2021年7月2日金曜日

職域接種中止も謝罪なし 無能のくせに厚顔 居直り 居丈高

 新型コロナの対策に一貫して無為無策を通してきた菅政権は、ワクチンの急速な接種でそうした失政を一挙に糊塗できるとばかりに、大規模接種の方策を演出して来ましたが、ここにきて突然ワクチンの供給が間に合わないと言い出して、申請受付の一時休止を打ち出しました。対象を無定見に職域接種や大学生向けにまで広げたのが直接の原因のようですが、そんなことも予測できなかったのでしょうか。

 総務省の交付金担当課長辺りから直接接種の推進を促されて、それまで最優先で取り組んできた地方自治体にすれば、ようやく準備が整ってきた段階でいきなり「撃ち方やめ」になったのですから、気持ちの整理もつきません。
 「国の方針に振り回されている」と、三重県四日市市の市長が、定例会見怒りの感情をあらわにしたのは「むべ(宣)なるかな」です。お粗末過ぎて弁解の余地などありませんが、河野担当相や田村厚労相はどうも反省やお詫びの言葉を口にするような人たちではなさそうです。
 菅政権は、自ら「ワクチンこそはゲームチェンジャー(事態好転の鍵)」だと謳った筈なのに、肝心な段階でこの体たらくとはお粗末に過ぎます。
 日刊ゲンダイが「  職域接種中止も謝罪なし 無能のくせに厚顔 居直り 居丈高」とする記事を出しました。そんな風にでも言わないことにはとても溜飲は下がりません。
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この政権は何なのか
職域接種中止も謝罪なし 無能のくせに厚顔 居直り 居丈高
                         日刊ゲンダイ 2021年7月1日
                        (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
「国の方針に振り回されている」
 三重県四日市市の森智広市長は6月25日の定例会見で、こう怒りの感情をあらわにしていたが、おそらく他の自治体、企業関係者も同じ気持ちではないか。政府が「撃て撃て(打て打て)」と煽り、散々せっつきながら、いきなり、「撃ち(打ち)方やめ」となった新型コロナワクチンの大規模接種のことだ。
 ワクチン接種をめぐっては、政府は市区町村が実施する高齢者らへの接種用として米ファイザー製を使う一方、職域接種や自治体の大規模接種向けは米モデルナ製を割り当てている。このモデルナワクチンについて、政府は9月末までに5000万回分の供給を予定。職域接種に2700万回分、大学向けに600万回分、都道府県や市区町村向けに1700万回分を割り当てる計画だったのだが、21日に職域接種が本格スタートすると申請が殺到。あっという間に申請数は約3642万回分(約1821万人分)に達し、割り当ての予定分を大幅に上回ってしまった。
 このため、政府は職域接種の一時休止を決定。その後、「ワクチンが全然足りない」(政府高官)ことが確実となったため、申請を再開しない方針を固めたという。
 政府は「申し込み済みの接種が止まることはない」なんて開き直っているらしいが、冗談ではない。あまりにお粗末で、行き当たりばったりのズサン計画としか言いようがないだろう。

常に朝令暮改と大混乱の菅政権
 そもそも、国民に向かってワクチン接種の必要性を声高に叫んできたのは政府だ。菅首相は唐突に「7月末までの高齢者の接種完了」という目標を掲げ、「内閣の総力を挙げて全力で取り組む」と断言。さらに「ワクチン接種の加速化」「未知のことへの挑戦」と悦に入ったような表情を浮かべながら、自治体や企業などに半ば強制的にワクチン接種を迫った。
 菅の発言を受けた総務、厚労両省は、自治体に対して「圧力」とも受け取られかねないような強引な手法で接種の加速を要請。菅の出身地・秋田県は当初、都道府県別のワクチン接種の目標達成率が56%と全国でも最低だったのに、菅が「(秋田の状況は)ショックだった」と発言した途端、あれよあれよという間に8ポイントも「改善」した。
 他の自治体も秋田県と同様、ワクチン供給量の調整や接種計画の見直しなどを進め、何とかやりくりして目標達成に向けた体制づくりを進めてきたところで、今度は一転して「弾なし」「中止」というのだから、何をかいわんや。冒頭の四日市市では、市へのワクチン供給の先行きが不透明となり、8月末までに設けた6万回分の接種枠のうち、5万回分の見通しが立たないというから悲劇だ。
 自治体の接種計画が狂ったのも、菅政権が企業や大学の職域接種を前倒ししたからで、森市長が「(職域接種などの)範囲を広げ過ぎて、自治体への供給が目減りしたのでは本末転倒だ。非常に腹立たしさを感じている」と批判していたのも当然だろう。
 経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。
「新型コロナ禍という非常時であり、ある程度の混乱は理解できますが、菅政権は常に朝令暮改と大混乱。ワクチンが切り札と言いながら、日本にいつ届くのか分からず、やっと届いたと思ったら、打つ医師が不足していると言い始め、確保したら今度はワクチンの数が足りないという。なぜ、計画的に考えて予定を立てないのか。国民の多くは呆れていますよ」

「必要な人」「必要な時」「必要な量」が届かないワクチン
 ワクチン供給不足の問題は職域接種などを対象にしたモデルナ製にとどまらない。自治体へのファイザー製ワクチンの配送(供給)量が、5月の連休明けと比べて7月からは約4割減となるからで、全国知事会議でも、ファイザー製のワクチン供給量減少を懸念する声が上がっていた。
 田村厚労相は「供給量が足りないことは本来ないはず」なんて言っているが、「打て打て、中止だ、足りないぞ」などと振り回される自治体はたまったものではない。
 そうでなくとも、すでに自治体の現場ではワクチン接種をめぐって大混乱が続いているのだ。医師や看護師が不足している北海道や栃木などの自治体では、国が迫る「7月末の接種完了」に対応するための医師「争奪戦」が勃発。ワクチン接種を担う医師の時給が通常の数倍にも跳ね上がり、地元の診療医などから不満と戸惑いの声が上がっていた。政府が6月29日に閣議決定した、ワクチン接種をめぐる「重大な健康被害につながる恐れのある間違い」が70件(同16日時点)と決して少なくなかったのも、政府が自治体に無理強いして接種を急がせたために起きた事故と言っていい。
 果たしてワクチンは「必要な人」「必要な時」「必要な量」が届くのか。菅は「予想をはるかに超える申し込みがあった」などとトボけているが、本来は現場の混乱を招いた責任者として土下座するのが当たり前ではないか。

大本営発表を垂れ流す五輪翼賛会メディア
 誰がどう見てもワクチン接種の「加速化」「未知への挑戦」は大失敗。7月23日に開幕する東京五輪に対する世論の反対、批判を封じ込めるための「やるやる詐欺」だったワケで、怒りも失せるほどのデタラメと無能の極みだ。
 本来は、そんな菅政権の不手際や失態をメディアが大きく取り上げて批判するべきなのに、五輪スポンサーだからなのか静かなまま。ワクチンの大規模接種が始まったと同時に大騒ぎし、接種に懸念を示す若者らを直撃しては「なぜ打たないのか」と迫る。もともとは高齢者の重症化を防ぐ目的で接種が推奨されていたはずなのに、いつの間にか、なし崩し的に接種の対象年齢が拡大している状況に対して懸念も疑問も示さない。ワクチンの副反応に至っては、取り上げること自体がタブー視されているかのような雰囲気さえ漂う始末だ。
 メディアがこんな体たらくだから、菅はやりたい放題。ワクチン接種が計画倒れに終わろうと、7月11日まで10都道府県に適用されている「まん延防止等重点措置」が延長される中で五輪に突入しようと、知ったこっちゃないのだ。無能のくせに居丈高な態度を取りつつ、「国民の命と安全を守るのは私の責務」などと平気で言い放つ厚顔、居直り。一体、何様のつもりなのか。
 先の大戦末期、心ある日本国民はすでに敗戦を覚悟していたものの、軍部だけがその現実を受け入れられなかったが、今の菅政権も同じ。「コロナに打ち勝った証し」どころか、とっくにボロ負け。それでも「五輪を開けば俺たちは勝つ」と寝ぼけているのだ。そんな政権を批判もせず、五輪翼賛会と化している大本営発表を垂れ流すメディアもまた罪が重いと言わざるを得ない。このままだと、国民の命は感染力の強いデルタ株の猛威にさらされるのは間違いない。
 政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「菅政権はコロナを封じ込めるためではなく、五輪を強行開催するための理由付けとしてワクチン接種を呼び掛けたため、もともと対策が緩く、だから次々とボロが出るのです。そもそも政府が今、やるべきことはデルタ株の感染拡大に備え、どういう体制を整えておくのかということ。ところが、菅政権は何も考えていない。目先の五輪で頭がいっぱいだからです。そんな政権を大手マスコミは真正面から批判しないため、国民は右往左往してしまうのです」
 五輪後、この国は焦土と化してしまうのではないか。