時の「誓約書」に、<酒類の提供停止を伴う休業要請等に応じていないことを把握した場合には当該飲食店との取引を行いません>(東京都)、<酒類の取引先の飲食店が休業要請等に応じていないことを把握した場合には、その飲食店との取引を行わないように努めます>(大阪府)などとかれていたことが明らかにされました。それらは内閣府などからの『事務連絡』通知(6月11日付)に従ったもので、既に事実上実施されていたのでした。
 また西村氏は、「ぐるなび」などのグルメサイトを使った監視システムである「利用客に飲食店のコロナ対策をチェックさせる“密告奨励制度”を7月中にスタートさせる意向ということです。「まるで戦中の“隣組”で、疑心暗鬼を呼ぶだけの愚策(政治評論家・本澤二郎氏)政権の体質を示すものです。
 しんぶん赤旗と日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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飲食店圧力 法律踏み越えた横暴 野党、西村担当相辞任を要求
                       しんぶん赤旗 2021年7月15日
塩川氏が首相責任追及
 政府が酒の提供停止に応じない飲食店に対し、金融機関や酒類販売事業者から圧力をかけさせようとした問題で、日本共産党の塩川鉄也議員は14日の衆院内閣委員会で、「法律を踏み越えた横暴なやり方で、非常に悪質だ」と西村康稔経済再生担当相に辞任を要求し、菅義偉首相が国会で説明するよう主張しました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党の野党国対委員長は同日、国会内で会談し、西村担当相の辞任を求めることで一致しました。
 塩川氏は、政府による飲食店対策の (1)金融機関に対する、融資先の飲食店への働きかけの依頼 (2)飲食店をメディアや広告で扱う際、飲食店の順守状況に留意するよう依頼の検討 (3)酒類販売事業者に対する、休業要請等に応じない飲食店との取引停止依頼―について、どれも特措法に基づかない措置だと指摘。「金融機関や国税庁という事業者に対して強い立場の組織を使って、飲食店に圧力をかける、法律を踏み越えた横暴なやり方は極めて悪質だ」と追及しました。
 西村担当相は「金融機関と、酒類販売事業者への事務連絡について撤回した。何か働きかけをおこなうことは考えていない」「メディア等に対し(依頼をする)具体的な検討を進めていることはない」としつつ、法を逸脱したことへの反省は述べませんでした。塩川氏は「コロナ対策の司令塔としての役割を果たしていない」と批判し、西村担当相の辞任を求めました。
 そのうえで塩川氏は、菅首相の責任を追及。今回の措置は、基本的対処方針にある飲食店対策の「さらなる強化」を踏まえたものかと質問すると、西村担当相はその通りと認めました。塩川氏は「基本的対処方針を決める対策本部の責任者である菅首相の責任が厳しく問われる」と述べ、「菅首相は国会で説明せよ」と要求。「必要なのは、飲食店に対して規制に見合った補償を行うことだ」と強調し、持続化給付金や家賃支援給付金の再支給を行うよう主張しました。


菅政権の酒屋イジメは確信犯!取引停止の“ドーカツ手法”は1カ月以上前からの謀略だった
                           日刊ゲンダイ 2021/07/15
 新型コロナ対策として、酒類の提供自粛要請に従わない飲食店との取引を行わないよう政府が酒類販売業者に“圧力”をかけた問題。酒類販売の免許を握る国税庁を使った要請は13日に撤回されたが、酒屋イジメはまだあった。
 都道府県が、売り上げの減少した酒類販売業者へ支援金を支給する時の「誓約書」に、「取引停止」が条件の一つとして書き込まれているのだ。
 東京都の誓約書には<酒類の提供停止を伴う休業要請等に応じていないことを把握した場合には当該飲食店との取引を行いません>、大阪府のものには<酒類の取引先の飲食店が休業要請等に応じていないことを把握した場合には、その飲食店との取引を行わないように努めます>とあり、これにサインしないと支援金がもらえない

6月に都道府県に通知
 自治体が独自にこうした要請を酒販業者に行っているのかどうか、14日都と府に問い合わせると担当者は困惑した様子で、「国からの『事務連絡』通知に従って文書を作りました支援金の財源は国ですから」と、いずれも同じ回答だった。
 問題の「事務連絡」は、内閣府地方創生推進室と内閣官房新型コロナウイルス対策推進室が6月11日に連名で通知したもの。都や府によれば、支援金の申請は今月1日から受け付けている。支援方針は5月中に決まり、その後、6月11日に、政府から“追加”の通知があったという。
 地方創生推進室は取引停止の条件について「5月の議論の時にはなかったが、実効性を高めるために補足した」と日刊ゲンダイに明かした。
 つまり、飲食店に酒を出させないために酒屋に取引停止を求めるという“ドーカツ手法”は、1カ月以上前の6月時点には、既に政府内でコンセンサスが取れていたということだ。さも、西村経済再生相の個人的な失言・暴言みたいな話になっているが、飲食店への蛇口を止める酒屋への圧力を、菅政権は確信犯で行っていたのである。
 国税庁を通じた圧力が撤回され、自治体の方はどうなるのか、自治体自身も右往左往。
 都は「国に問い合わせ中」、府は「通知が撤回されれば、撤回する」としていたが、14日夜遅く、政府は6月11日の事務連絡文書を「廃止する」と発表した。
 この混乱とデタラメ。菅政権が終わっていることを如実に示している。


西村大臣は反省ゼロ!今度は“密告奨励制度”も…ゴマスリ、パワハラ気質の悪評だらけ
                          日刊ゲンダイ 2021/07/15
 世論の猛反発を受け、金融機関と酒販業者を通じて飲食店を締め上げる方針を撤回した西村コロナ担当相。だが、まったく反省などしていない。メディア・広告やグルメサイトを使って飲食店に圧力をかけるプランは「やる」と言っている。
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 西村氏が当初、「飲食店対策のための関係機関への依頼」として列挙したのが金融機関、酒類販売業者、そしてメディア・広告だ。14日に開かれた衆院内閣委の閉会中審査で、酒の提供停止要請に応じない飲食店の広告の取り扱いについて、「順守状況に留意してもらうよう依頼を検討している」と説明した。
「ぐるなび」などのグルメサイトを使った監視システムは、2日の会見で発表。利用客に飲食店のコロナ対策をチェックさせる“密告奨励制度”を7月中にスタートさせる意向だ。
まるで戦中の“隣組”で、疑心暗鬼を呼ぶだけの愚策です。メディアへの協力要請も、憲法が保障する言論の自由に抵触しかねませんが、メディアは票にならないし、黙って言うことを聞くとナメきっているのでしょう。この政権の体質がよく分かります」(政治評論家・本澤二郎氏)
 こんな卑劣な飲食店イジメを考えつく西村氏はどういう人物なのか。非難の的だが、自民党内からもかばう声は聞こえてこない。
とにかく人望がない。上にはぺこぺここびへつらって、年長者でも格下の相手には偉そうにする。安倍前首相から官房副長官に抜擢された時も、先輩格の杉田副長官を自分の部屋に呼びつけて“オレの方が格上だ”と言わんばかりの傲慢な態度を取っていたことは有名です。メリットがない相手とは話しもしない。党内でも、内心は『早く辞任してくれ』と思っている人が少なくないでしょう」(自民党関係者)
 3年前の西日本豪雨の際も、安倍前首相を囲んで「赤坂自民亭」と称する宴会に興じる写真をツイッターにアップ。安倍前首相にゴマをするつもりが炎上し、総スカンを食らった。

心身を病む秘書官たち
 発売中の「週刊文春」が「西村康稔コロナ相 飲食店イジメ男の急所を撃つ」と題して、灘高から東大、通産省というエリートコースを歩んできた西村氏の上昇志向やパワハラを報じている
 東大時代から政治家への野心を抱き、ボクシング部で<政治家はルックスが大事だから顔は殴らないでと頼んでいた>というのが鉄板ネタ。
<政界への足がかりとなったのは結婚だった。お相手は岸信介元首相の“国家老”として知られた故・吹田愰元自治相の愛娘>で、<安倍家の“ゴッドマザー”である洋子さんは、吹田氏に感謝の念を抱き続けている>という。
 それで森元首相や安倍に可愛がられ、要職を歴任してきたのだが、<西村氏のパワハラ問題には、後見人のはずの安倍氏も匙を投げたようだ>とも書かれている。
 文春は今年2月にも西村氏のパワハラを報じたが、その内容が凄まじい。部下への配慮は一切なく、夜中に突然「明日の朝まで」とメールで指示を出して、間に合わないとブチ切れる。150連勤で月の残業100時間超というブラックな職場環境で、西村氏がささいなことでも怒鳴るため、財務省から来ていた秘書官はストレスで消化器系をやられて職務続行が不可能に。内閣府出身の秘書官も過労で体調を崩して入院してしまったというのだ。
 その後もパワハラはやまず、<「残業が多いのはお前らの能力が低いせい」 大勢の前では情報が漏れるため、少人数を集めてこう面罵するようになった>というから陰湿だ。
 最後まで残っていた経産省出身の秘書官も今月で交代。<長時間労働で腰痛を悪化させ、起き上がれないほどになった><交替が決まると「ようやく終わった」と喜びを露わにしていた>という。

 飲食店に対する恫喝も、持ち前のパワハラ気質ゆえということか。