「謝ったら死ぬ病」は、かつて安倍晋三氏が絶対に自分の非を認めようとしないことに対して、LITERAが「謝ったら死ぬ病にでも罹ったのか」と評したことに由来しています。
⇒(17.12.2)安倍首相は“謝ったら死ぬ病”にでもかかっているのか?
菅義偉氏はこれまであまり表面に出なかったので分からなかったのですが、首相の座についてこの方のあり様を見ると、これもまた自分の非を認めることは絶えて無く、安倍氏と同様に「謝ったら死ぬ病」に罹っていることが分かりました。
そこに来てLITERAは、河野ワクチン担当相を3人目の「謝ったら死ぬ病の男」と名付けました。
河野大臣は15日の全国知事会とのリモート意見交換の場で、ワクチン不足の件について「はしごを外した形になってしまい大変申し訳ない」と陳謝しましたが、それはまあ強面の知事会に対してのもので、ゴールデンウィーク前から分かっていたモデルナ製ワクチンの供給減の“隠蔽”についての謝罪は勿論反省の言もありません。
TVなどでメディアの質問に答えるとき、彼の口から出てくるのは見事なまでの他者への責任転嫁です。
LITERAが取り上げました。
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河野太郎はまだ国民に謝罪していない! 新「謝ったら死ぬ病の男」がワクチン不足を隠すためについた嘘と”知の崩壊“発言を検証
LITERA 2021.07.16
菅政権が新型コロナの「切り札」だと喧伝してきたワクチンの供給減少で、接種予約を停止・制限する自治体が続出している。日本経済新聞社が全国の主要都市など52自治体に予約状況を尋ね、回答を得た45自治体から回答を得たところ、大阪や神戸、千葉、北海道、仙台など7割の自治体が「予約を停止・制限」「停止・制限を予定」と回答。さらには、菅義偉首相がぶち上げた「11月末までに希望する国民への接種完了」についても、「11月末までに接種完了」とした自治体は3割にとどまったという。
こうして国の不手際がはっきりとしつつあるなか、ついにあの男が自治体に謝罪の言葉を口にした。ワクチン担当の河野太郎・行政改革相が、昨日おこなわれた全国知事会会長の飯泉嘉門・徳島県知事とのオンライン意見交換の場で「はしごを外したかたちになってしまいまして、大変申し訳なく思っております」と詫びを入れたのである。
何をいまごろ、という話だろう。現に、河野大臣は自治体から「供給がない!」と悲鳴があがっていたなかでも、記者会見で「各自治体にはまだそれなりの在庫がお手元にあると思う」などと発言し、「在庫」の多い自治体には供給量を1割減らすなどと宣言。これに合わせたように菅首相も8日の記者会見の場で「全国の自治体に4000万回分が使用されず在庫になっていると見込まれる」と自治体に責任転嫁し、さらには自民党の下村博文政調会長は「(ワクチンが)足らないという風評が広がっていることも事実だ」などと発言した。
ところが、自治体から「在庫ではなく2回目接種分だ」「在庫などない」という反発が起こり、現実に予約受付の停止や2回目接種予約ができない自治体が相次いだことで不安の声は国民にも広がった。くわえて西村康稔・経済再生担当相の酒類を提供する飲食店に対する金融機関を使った恫喝問題もあり、NHKの世論調査でも菅内閣の支持率は33%と過去最低を記録。ようするに、政権に対する風当たりが強くなったことを受け、いまごろになって河野大臣は自治体首長に直接、非を認めたのだ。
しかも、河野大臣は自治体首長に謝っただけで国民には謝っていないし、「在庫」などという言葉を使って自治体に責任転嫁した事実は悪質極まりない。なのに、いつも強気で自信満々の河野大臣が謝罪を口にしたことから、ネット上では「謝るだけ河野さんは偉い」「テレビにも出てきてちゃんと説明している」「河野さんも大変だよな」などという擁護の声が出ているのだ。
「謝るだけ河野さんは偉い」って、まったく何を言っているのだか。というのも、テレビでの発言をよく聞くと、実際のところ河野大臣の謝罪はポーズにすぎず、いまだに何も反省していないからだ。
たとえば、12日に生出演した『報道ステーション』(テレビ朝日)では、「ワクチンが足りない」という自治体の声を受けて「もっと早く調整できなかったのか」という質問が飛んだ。すると、河野大臣はこんな話をはじめた。
「政府がもっとコントロールしようとすると、恐らくもっと低い水準だったと思います。政府がそれをやらずに、それぞれ自治体の裁量で、いちばん良いやり方でやってくださいと言ったら、現在、1日に140万回を超えるようになっています。冷戦時代のソ連の計画経済と西側の自由経済の差だと思います。どこかでコントロールしようとすると、我々の想像からいって1日100万回がゴールみたいなことでした。自治体がいろんなことを考えてやってくれたので、どんどんペースが加速しました」
「ソ連の計画経済」などとわけのわからない喩え話をしていたが、ようは自治体に責任転嫁しているだけ。しかも、河野大臣はあたかも国が自治体の主体性・自主性を信頼した結果、ペースが加速したかのように語っているが、菅政権は強権性むき出しで総務省の交付税課長まで動かして自治体に接種を急かし、河野大臣は接種記録システムへの情報入力が遅い自治体に“ワクチン配送を飛ばす”などという恫喝をかけてきたのではなかったか。
それが、接種スピードが供給量を上回った途端、「我々の想像は1日100万回がゴールだった」などと言い出したのである。
実際、河野大臣は9日の記者会見で「接種回数が1日当たり120万回を超えて極端に速く打っていただいている自治体がある」と発言。あれだけ尻を叩くだけ叩いておいて「極端に速い」とはどんな言い草だ、という話だろう。
『news23』で都議選の影響を追及され、再び“自治体に個別の見通しがなかった”と責任の押しつけ
河野大臣自身が供給量に見合った接種スピードを見極めて計画を立て、その都度、自治体と綿密なコミュニケーションをとるべきだったのに、計画性もなく上から「速く打て」としか命じてこなかった。そのことが現在の混乱を生んでしまっているのに、いまだに河野大臣は自己正当化を図る一方で暗に自治体の暴走であるかのように語っているのだ。
「謝るだけ偉い」も何も、自分の失策をけっして認めようとしていない河野大臣。しかも問題なのは、都議選に影響を与えることを避けるために供給が足りなくなることを隠していたと見られていることだ。
河野大臣が生出演した昨日15日放送の『news23』(TBS)では、コメンテーターの星浩氏が“自民党のなかからも6月半ばぐらいにブレーキをかけていれば(自治体からの)『はしごを外された』という発言にはつながらなかったという声が出ている”と述べ、「6月下旬から都議選があったため、さすがの河野さんも言い出せなかったのではないか、というのが自民党の人たちの反応」だと指摘。「ブレーキが遅れたのは本当のところは何があったんですか?」と尋ねた。
だが、この質問を星氏が言い終わる前に、河野大臣は食い気味に「都議選やら何やら、まったく関係ありません」と語気を強めて否定。さらにはこんなことを言い出したのだ。
「もう変異株が広がっているなかで、とにかく7月末までに高齢者をまず終わらせるというのがいちばん大きな目標です。そのためにはペースの遅い自治体にはペースをあげていただけなければいけませんから。そこはまず7月末までの高齢者を終わらせる、その目処が立つところまでは、やはり接種にブレーキをかけるなんていうのは考えておりません。で、それがどうやら実現できそうになって、現役の接種がはじまってくる。気づいてみたら、かなり先まで予約をとろうとしていた」
「ファイザーは4月から6月に1億回、7月から9月に7000万回ということはつねづね申し上げておりましたけれども、自治体からしてみるとマクロで1億万回になるよというのはわかっていても、じゃあ自分のところの供給についてどうなるのかという個別の見通しがなかったもんですから、いままでのペースでそのまま予約をとっていただいていたところなんだと思います」
「気づいてみたら、かなり先まで予約をとろうとしていた」というのは自分の無能っぷりを認めているようなものだが、マクロを踏まえてミクロの配分を示すのがワクチン担当大臣の仕事にほかならないのに、河野大臣は言うに事欠いて“俺はマクロを示したのに自治体に個別の見通しがなかった”と言い募ったのである。
この期に及んで「9月末までにみなさんに打てるワクチンが入ってくる」と胸を張る厚顔
いや、もっとひどかったのはこのあとだ。番組では視聴者から「40〜50代の重症者が増えてきています。接種の優先順位を誤ったと考えていますか?」という質問が投げかけられたのだが、河野大臣の返答はこんなものだった。
「あのー、ワクチンの量がほんとうに絞られていることを想定して65歳以上ということをしましたけれども、9月末までには希望する国民のみなさんに打てるだけの量のワクチンが入ってきますので」
「首都圏・近畿圏といった、いま緊急事態宣言が出されているようなところは、かなりの数の職域接種がスタートしておりますので、そこでも打っていただけますので、そこは50代問題もしっかりワクチンを打っていくことでクリアできると思っております」
おいおい。この間、菅首相をはじめとして政府が「医療従事者と高齢者の2回接種に十分な量を確保」と喧伝し、河野大臣自身も「確実にワクチンは届く。コンサートのチケットと違って売り切れはない」などと強調してきたことを忘れたのか。それを「ワクチンの量が絞られていることを想定していた」だの、すでに40〜50代の重症化が問題になっているのに「9月末までには全員分のワクチンが入ってくる」だの言い出すとは、無責任にもほどがある。
さらに、河野大臣は“50代問題”を「職域接種」でクリアできると言い張るが、その職域接種で使用するモデルナ製ワクチンの6月末までの供給量が当初の4000万回分から3分の1の量である1370万回分になったことをゴールデンウィーク前には把握しながらその事実を“隠蔽”しつづけ、見切り発車で6月21日に職域接種をはじめて混乱を招いたのはどこのどいつだ。
しかも、申請を済ませたのに職域接種が待機状態となっている会場は3000件にも及んでいることについては河野大臣自身も認め、「要望が強かったのを見誤った。私の失敗で申し訳ない」と謝罪を口にしているが、これは「要望を見誤った」というような話ではない。問題になっているのは、どうして供給が3分の1になることを知っていながら職域接種に踏み出したのか、という点だからだ。
モデルナワクチンの供給が3分の1になった問題でもインチキな詐術を連発した河野
そして、このモデルナワクチンの供給が3分の1になった問題についても、河野大臣は姑息なごまかしをつづけている。
たとえば、前述した12日に生出演した『報ステ』で河野大臣は、EUとの交渉の際にファイザー製を確実に輸入するためにモデルナ製ワクチンの供給先送りを承諾したと主張。まるで“ギリギリの交渉でカードを切って俺は勝った”と言わんばかりのドヤ感だったが、モデルナの供給をあきらめたからファイザーが入ってきたなんて話は、なんの証拠もないし、言い訳にすらなっていない。
さらに、13日の衆院内閣委員会の閉会中審査では、立憲民主党の今井雅人衆院議員から“ゴールデンウィークごろにモデルナ製ワクチンの供給量が減ることを示していれば職域の要望も急増しなかったのでは”と追及されると、河野大臣は「4月、5月時点でまだ職域をどうするか決まっていなかった。言い掛かりでしかない」と逆ギレまでした。
まったく言い掛かりをつけているのはどっちだ、という話だろう。供給量が3分の1しかないと知りながら、5月24日からモデルナ製ワクチンを使った自衛隊による大規模接種センターを開始した上、そこから1週間後の5月31日におこなわれた関係閣僚会合で職域接種実施の方針を固め、翌6月1日には厚労省が職域接種開始の事務連絡を自治体に発出。この時点ですでに政府は企業や大学だけではく、下請け企業などの取引先や従業員の家族、近隣住民までをも接種対象に含める方針を掲げていた。つまり、モデルナ製ワクチンはわずかな供給量であるにもかかわらず、限定的な実施にとどめることもせず、むしろ大風呂敷を広げたのだ。その上、河野大臣は「ストップするくらい頑張って」などと発破までかけた。
これは「要望を見誤った」などということではなく、あきらかに足りなくなることがわかっていながらの「確信犯」だったはずだ。そして、その理由は、「都議選」と「東京五輪」の影響を見越してのことだ。
実際、河野大臣は6月21日に職域接種会場で「VACCINATED」(接種済み)と書かれたマスクを付けて自身も接種を受けたり、申請を一時ストップしたあとであるにもかかわらず吉本興業やKADOKAWAグループの職域接種を視察し、接種が進んでいることを大々的にPR。また、都議選では自民党候補者の街頭応援演説に立ち、「ワクチン接種、大変なスピードで打っていただいております」などとアピールに余念がなかった。
また、職域接種のスタートは東京五輪関係者への優先接種に対する「不公平感」を有耶無耶にさせた。本来、重症・感染リスクの高い人やエッセンシャルワーカーへの段階的な接種を徹底させるべきなのに、大企業や大学での接種を解禁させることでその優先すべき順番というルールをぶち壊し、東京五輪関係者への優先接種という「特例扱い」をごまかしたのだ。
そうして都議選が終わり、東京五輪強行開催が決定的となったことを受け、しれっと河野大臣は“じつは1370万回分しかありませんでした”“4月末には知っていた”と言い出した。これは完全に国民を欺いた背信行為だが、いまだに河野大臣は「言い掛かりだ!」などと逆ギレして、自身の責任をごまかそうとしているのである。
いや、そればかりか、河野大臣は早くも職域接種について逃げを打つような発言までおこなっている。昨日15日におこなわれた講演で、モデルナ社から日本独自の保存期間や書類作成手続きが煩雑だとして「なんとか世界標準に合わせてほしい、と言われている」とし、厚労省に見直しなどを求めていると発言。もし今後、手続きが問題となってモデルナからの供給に遅れが出たとしたら調整できなかった河野大臣の失態にほかならないが、こうして現段階から「厚労省が悪い」という印象づけに躍起になっているのである。
ワクチン政策を批判した中島岳志に「知の崩壊?」と反論も、知性が崩壊しているのは河野のほうだ
このように、現状のワクチンをめぐる混乱の元凶は、自治体にすべての責任を押し付けるだけで、都合の悪い事実は国民に伏せ、ワクチンを政治利用してきた菅首相と河野大臣にあることは疑いようもない。にもかかわらず、責任者である河野大臣は謝罪を口にしながらも、実態は居直っているだけなのである。
そして、いま問題にすべきは、この河野大臣の態度だ。安倍晋三・前首相にしろ菅首相にしろ「『謝ったら死ぬ病』なのか」と言われるほど自身の非を認めようとしてこなかったが、それはこの期に及んでも自己正当化しか頭にない河野大臣も同じだ。
しかも、モデルナ製ワクチン隠蔽問題について“政府に対する国民の信頼が棄損されている”と言及し、〈この一連の政治過程は、河野太郎という政治家のネオリベ(⇒新自由主義)的特質が出たとみるべきだろう〉というじつに的を射た指摘をTwitter上でおこなった政治学者の中島岳志氏に対し、河野大臣は自身のブログで「知の崩壊?」と題して反論。前述した“ファイザー製を確実に輸入するためにモデルナ製の供給先送りを承諾した”というたんなる交渉失敗話を長々と書いているだけで何の反論にもなっていないのだが、そのなかで河野大臣は中島氏に〈お酒の量を減らすことをおすすめします〉と書き綴っている。
それでなくても一国の大臣が国策について自身のブログで明かすこと自体が異常なのだが、挙げ句 “酔っぱらいの戯言”などという罵詈雑言まで投げつける──。「知の崩壊」を起こしているのは、あきらかに河野大臣のほうなのだ。
国民の命と安全にかかわる重大事であるにもかかわらず、口先だけの謝罪でお茶を濁し、反省がまるでないまま自己正当化に走り、けっして事実の隠蔽を認めようとしない。この「自分は絶対に間違えない」という無謬性こそが独裁を生むわけだが、この大臣はその素質を十分に兼ね備えていることが、今回、あらためてはっきりした。そしていま、重く受け止めるべきは、これだけの大失態を重ねながらもいまだにこの居丈高な無能大臣が「ポスト菅」「次の総理」に挙げられているという事実の深刻さなのだ。(編集部)