首相サイドの再選シナリオは、9月5日の東京パラリンピックの閉幕直後に解散総選挙を行い、過半数を維持した後、その実績を以て総裁選を無投票で乗り切るというものです。いきなり総裁選を行っても勝てる自信がないということでしょう。
ところが“菅首相が選挙の顔では戦えない”の声はますます自民党内で高まっています。それはこれまでの多くの選挙で証明されたし、直近の世論調査でも支持率が30%に低下しているので当然のことです。そもそも9月初旬にコロナ感染が収束している見通しはないので、そんな中での総選挙はあり得ません。
ただ菅首相は自分が一度思い込むと反対意見を聞かなくなるといわれているので、解散を断行する可能性は皆無とは言えませんが、そうした行為にはそれ相応の選挙結果が待っています。
日刊ゲンダイが「菅首相の『9月退陣&五輪花道論』が再燃! 8月上旬の世論調査がトドメに」という記事を出しました。
同紙のもう一つの記事「 <まだまだ下がる菅支持率> それ見たことか 『五輪強行』すべてが裏目」の抜粋を併せて紹介します。
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菅首相の「9月退陣&五輪花道論」が再燃! 8月上旬の世論調査がトドメに
日刊ゲンダイ 2021/07/21
菅首相の「9月退陣」「五輪花道論」が、再燃している。あまりの不人気ぶりに自民党内から“菅首相が選挙の顔では戦えない”の声が強まっているためだ。
菅首相の党総裁任期は9月30日まで。衆院議員の任期は10月21日までだ。首相周辺の再選シナリオは、9月5日の東京パラリンピックの閉幕直後に解散総選挙を行い、過半数を維持した後、総裁選を無投票で乗り切るというもの。敗北リスクの高い総裁選は、総選挙に勝利した後にやるという戦略だ。
ところが、麻生財務相は18日、党所属議員に送ったビデオメッセージで、「9月はまだコロナ騒ぎがつづいているだろうから、10月選挙になる可能性が高い」と予告してみせた。パラリンピックが終わった直後に解散――という菅シナリオを否定した形だ。
「麻生さんは“総裁選をやってから総選挙をやるべきだ”と語ったわけではありません。でも、9月はまだ新型コロナ感染が収束していない可能性が高く、とてもじゃないが解散は打てない、というのが党内のコンセンサスになりつつある。結果的に、菅シナリオは消えたとみられています」(自民党関係者)
立憲・枝野代表にも負けた
秋に総選挙を控える自民党議員は、先週末の世論調査に衝撃を受けたという。「菅首相にいつまで総理をつづけて欲しいか」という時事通信の調査では、「9月末の総裁任期まで」が49.4%、「早く辞めて欲しい」が17.3%だった。6割以上が“9月末までの辞任”を要求している。さらに、「次の首相にふさわしい人物」では、わずか3.9%の支持しかなく6位だった。5位の枝野幸男氏(5.0%)にも負けていた。あの調査結果に、自民党議員は“菅首相のままだと選挙に負ける”と震えあがったという。
「いまだに菅首相は、“五輪が始まれば世論の空気は変わる”“ワクチンが行き渡れば支持率はアップする”と期待しています。でも、どちらも不発に終わりかねない。オリンピックは開幕直前までゴタゴタつづきで国民は呆れている。ワクチンにしても、71%が“接種の進捗が遅い”と答えています。やはりワクチンが足りなくなり、自治体や職域接種のハシゴを外したのが響いているのだと思う。多少、接種回数が増えても支持率はアップしないでしょう」(政界関係者)
五輪が終わる8月上旬に、大手マスコミの世論調査が実施される。五輪をやっても支持率がアップしなかったら、“菅降ろし”が動き出す可能性がある。
<まだまだ下がる菅支持率>それ見たことか 「五輪強行」すべてが裏目
日刊ゲンダイ 2021 年 7 月 20 日
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
世論の大半が反対する東京五輪の開催まで、あと3日。都内はすっかり五輪モードに突入だ。大会期間中の交通混雑の緩和などを目的に、政府が官民挙げた協力を呼びかける「テレワーク・デイズ」(9月5日まで)が19日スタートし、大規模な交通規制も始まった。「ロードプライシング」が導入された首都高速道路は午前6時~午後10時はマイカーの通行料金が1000円上乗せされ、一部入り口も閉鎖。この影響で都心の高速道路や一般道で渋滞が発生している。
4回目の緊急事態宣言下にある都内の生活が大きな制約を受け続けている中、「そこのけそこのけ五輪が通る」。平民には多大な我慢と犠牲を強いながら、貴族による貴族のための祭典が始まろうとしている。
五輪好きと言われてきた日本人も、さすがに嫌悪を通り越して怒り沸騰だ。コロナ禍を歯牙にもかけずに突き進む菅内閣の支持率がまた一段、下落。30%を割り込み、「危険水域」入りである。ANNの世論調査(17~18日実施)で支持率は前回調査から2・8ポイント減の29・6%。不支持率は3・4ポイント増の46・1%で、政権発足以来最低だ。個別面接方式で信頼性が高いとされる時事通信の調査(9~12日実施)でもヒドイ数字が並び、支持率29・3%に不支持率49・8%。毎日新聞の調査(17日実施)では支持率30%に対して不支持率62%で、不支持が支持のダブルスコアとなるありさま。内閣支持率と与党第1党の支持率の合計が50%を割ると、その内閣は倒れるという「青木の法則」によれば、菅政権は崩壊寸前。“参院のドン”と呼ばれた自民党の青木幹雄元官房長官が唱えたもので、毎日の調査は58%。時事の調査では合計50・7%、首の皮一枚である。
感染者数は半年前水準に
どの調査も不支持が支持を圧倒する政権末期の様相だが、まだ3割も支持があることも驚きである。政治評論家の本澤二郎氏は言う。
「世論調査の数字に官邸は震え上がるものですが、いまや自民党もブルブルと震えている。かといって、何をどうしていいかもわからない。自民党結党以来の深刻な事態です。菅政権は最悪の状態で五輪に突っ込んでいくことになる。菅首相は五輪が生む熱狂を利用した政権浮揚をいまだに期待しているようですが、どれほどの国民がのんびりとテレビ観戦できるのでしょうか。新型コロナウイルスの感染再拡大への不安、コロナ禍による経済的問題を抱え、日々の生活に汲々の国民は決して少なくない。テレビがどんちゃんお祭り騒ぎをするほど、なぜこんなに浮かれているんだろうと、引いてしまうのではないか。菅首相はこのところカメラに向けて殊勝な態度を見せていますが、それが本心であればとっくに総辞職していますよ。仏作って魂入れず、とはこのことです」
9月末の任期切れに伴う党総裁選をめぐり、菅はテレビ番組で「総裁として出馬するというのは、時期が来ればそれは当然のことだろう」と再選への意欲を隠さなかったが、各社の世論調査では「任期を超えてできるだけ長く続けてほしい」との声は1割ほどしかない。そりゃそうだ。都内は感染拡大の第5波にのみ込まれ、19日までの1週間平均の新規感染者数は1100・4人に上昇。1100人超えは1月25日以来で、前週比は145・4%に増加した。変異株を調べるスクリーニング検査で、従来株より1・9倍感染力が強いとされるデルタ株(インド株)が占める割合は過去最多の34・5%となった。
それなのに、「最後の切り札」のはずのワクチンは枯渇が続く。3回目の宣言を見切り発車で解除したことでリバウンドを招き、有観客で盛り上げるもくろみもパー。国民の大半が9月の任期で辞めろと言い、五輪にも何の高揚感もなく、コロナ対応や逃げの政治姿勢に怒り心頭。それ見たことか、五輪強行はすべてが裏目。菅内閣の支持率はまだまだ下がるだろう。
バブル崩壊に「想定より少ない」「予測不可能」
(中 略)
その一方、バブル方式はやはり破綻に向かっている。選手村では選手ら3人の陽性が判明し、組織委管理下にある大会関係者の感染者数は1日以降、計58人に上る(19日現在)。バッハが「東京大会に参加するアスリートの85%、IOC関係者はほぼ100%、メディア関係者も70~80%がコロナワクチンの接種を終えている」「われわれが日本国内にリスクを持ち込むことは絶対にない」などと豪語していたのは一体何だったのか。IOC独立専門家パネル座長のマクロスキー博士は「想定より少ない」と言い放ち、大会後の感染状況について「予測は不可能だ」と無責任極まりない。日本のことなど、どうでもいいのだろう。
次々逃げ出すスポンサー
(省 略)