2021年7月10日土曜日

10- 今度は選手村勤務の組織委職員らの大人数飲食・コロナ感染を隠ぺい!

 世界が注目している筈の東京五輪におけるコロナ対策は早くも滅茶苦茶の有様です。

 日本の空港に到着する五輪の選手団や関係者の中に新型コロナの感染者が含まれていること自体は日本の責任ではありませんが、感染者が判明した時点で感染者をどのように的確に隔離して、濃厚接触者を検査して適正に処置するかは主催国日本に課せられている責任です。
 それなのに、一体空港到着時にどれだけの感染者がいて、濃厚接触者がどう処置されたのかが皆目見えない(公表されていない)というのが実態です。
 菅政権お得意の「隠蔽」ですが、何故「隠蔽」するのでしょうか。一つは感染者が判明した後の一連の処置の実態が、「厳格なチェックに堪えられない」ものであることを政府が自覚していることが挙げられます。感染者の累積数が多くなると、当然開催を強行したことに対する批判が高まるので、それを避けたいということもあるのでしょう。
 安倍/菅政権はこれまでひたすら隠蔽と偽造・偽装を旨として数々の批判を潜り抜けて来たので、最早何の抵抗もないのかも知れません、しかしそれが国際的に通用する筈がありません。
 LITERAが取り上げました。
 日刊ゲンダイの記事も併せて紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
五輪組織委が今度は選手村勤務の組織委職員らの大人数飲食・コロナ感染を隠ぺい! 文春から取材を受けた直後に慌てて発表
                        LITERA 2021.07.09
 これだけ批判を受けても、東京五輪・パラリンピック組織委員会と政府は、大会関係者の感染を隠蔽し続けるつもりらしい。ウガンダ選手団の飛行機同乗者、フランスの大会関係者、エジプト、ガーナ、スリランカの選手やコーチ、セルビアの選手に続き、今度は選手村に勤務する組織委職員の感染と飲食を隠蔽していたことが明らかになった
 6日、東京五輪組織委は、東京・晴海の選手村に勤務する組織委職員と委託業者2名がそれぞれ、1日、2日に新型コロナウイルスの検査で陽性が判明し、この2人を含む4人が飲食で同席していたことを発表した。
 組織委は「厳しく注意し、全スタッフにも注意喚起した。陽性者と同じフロアで働く人にも、体調管理を徹底するように連絡した」と説明したが、東京五輪の「プレイブック」では、食事する際、2メートルの距離を保ち、できるだけ1人で食事をするよう求めており、この飲食は明らかなプレイブック違反。バブル方式で安全安心などと言いながら、実際は選手村の準備をおこなう組織委のスタッフがプレイブック違反で会食をして感染しているのだから、話にならない。
 しかも、これ、組織委が自ら積極的に発表したものではなかった。7月7日付「週刊文春」電子版が「小誌取材直後に公表 五輪組織委員会スタッフ“コロナ感染会食”の隠された実態」というタイトルの記事を報道。オリジナルの有料記事のため詳細は控えるが、そのなかで、「週刊文春」編集部がこの事実をキャッチし組織委に取材をかけたところ、その直後に、感染を発表したと書いているのだ。
 ようするに、組織委は「週刊文春」から取材を受けたのであわてて感染と飲食を発表しただけで、もし取材がなければ、そのまま知らぬ存ぜぬで隠蔽していたということらしい。実際、選手村勤務の職員ら2名の陽性が判明してから「週刊文春」に取材を受けるまで数日間あったのに、組織委はこの事実を明らかにしなかった。
 しかも、組織委は6日に事実を発表した際も、食事の時間や場所、飲酒の有無を明らかにしなかった。じつは、「週刊文春」の記事によると、この飲食というのは選手村のメニューの試食会でのことで、他にも多くの参加者がいたというのだが、組織委はこの期に及んで、まだそのことを隠しているのだ。
 しかし、組織委や政府のこうした姿勢は今回に限ったことではない。冒頭で触れたように、これまでも組織委と政府は東京五輪の関係者の感染をひた隠しにし、野党やマスコミの追及があって渋々公表するということを繰り返してきた

フランスの大会関係者やエジプト、ガーナ、スリランカ、セルビアの選手やコーチの感染も隠ぺい
 まず、6月19日に成田空港に到着したウガンダ共和国の選手団9人のうち1人がPCR検査で陽性だったが、このときは残りの8人はPCR検査もしないまま事前合宿地の大阪府泉佐野市へ夜行の貸し切りバスで移動させただけでなく、同じ飛行機の搭乗者に陽性者が1人見つかっていた。ところが、厚労省も内閣官房もこの事実を発表せず、7月1日、立憲民主党から確認を受けてはじめて明らかにした
 6月28日には、フランスの大会関係者やエジプト、ガーナ、スリランカの選手やコーチら4人の感染が2月から6月にかけて確認されていたこと、そのなかには政府が濃厚接触者の有無を把握できていないケースがあったことが明らかになったが、これも政府が自ら公表したのではなく、同日におこなわれた野党合同ヒアリングで、野党側が事前に通告していた質問に対して内閣官房のオリパラ推進本部事務局担当者が答えたものだった。
 さらに7月3日には、羽田空港に到着したセルビアの五輪ボート選手が空港検疫で陽性と判定されたが、このときも政府は丸半日以上も事実を明らかにしなかった
 この事実は4日未明、TBSが「独自」というかたちで最初に報道。朝になって、事前合宿の受け入れ自治体である富山県南砺市の田中幹夫市長がTwitterに〈南砺市で合宿予定だったセルビアボート選手が陽性に。今回セルビアチームは南砺市に入って来ません。応援はしたいと思います〉と投稿。日本テレビもそのあと、田中市長のツイートを引用するかたちでこの事実を報道し、新情報として、〈セルビアのオリンピック委員会によると、陽性となった選手は「無症状」だったということです〉と伝えた。
 しかし、政府からは何も発表はなく、この問題を報じたTBSも日テレも、セルビアのボート選手から陽性者が出たことを「関係者への取材でわかった」と伝えるのみだった。陽性と判定されなかった他の選手らは濃厚接触者と判断されたのか、一体どこへ移動したのか、さらには同じ飛行機に搭乗した乗客に陽性者はいたのか。まったくわからなかった
 そんななか、ようやく4日11時前後から、厚労省が取材に応えたかたちで「陽性者以外の4人全員も濃厚接触の可能性があるとして一時滞在施設に移動し、濃厚接触調査を受ける」という報道がなされはじめた。
 しかも、共同通信が11時すぎに報じた時点でも〈厚生労働省への取材で分かった〉というものにすぎず、政府からの自発的な発表はおこなわれなかった

隠蔽体質があるかぎり、菅首相が無観客などどんな対策を打ち出しても信用できない
 明らかに意図的に隠したとしか思えないが、さらに呆れたのは、政府がいまだその隠蔽の事実を認めず、うやむやにして、その姿勢を続けようとしていることだ。
 くだんのセルビア選手の陽性判明発表の経緯については、7月6日の野党合同ヒアリングで追及されたのだが、内閣官房の担当者は以下のように説明していた。
 「事前合宿に参加する場合は受け入れ自治体と内閣官房から公表するというかたちであり、先日のセルビア選手団の方からの陽性者につきましては、富山県南砺市と内閣官房から発表させていただいた」
 しかし、南砺市が「セルビア共和国オリンピック選手団の陽性者発生等について」と題したお知らせをHPに公表したのは5日(月)になってのこと。内閣官房にいたっては、HPを確認しても、そのようなリリースは見当たらない。前述したように内閣官房は、マスコミに追及されてセルビア選手の陽性判定を認めたに過ぎない
 にもかかわらず、平気でこんなインチキを言い張るというのは、今後も、五輪関係者の感染発表で同様の隠蔽を続けるつもりとしか思えない。
 実際、同日の野党合同ヒアリングで今後の五輪関係者の陽性が確認された場合の公表の仕方についても質問が出たが、内閣官房の担当者は白々しく「選手村に直接入る人が陽性になれば、組織委の定めた様式で公表される」と説明した。
 しかし、内閣官房は公表の様式について「組織委に報告があった日、陽性が判明した日、国内在住者か海外在住者か、入国後14日以内か以降か、選手なのか役員なのかなどの立場といった情報」が記載されると述べたが、つまりこれでは国籍や競技、症状の有無については伏せられ、感染経路や濃厚接触者の情報などは明らかにされないのだ。
 実際、組織委は今月1日にプレイブック3版が適用されて以降HPで、関係者の感染を上述の様式で公表しており、8日時点ですでに16人もの陽性が判明しているが、「週刊文春」が報じた2人以外について、業務や感染経路、濃厚接触者の有無など一切公表していない
 安全安心の根拠であるバブル方式は完全に破綻しているにもかかわらず、五輪開催のために感染実態を隠蔽しようという、政府や組織委の度し難い体質。菅政権は開催反対の世論を封じるため、急転直下、緊急事態宣言の再発出を決め、5者会談で「無観客」が決定したが、口先でどんな対策をぶち上げようとも、この隠蔽・改ざん体質がある限り、信用することはできない。
 金メダルの数と膨れ上がる死亡者の数が併記されるようなグロテスクな状況を回避するためにも、東京五輪は中止一択しかないのである。(編集部)


菅首相が招いたコロナ禍の“無間地獄”…数字が証明する無能・無策ぶり
                          日刊ゲンダイ 2021/07/09
 8日、東京への4度目の緊急事態宣言発令の決定後、会見に臨んだ菅首相。コロナ禍から延々と抜け出せない「無間地獄」を招いた責任はみじんも感じられず、強調するのはワクチン接種の加速ばかり。失敗の永久ループの「政治責任」から目をそらそうと必死だった。

■記者会見でもマトモに答えず、のらりくらり
「いつまでこんな生活がダラダラ続くのか。国民の疲労や不信感はピークに達している」
 質疑応答のトップに立った北海道新聞の記者は、「甘い見通し」「遅い対応」「不十分な中身」を列挙し、菅首相の政治責任を追及した。ところが、菅首相はマトモに答えず、のらりくらり。「一進一退の状況から脱して、決め手となるのがワクチンだ」とダラダラと話し続けた
 今年に入って菅首相が東京に緊急宣言を発令したのは1月7日、4月25日に続いて3度目。1月の発令から今回の期限の8月22日までの7カ月半、都民が「緊急宣言」も「まん延防止等重点措置」も出ていない状況で暮らしたのは、わずか21日間(3月22日~4月11日)に過ぎない。
 これだけ長期間、不自由と我慢を強いながら、全く感染を抑え込めていない。きのうまでの全国の感染者数は累計81万人だが、宣言発令の1月7日以降が55万人と68%を占める。死者も累計1万4903人のうち、74%にあたる1万1082人が1月7日以降だ。菅首相の無能・無策ぶりは数字が証明している
 結果が出ないのは、同じ失敗を繰り返しているからだ。
 Go Toトラベルを年末まで引っ張り、遅きに失した1月の緊急宣言。短期集中をうたいながら、ハンパな中身でズルズルと長期化。2月末の関西3府県の前倒し解除で4月に関西は感染爆発。4月も6月も東京は、リバウンドの兆候がハッキリしていたのに、解除に踏み切り、2度とも大きな波に見舞われた

失敗から何も教訓を得ない
 変異株への対応も最悪だ。すでに英国で変異株が大流行していた昨年12月、空港検疫では英国から渡航の陽性者が1カ月で4人から19人へと約5倍増。英国株(アルファ株)が市中に入っている可能性を示していたのに、変異株を発見する検査をすぐには行わず、その後の市中感染を許してしまった
 その苦い経験を生かすことなく、4月にインドから渡航の陽性者が前月の8人から80人へと10倍に増えても、再び検査対応は後手。国立感染研の推計によると、今や首都圏では感染の約35%がインド株(デルタ株)に置き換わっている
 今回も宣言を発令しながら、五輪強行という矛盾した政策で失敗は濃厚だ。さらに、コロナの季節性が感染拡大を加速させる可能性がある。1月、3月、8月に流行のピークを迎える傾向が明らかになっている。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長が言う。
「最近、世界的に流行が広がっていますが、要因のひとつが、季節性によるものと考えられます。日本でも、これから8月にかけて感染が拡大していく可能性があります。デルタ株の影響を考えれば、今年の春とはケタ違いの流行が起きてもおかしくありません。季節性の流行変動は既知の事実ですが、政策に生かされているとは思えません。例えば、季節性を踏まえていれば、五輪の開催は夏と冬の流行のはざまの秋に延期するなど、できたはずです」
 失敗から教訓を得ず、科学的知見も生かさない。菅首相の失敗と国民の“生き地獄”は無限に続きそうだ