2021年7月11日日曜日

11- なぜ辞めないのか 辞めさせないのか/東京五輪は一大感染イベントへまっしぐら

 菅首相になってから全ての選挙で負け続け、もはや菅氏の下では選挙が出来ないのは明らかですが、それでもなぜか菅降ろしが表面化しません。緊急事態宣言下で五輪のこともあるので今はそれどころではないのでしょうが、このままでは五輪終了後、総裁選の前に総選挙に入るという菅氏の目論見通りになりそうです。

 五野井郁夫教授によれば、「都議選惨敗しても菅降ろしの気配もないのは、安倍政権の7年間、官房長官を務めてきた菅首相は、自民党のあらゆる不祥事の情報を握っている可能性がある。報復される恐れがあるので、やすやすと降ろせないのでしょう(要旨)」と述べていますそうであればあまりにも暗すぎる話です。
 日刊ゲンダイの二つの記事:「なぜ辞めないのか 辞めさせないのか ~ 」と「  東京五輪は一大感染イベントへまっしぐラ」を紹介します。
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<なぜ辞めないのか 辞めさせないのか>
    ポンコツ一人のせいで未曾有の混乱 シッチャカメッチャカ
                         日刊ゲンダイ 2021年7月9日
                        (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 いったい、何回、同じ失敗を繰り返せば気が済むのか。東京都に4回目の「緊急事態宣言」が発令されることが決まった。しかも、今回は7月12日から8月22日まで42日間という長丁場だ。これで夏休みは台無し。また国民は我慢を強いられる。
 3回目の「緊急宣言」を解除したのは、6月20日、わずか3週間前だ。東京と大阪は、連続4カ月以上「緊急宣言」と「まん延防止等重点措置」が続くことになる。さすがに、再びアルコールの提供が禁止される飲食店からは、「五輪はやるのに」「店が潰れる」「バカにするな」と怒りの声が上がっている。
「緊急宣言」を発令せざるを得ないほど新型コロナの感染が広がったのは、明らかに人災だ。菅首相が「五輪開催」に固執したのが原因である。五輪開催を優先させたために、コロナ対策も中途半端になってしまった。
 菅政権は、7日、都内の新規感染者が920人に膨れ上がったのを見て、慌てふためき、「緊急宣言」の発令を決めたらしいが、感染者の急増は予想されたことだ。政治評論家の本澤二郎氏が言う。
「都内に“重点措置”が発令されても、繁華街では19時以降もアルコールを提供する飲食店がいくつもあった。菅政権は『どうして飲食店は言うことを聞いてくれないのか』と戸惑っていたそうですが、国民が協力しないのは当然です。感染が広がり、緊急宣言と重点措置が続いているのに、菅政権は、政権浮揚のために五輪開催に固執し、しかも“五輪会場ではアルコールを飲めるようにする”“観客は2万人”“五輪のために終電を深夜2時まで延長する”と、平然と感染を拡大させるプランを掲げていた。コロナ対策とは矛盾するメッセージになった。あれでは、国民だって“なぜ五輪だけ”と、我慢するのがバカらしくなり、危機感だって薄くなりますよ」
 菅官邸は、数日前まで、「ワクチン接種が進んでいるから重症者は増えない」「観客を入れて五輪をやる」と、楽観視していたというから、どうかしている

国民に自助を求めるだけのコロナ対策
 そもそも、菅政権のコロナ対策は、やり方が完全に間違っている。バカの一つ覚えのように、飲食店を悪者にして、ロクに補償もせずに「時短営業しろ」「酒を出すな」と、繰り返しているが、飲食店をターゲットにするだけでは、効果が上がらないことは、ハッキリしている。
パンデミックは、国家が責任を持たないと対応できない。国家主導でPCR検査を大規模に実施して感染者を隔離し、飲食店には十分な補償をして休業してもらう。欧州の多くの国は、このセオリーで対応しています。アメリカは、個人に3回も現金を給付している。なのに、菅首相は、コロナ対策まで“自助・共助・公助”でやろうとしている。いざとなったら、国が面倒を見てくれると思うから国民は協力するのに、菅首相はそれが分かっていません」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
 とうとう、菅政権は、酒類問屋などに対し、「アルコール提供を続ける店舗には納入しないように」と圧力をかけ始める始末だ。どこまで庶民をイジメれば気がすむのか。
 バカ丸出しなのは、結局、「緊急宣言」の発令に追い込まれ、1都3県で行われる五輪種目は、「無観客」で実施されることになったことだ。
 7月23日の開会まで、あと2週間しかないこのタイミングで無観客になるのは前代未聞のことだ。無観客になったことで、これまで観客受け入れを前提に進めてきた医療体制やボランティア体制も、一から見直さなければならなくなった。ポンコツ首相一人のせいで、なにもかも大混乱に陥っている

脅迫めいた「ワクチン打て」で現場から悲鳴
 ワクチンの供給不足による混乱も菅が招いたものだ。「打て」「打て」とあおり立てておきながら、「もうワクチンがない」と、突然ハシゴを外され、現場からは悲鳴が続出している。
 さすがに7日の閉会中審査では、自民党議員からも「大変な混乱が起きている」と批判が上がったほどだ。
 職域接種に使う米モデルナ製は、6月末まで4000万回分が供給されるはずだったが、突然、1370万回分に減らされてしまった。これじゃあ、ワクチン接種を進められるわけがない。しかも、河野ワクチン担当相は、供給量の激減を「ゴールデンウイーク前ぐらい」に把握しておきながら、ワクチン不足を“隠蔽”して「打て」と迫っていたのだから、混乱を招くのは当然だ。
「自治体が接種する米ファイザー製も滞っています。神戸市ではワクチン不足のおかげで、約5万人分の予約がキャンセル扱いになってしまった。7月下旬には、配送量が自治体が求める量の3分の1に低下する見込みだから、先行きはなお不透明です」(自治体関係者)
 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「菅首相は接種の優先順位をなし崩しにし、確保見通しが曖昧なまま『ワクチン一本足打法』を進めてきました。ひずみが生じるのは当然。河野担当相の対応もヒドイものですが、菅首相がとにかく『打て』と、半ば脅迫めいた指示を出しているわけですから、まともな対応ができなくなっているのでしょう。結果、医療従事者と接種対象の国民にしわ寄せがきている。これも人災です」

「一大感染イベント」まっしぐら
 これ以上、無能な首相をのさばらせていたら、大変なことになる。一刻も早く総辞職させるべきだ。
 結局、五輪は1都3県では「無観客」で実施することが決定。菅は会見で五輪開催の意義を問われ「世界が一つになれる」なんて言っていたが、海外からの観客はもちろん、日本人もナマで競技を見られないのに、どこが「世界が一つになれる」大会なのか。東京五輪は、本来の「祝典」とは全くの別物となった。「コロナに打ち勝った証し」どころか、虚しさと敗北感が漂う五輪となりかねない。開催の意義は完全に失われている。
 そればかりか、このままでは「一大感染イベント」になるのは間違いない。選手や大会関係者は、バブル方式で外部との接触を断つとしているが、大会関係者はコンビニやレストランの個室も利用できる。しかも、3万人とされる海外メディアは、ほぼ行動がしばられることはない。バブルは“穴”だらけになる可能性が高い。
 自民党はいつまでこのポンコツに首相を続けさせるつもりなのか。
「自民党が“惨敗”した都議選を巡って、以前から関係者の間で『菅総理に来られたら負ける』という声が上がっていました。も、菅降ろしの気配もない。安倍政権の7年間、官房長官を務めてきた菅首相は、自民党のあらゆる不祥事の情報を握っている可能性がある。報復される恐れがあるので、やすやすと降ろせないのでしょう。しかし、一刻も早く辞めさせるのが国民のためです。それができない自民党は情けない限りです」(五野井郁夫氏=前出)
 膨大な無駄金をつぎ込んだ五輪が、感染爆発の引き金になれば、レガシーなど残り得ない。


宮城と静岡「有観客」でも人流11.4万人増! 
       東京五輪は一大感染イベントへまっしぐら
                           日刊ゲンダイ 2021/07/11
 東京五輪まで2週間というタイミングで、首都圏1都3県と北海道、福島の「無観客」開催が決まったが、一部地域では「有観客開催」が強行される。人流増は必至だ。この期に及んでも感染抑止とは真逆のことをやらかそうというのだから、「一大感染イベント」へまっしぐらだ。
               ◇  ◇  ◇
「皆さんに喜んでもらえる大会にしたい」
 宮城県の村井嘉浩知事は9日、有観客開催に向けて、こう意気込みを語った。
 東京都に4回目の緊急事態宣言発令が決定した8日に開かれた、I OC(国際オリンピック委員会)、政府、都、大会組織委員会などによる5者協議で、宣言やまん延防止等重点措置下に置かれる1都3県の会場で無観客が決定。北海道も9日深夜に無観客が決まった。一方、宮城、福島、静岡3県の会場では「収容人数の50%以内、最大1万人」の範囲で観客を入れることになった(茨城県は児童・生徒を招待する学校連携観戦のみ)が、10日には、野球・ソフトボールを有観客で開催予定だった福島も一転、無観客での開催となった。
 村井知事は「プロ野球やJリーグの試合が入場者数を制限して行われており、五輪だけ観客を入れないのは筋が通らない」とも発言していたが、3月に仙台市を中心に感染者が急増。人口10万人当たりの新規感染者数が全国最悪となり、独自の緊急事態宣言発令に追い込まれた。人流が増えれば、感染再拡大を招く懸念はぬぐえない。
 宮城スタジアムでは今月21日から31日までの間の6日間で男女サッカーを実施予定。収容人数4万9000人のスタジアムに制限いっぱいの1万人を入れる場合、延べ6万人の観客がスタジアムを訪れることになるのだ。
 静岡の自転車競技会場にも上限まで観客が入ると、単純計算で宮城と静岡の会場には同11万4100人が足を運ぶことになる。「チケット購入者の多くは首都圏在住」(大会関係者)という。大会期間中に10万人超が県境を越えて移動すれば、昨秋の「Go Toキャンペーン」の二の舞いになりかねない。
「2県の地元住民からは〈人が集まってくるのは不安だ〉という声が上がっています。一方、チケット保有者も〈宮城にサッカーを見に行ってきたよ〉とは言いづらいでしょう。大会全体の規模からして、2県で実施される競技の観客数は決して多くはないから、有観客にしたところでチケット売り上げが大きくプラスになることもない。いっそ、一律で無観客にすべきです」(前出の大会関係者)

■運営スタッフらがさらに上乗せされる
 それでも客を入れるのは、「コロナに打ち勝った証し」にしたい菅首相はじめ、主催者たちの“ご意向”が働いているからだ。東京五輪関連の著書がある作家の本間龍氏はこう言う。
「観客を1万人以下に絞っても、会場の運営スタッフは必要ですから、さらに人流が増加する。感染再拡大の原因になるのは必至です。わずかでも観客を入れるのは、政府のみならず、IOCや大会組織委など主催者の下心があるから。『コロナの厳しい状況下でも一部で成功を収めた』と、今後のアピール材料にしたいからでしょう」
 東京と長野の男女4人がきのう、東京地裁に開催差し止めを求める仮処分を申し立てた。「無観客の場合でも、大会は外部との接点なしに運営できず、感染拡大を回避できない」のが理由で、世論の大半もそう考えている。
 コロナに負けたくないのなら、菅首相は「全会場で無観客」を政治決断すべきじゃないか。