2021年7月4日日曜日

WHO 五輪で適切措置とらねば感染拡大する 

 WHO(世界保健機関)テドロス事務局長は2日、新型コロナのデルタ株が世界で急速に広がっていることについて「私たちは今パンデミックの中でも非常に危険な時期を迎えている」と警鐘を鳴らしました。

 また、担当者は、ヨーロッパのサッカーのサポーターらの間で感染が拡大していることなどを踏まえ、東京オリンピックについて「適切な予防措置を取らなければ感染は拡大する」と強く注意を呼びかけました。
 日テレNNN)が報じました(NHKは何故か触れていません)。
 日本政府や大会組織委はどんな予防措置を取る積りなのでしょうか。

 日本では、いまだに内閣府が、東京五輪では「コロナの濃厚接触者も出場可能」とすることを検討中であるなど、「“無法地帯”開催に向かって一直線(日刊ゲンダイ)」などと揶揄されている有様です。「無観客」開催も一向に明確になっていません。

 いま行われているサッカーの欧州選手権大会では、イギリスで観客などおよそ2000人のコロナの感染者が出ました。それでもイギリスは6万人を超える観客を入れる計画であることにドイツのメルケル首相が疑問を呈したのに対し、ジョンソン首相は「国内にはワクチン接種によってかなり大きな免疫の壁ができている」として、試合を予定どおり開催する方針を強調しました。いまイギリスで優勢になっているデルタ株についてもそう言えるのかは疑問です。

 三つの記事を紹介します。
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WHO“五輪で適切措置とらねば感染拡大”
                    日テレNNNNEWS24 2021/07/03
WHO(=世界保健機関)は2日、新型コロナウイルスのデルタ株が世界で急速に広がっていることについて「非常に危険な時期を迎えている」と警鐘を鳴らしました。
WHO テドロス事務局長「私たちは今パンデミックの中でも非常に危険な時期を迎えている」
テドロス事務局長は、インドで確認されたデルタ株が感染拡大を続ける中、ワクチン接種率が低い国を中心に「病院がコロナ患者であふれかえる」事態を再び引き起こしていると懸念を表明しました。デルタ株は少なくとも98か国で確認されているということです。
また、担当者は、ヨーロッパのサッカーのサポーターらの間で感染が拡大していることなどを踏まえ、東京オリンピックについて「適切な予防措置を取らなければ感染は拡大する」と強く注意を呼びかけました


東京五輪は“無法地帯”開催へ一直線!「濃厚接触者も出場可能」ならルールはなし崩し
                           日刊ゲンダイ 2021/07/03
 東京五輪開幕まで3週間を切り、海外選手団の入国が本格化している。今月1~4日の4日間で18の国と地域から約400人が来日する予定だが、東京のコロナ感染者は増加傾向。さまざまな種類の変異株の持ち込みも懸念されており、「ザル」と酷評されてきた水際対策や入国後の感染対策はより厳しいルール作りが求められている。
 しかし、IOCや政府、組織委はその手綱を締めるどころか、緩めるつもりのようである。
 今もなお、選手が濃厚接触者に認定された場合の出場可否についてのガイドラインは完成していないが、先月30日、野党とのコロナ対策合同会議の際に内閣官房担当者が「濃厚接触したということで14日間隔離してしまうと、試合に出ることができなくなってしまう」と、濃厚接触者の隔離免除を検討していることを明かした。しかもその理由が「五輪は4年に1度の大会で、選手が一生懸命努力を重ねてようやく東京大会に来られた方々」だというから、聞いて呆れる。
 今年3月のバドミントン全英オープンでは、インドネシア選手団が乗ったイギリス入国時の航空機にコロナ感染者が同乗していたことが判明。英国政府の規定で10日間の隔離が必要となり、全選手が棄権を余儀なくされた。1試合も出場することなく、自国へトンボ返りした選手もいた。現在開催中のウィンブルドンでも、ヨハンナ・コンタ(英=世界ランク31位)が、チームメンバー1人にコロナ感染者が出たため、濃厚接触者に認定されて棄権した。

不正や隠蔽の温床になる恐れ
 今年5月にクラスターに見舞われたプロ野球の広島の例でもわかるように、選手からコロナ感染者が出れば、コーチやチームメートに感染が広がったり、濃厚接触者に認定される可能性が高い。コンタクトスポーツなら対戦相手もその恐れが出てくる。内閣官房の担当者に限らず、政治家や組織委の人間が真顔で筋の通らないことを言うのは、ルールを厳しくすればするほど、競技が成り立たない恐れが出てくることを分かっているからだろう。
「IOCや政府、組織委は、なし崩し的にルールを緩めかねません」とは、放送関係者。
「選手は抗原検査を毎日受けますが、ドーピング検査とは違い、検査の検体となる唾液は各選手団のコロナ対策責任者による監督のもと、選手の各部屋などで採取する見通し。密室ゆえに、他人の唾液を入れるなど不正の横行が懸念されている。仮に濃厚接触者が大量に出ようものなら、“隠蔽”しようとしてもおかしくない、という声すらありますから」
 ただでさえ「バブル方式」の穴を指摘する声がある中で、「東京無法地帯」はすぐそこまで来ている。


サッカー欧州選手権 英で6万人超観客入れる計画に懸念広がる
                      NHK NEWS WEB 2021年7月3日
サッカーのヨーロッパ選手権をめぐり、新型コロナウイルスの感染拡大への懸念が高まっています。変異ウイルスの感染が広がるイギリスでの試合に6万人を超える観客を入れる計画について、ドイツのメルケル首相が疑問を呈したのに対し、イギリスのジョンソン首相は予定どおり開催する方針を強調しました
ヨーロッパ選手権はヨーロッパ各国で行われていて、7月6日と7日の準決勝、それに11日の決勝はロンドンのウェンブリースタジアムで、6万人を超える観客を入れて行われる予定です。
ただ、イギリスでは、インドで確認された変異ウイルスのデルタ株が拡大し、感染者が2万7000人を超える日もあります。
ドイツのメルケル首相は2日、訪問先のイギリスでのジョンソン首相との共同会見で「観客数が多くないか、非常に心配で懐疑的に見ている」と述べ、強い懸念を示しました
一方、ジョンソン首相は「スポーツイベントは注意深く管理しながら徐々に再開している。国内にはワクチン接種によってかなり大きな免疫の壁ができている」と述べ、試合を予定どおり開催する方針を強調しました。
イギリスでは今大会、試合の観客などおよそ2000人に感染が確認されています。
イタリアのドラギ首相は、決勝はほかの国で行うべきだと主張しているほか、ドイツのゼーホーファー内相も大会を主催するUEFA=ヨーロッパサッカー連盟を「無責任だ」と非難するなど、各国の間で懸念が広がっています。