4日、茨城県内の聖火リレーで沿道からランナーに向けて水鉄砲を発射した50代の女が、現行犯で逮捕されました。もしも液体がガソリンで聖火に引火していたら大惨事でした。
ある警察関係者は、「こうした一匹狼型のテロ活動は防ぐのが非常に難しい。菅首相は『安心安全』と繰り返す割に、テロの脅威に無頓着なように感じる」と語りました。要するに穴がだらけということです。
菅首相にはそもそも定見というものがなく、五輪を「無観客」にするかどうするかについても、途中段階で未練気にいろいろな観測気球を上げ続けた挙句、ようやく建前だけは「無観客」に落ち着いたのでした。
菅政権のコロナ対策は周回遅れのコロナワクチンに頼るだけで、それ以外の感染防止施策は何もありません。別掲の記事でも明らかなように、東京五輪に限定しても空港検疫での感染者の入国阻止も不十分であれば「バブル方式」で選手団への感染を防ぐこともザルで、全く取り柄がありません。そもそも丸川五輪相を筆頭に、関係者には「感染者の入国阻止」や「バブル方式」に関しての知識もなければその意思があるのかも不明です。
こんな状態でもしも大事に至らないで済めば奇跡というべきで、ひとえに第一線の関係者の努力によるものです。
それとは別に島根県の丸山達也知事が9日、定例会見で東京五輪での天皇陛下による開会宣言について「お願いすべきではない」と述べました。
新型コロナの首都圏における感染再拡大は既に明らかで、開催を巡り世論が分かれていることから「お出ましいただく環境ができていない。私ならお願いを取り下げる」との考えを示しました。ご自身の意向を述べられない立場の方に対する必要な配慮というべきです。
天皇が開会式に出席される方向で調整が進められているのは、五輪憲章に開会宣言は国家元首が行うと明記されているからです。しかしその規定が「コロナが蔓延」というような状況下を想定したものでないのは勿論です。
そもそも菅氏のようにI OCを何か高貴な組織であるかのように扱うのは間違いで、単に利権を追求している一民間組織に過ぎません。必要なら菅首相が開会宣言を行えば良く、それくらいの主体性は発揮すべきです。
日刊ゲンダイと毎日新聞に記事を紹介します。
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聖火リレー“水鉄砲”事件で「五輪テロ対策」のズサンさ露呈…国民の不安は増す一方
日刊ゲンダイ 2021/07/10
うわ言のように東京五輪の「安心安全」を唱え続ける菅首相だが、語られるのはコロナ対策ばかり。警備関係者の間ではテロ対策のズサンさが心配されている。
ただでさえ、国際的な注目が集まる五輪はテロの標的になりやすい。1996年アトランタ五輪ではメイン会場の隣接広場で爆弾テロが発生、2人が死亡し111人が負傷した。2014年ソチ五輪でも開幕目前に列車やバスを狙った爆弾テロが相次いだ。
■「ローンウルフ」を警戒
東北地方の某県警関係者が言う。
「今月4日、茨城県内の聖火リレーで沿道からランナーに水鉄砲で液体を発射した50代の女が、威力業務妨害の疑いで現行犯逮捕された。水だからよかったようなもので、もしガソリンが聖火に引火していたら大惨事です。われわれが最も警戒しているのが、こうしたローンウルフ(一匹狼)型のテロ活動で、防ぐのが非常に難しい。菅総理は『安心安全』と繰り返す割に、テロの脅威に無頓着なように感じます」
警察当局は警備の規模や詳細を明らかにしていないが、すでに全国の府県警から集められた機動隊が五輪警備のために入京。コロナ禍は警備態勢にも悪影響を及ぼしているという。
「仮設待機所の4人部屋や8人部屋に詰めていますが、まだワクチン接種が終わっていない隊員もいるため、就寝時もマスクを外せない。食事は基本、弁当です。外出もできない環境で、早くも若手隊員の士気が下がってしまいそうです」(前出の関係者)
安倍前首相は17年に「東京五輪に向けたテロ対策」を理由に共謀罪を成立させたが、それはあくまで口実。コロナ対応で右往左往の政府を見ていると、テロ対策にまで目配りできているとは思えない。
「コロナ禍や災害対応にリソースを取られて、五輪にどこまで人員を回せるかという問題もあります。無観客で、選手がバブル方式で隔離されていれば、当初よりは警備がしやすいでしょうが、今回の五輪は歓迎されていない。コロナ禍で職を失った人もいて、五輪のために国民が犠牲になっているという反発もある。世論を無視して無理やり強行することで、五輪がテロや妨害行為の標的になる危険性が高まりました」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
茨城の“水鉄砲事件”でも、逮捕された女は「オリンピック反対」と叫んでいたという。
ひとたびテロが発生すれば平和の祭典どころではない。日々、政権のポンコツぶりを見せつけられている国民の不安は増す一方だ。
天皇陛下の五輪開会宣言「お願い取り下げるべきだ」 島根知事が発言
毎日新聞 2021/7/9
東京五輪の開会式での天皇陛下の開会宣言について、丸山達也・島根県知事は9日の定例記者会見で、新型コロナ禍の中で五輪開催に賛否が分かれていることを踏まえ、「(開会宣言を)お願いできる立場なのかを大会組織委や政府、東京都は再検討すべきではないか」と述べた。
現行憲法が第1条で天皇を「日本国民統合の象徴」と定めていることを踏まえ、丸山知事は「これだけの国民世論の議論になっている場にお出ましいただいて、開催宣言をお願いしていいのか」と疑問視。「陛下のお立場を考え、お願いする側が取り下げを考えないといけない状況になっていると思う。私が(組織委の)橋本(聖子)会長の立場なら取り下げます」とした。