2021年7月8日木曜日

08- 変異株「ラムダ株」が南米で猛威 「最凶」といわれるその感染力とは?

 NEWSポストセブンに、南米ペルーで感染が拡大している新型コロナ変異株「ラムダ株」に関する記事が載りましたので紹介します。

 菅首相が現行のワクチンを万能視し、基本的な検査と隔離を疎かにしているのはやはり大間違いです。
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変異株「ラムダ株」が南米で猛威 「最凶」といわれるその感染力とは?
                       NEWSポストセブン 2021/07/07
 南米・ペルーでは、2020年8月をピークに減少していた新型コロナウイルスの感染が今春に再拡大。感染者数は200万人を超え、人口10万人あたりの死者数は世界最多の500人以上に達している。公共機関では、二重マスクとフェイスシールドの着用が義務化された一方、首都リマでは治療用の酸素ボンベの不足が深刻化している。
 その余波は隣国にも及んでいる。ボリビア・コチャバンバ在住のボリビア人女性看護師が本誌・女性セブンの取材に語る。
「人口約180万人のコチャバンバでは、1日平均850人の患者が発生しています。医療用酸素の消費量が通常時の4倍に達し、病院では入院できる患者数の半分しか受け入れられない状況になり、ガスの補充に病院を訪れたボンベメーカーの職員が群衆に取り囲まれる事件が起きました。
 人工呼吸器の数が足りず医師らが手動で人工呼吸を行い、自宅療養の感染者を家族から隔離するため、路上の車中やテントで寝泊まりする感染者も少なくない。感染防止で遺体の火葬が義務化され、市内に2つしかない火葬場は患者が死んでから4日待ちになるほど混雑しています」
 その原因とされるのが、ペルーを起源とする変異株「ラムダ株」の猛威だ。ペルーのカエタノ・エレディア大学の分子生物学博士であるパブロ・ツカヤマさんが指摘する。
昨年12月に確認されたラムダ株はペルーの全症例の1%未満でしたが、急速に拡大して今年5月には80%を超えました。現在の感染者は概ね1日2500人ですが、ピーク時には1日約1万人を記録したほどです。ペルーは専門家が少ないため詳細な分析が難しいですが、昨年半ばの第1波に比べて、ラムダ株は2倍のスピードで重症化が進むという報告があります」

 南米を恐怖に陥れたラムダ株とはいかなるものか。
 血液内科医の中村幸嗣さんは「ひとつの大きな特徴はラムダ株はデルタ(インド)株と同程度の感染力を持つといわれ、感染者の体内のウイルス量が多いこと」だと指摘する。
「日本のコロナ専門病院からの報告ではデルタ株に感染した有症者にPCR検査をすると、ウイルス量を測るCt値(※)はいままでになかった一ケタ台のことがあるといいます。従来株などであれば通常、Ct値は大体10以上で検出されています。Ct値はウイルス量と逆相関し、1下がるごとにウイルスが倍に増えます。例えば従来株がCt値12で検出、ラムダ株がCt値8で検出されたとすると、ラムダ株も従来株のおよそ16倍のウイルス量ということになります」
【※Ct値/PCR検査の際の「ウイルスの増幅回数」のこと。ウイルスはごく少ない量なので増幅させないと検出できない。Ct値が1つ下がると、検体中のウイルスは2倍、4倍、8倍と乗数的に増幅する。つまり、検出時のCt値が少ないほどウイルス量が多いといえる】
 ウイルスが排出される量が増えると感染力も高まる。
「ラムダ株はこれまでのウイルスの10倍以上の排出であることが多いと考えられます。理論的には、これまで15分対面でしゃべると感染していた場合、ラムダ株なら1分30秒で感染する可能性となります。少なくとも従来株より感染力が数倍強いと考えていい」(中村さん)
 切り札とされるワクチンも、ラムダ株には効かない可能性がある。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんの指摘。
「ラムダ株のウイルスには、スパイクたんぱく質(ヒト細胞表面にある受容体と結合する物質)に『F490S』という変異があります。その変異が起こると体内にある抗体は侵入してきたウイルスを認識できず、攻撃しない可能性がある。つまりワクチンが効きにくくなるということです」
 実際、世界保健機関(WHO)はラムダ株について、「感染力が高く、抗体に対する抵抗力がある可能性がある」と指摘した。
「現時点でラムダ株は感染力が強く、ワクチンが効きにくいと報告されます。攻撃力も防御力も強い『最凶の変異株』と言えます」(一石さん)
 ラムダ株が今後、日本に上陸する可能性も指摘されている。7月8日発売の『女性セブン』では、東京五輪が行われる7月下旬から8月にかけてラムダ株が増える危険性について、専門家への取材を元に詳報している。