時事通信が9~12日に実施した世論調査で、内閣の支持率は29・3%(前月比3・8ポイント減)、不支持率は49・8%(同5・6ポイント増)で、政権発足後、支持率が3割を切り「危険水域」とされる20%台に落ち込むのは発足後初めてです。支持率3割割れは「加計学園」問題で安倍政権が揺れていた17年7月以来4年ぶりです。
新型コロナウイルス感染拡大をめぐる政府対応は、「評価しない」が59・1%(同4・0ポイント増)、「評価する」は22・7%(同0・5ポイント減)でした。
政党支持率は自民党が前月比1・4ポイント減の21・4%、公明党が同1・2ポイント減の2・5%でした。
内閣支持率を気にする菅首相は、時事とNHKの世論調査を重視しているというので、この数字はショックでしょう。
ところで自民党内では “青木の法則” が話題になっているということです。「青木の法則」とは“参院のドン”こと青木幹雄元官房長官が唱えたもので、内閣支持率と与党第1党の支持率の合計が50%を割ると、その内閣は倒れるというもので、今回の調査では合計して50.7%になるので、倒れる寸前ということになります。
日刊ゲンダイの記事を併せて紹介します。
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菅内閣支持29・3%、発足後最低 初の3割割れ 時事世論調査
時事通信 2021年07月16日
【図解】政党支持率の推移(省略)
時事通信が9~12日に実施した7月の世論調査で、菅内閣の支持率は前月比3.8ポイント減の29.3%で、不支持率は5.6ポイント増の49.8%となった。政権発足後、支持率が3割を切り「危険水域」とされる20%台に落ち込むのは初めて。逆に不支持率は最高となった。
支持率3割割れは「加計学園」問題で安倍政権が揺れていた2017年7月以来4年ぶり。
政府は今月8日、東京都に4回目の緊急事態宣言発令を決定し、酒類提供店に対する「圧力」問題も起きた。日常生活に制約が続く不満や五輪開催への懸念が支持率に影響したとみられる。菅内閣の従来の最低値は3度目の緊急事態宣言の期間延長、対象拡大が決まった5月の32.2%。
新型コロナウイルス感染拡大をめぐる政府対応は、「評価しない」が前月比4.0ポイント増の59.1%、「評価する」は同0.5ポイント減の22.7%。「どちらとも言えない・分からない」は18.2%だった。
菅義偉首相が感染対策の「切り札」と位置付けるワクチン接種の進捗(しんちょく)に関しては、「遅い」が71.5%と、「順調」の17.7%を大きく上回った。「どちらとも言えない・分からない」は10.8%。
内閣を支持する理由(複数回答)は、「他に適当な人がいない」が最多の12.1%。「首相を信頼する」7.8%、「首相の属する党を支持している」4.4%が続いた。支持しない理由(同)は「期待が持てない」27.7%、「リーダーシップがない」25.3%が双璧で、3番手は「政策が駄目」18.4%。
◇与党支持も減、立民上昇
政党支持率は自民党が前月比1.4ポイント減の21.4%、公明党が同1.2ポイント減の2.5%。これに対し、立憲民主党は1.6ポイント増えて4.5%となった。3月の4.8%に次ぐ数値。
以下、日本維新の会2.0%、共産党1.8%、国民民主党0.5%、れいわ新選組0.3%、社民党0.2%、嵐の党0.1%だった。「支持政党なし」は63.9%。
調査は全国の18歳以上の男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は62.9%。
菅内閣の支持率ついに危険水域に突入 “青木割れ”目前で自民震撼!
日刊ゲンダイ 2021/07/17
とうとう「危険水域」に突入だ。
時事通信が9~12日に実施した7月の世論調査で、菅内閣の支持率が前月比3.8ポイント減の29.3%に落ち込んだ。低空飛行が続いていた支持率だが、「危険水域」とされる20%台に落ち込むのは政権発足後、初めて。不支持率は5.6ポイント増の49.8%に上昇した。
「時事通信の世論調査は個別面接方式で信頼性が高い。支持率を気にする菅総理は、時事とNHKの世論調査を重視しているというから、この数字はショックでしょう。党内では“青木の法則”が話題になり、秋までの総選挙を控えて浮足立っています」(自民党関係者)
「青木の法則」とは、“参院のドン”と呼ばれた自民党の青木幹雄元官房長官が唱えたもので、内閣支持率と与党第1党の支持率の合計が50%を割ると、その内閣は倒れるというもの。今回の調査では、自民党の政党支持率も前月比1.4ポイント減の21.4%に下がった。内閣支持率29.3%と足して50.7%と“青木割れ”は目前だ。
新型コロナウイルス対策、五輪強行、ワクチン停滞、飲食店への圧力問題……。この内閣を支持できない理由は数え上げればキリがない。五輪開催でコロナ感染拡大が悪化すれば、さらなる支持率下落は必至。選挙を控えた自民党議員が「菅降ろし」に走る可能性がある。五輪を花道に退陣のシナリオも囁かれ始めた。
■不人気首相で総選挙になだれ込む可能性
「菅首相では選挙を戦えないという声は以前からある。実際、春の補選・再選挙から知事選、都議選と、ことごとく選挙で勝てない状況が続いています。しかし、総選挙前に菅首相を強引に引きずり降ろすことはできないでしょう。いまの自民党にそんなエネルギーはないし、党内抗争でゴタゴタすれば、ますます支持率が下がりかねない。有力な“ポスト菅”も存在しません。野党がしっかりしていれば政権交代もあり得る場面ですが、野党の支持率も上がっていない。だらしない野党と、党内に対抗馬がいないことに救われて、菅政権がダラダラ続き、不人気首相のまま総選挙になだれ込む可能性の方が高そうです」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
時事の調査によれば、菅氏に首相を続けてほしい期間は「今年9月末の総裁任期まで」が49.4%と最多。「早く辞めてほしい」は17.3%で、全体の3分の2が、9月までには退陣してほしいと考えている。
数カ月後の総選挙は、その民意を示すチャンスだ。