2021年7月14日水曜日

今だからこそ五輪中止を表明次つぐ 「世界看護師連盟」ほか

 世界34カ国の看護師らの組織が加盟する世界看護師連盟は、東京五輪・パラリンピックの中止・延期を求める書簡を、IOCのバッハ会長と菅首相に送付しました。

 書簡は、多くの国でワクチン接種率が低いことなどをあげて「公衆衛生に対する五輪開催のリスクはあまりにも大きい」とし、「大会参加者と帰国後の各国と日本の何百万人もの住民にリスクをもたらす」「世界的大流行の時期に五輪を開催することは、『平和でより良い世界の構築に貢献する』という五輪の目標に反する」と強調しています。
 それとは別に、フラワーデモ主催者の松尾亜紀子さん看護師で随筆家の宮子あずささん国際婦人年連絡会CEOの前田佳子さんなど各分野の女性が12日、外国特派員協会で記者会見を開き五輪が行われようとする中で、日本の女性の権利が侵害されており、人命も危機にさらされていると訴えました。
 またジャーナリスト春奈幹男さんはしんぶん赤旗のインタビューで、東京五輪は政権の思惑国民を犠牲にするものと語りました。
 しんぶん赤旗の三つの記事を紹介します。

 併せて植草一秀氏のブログ「コロナ完敗の証として東京五輪を中止」を紹介します。
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今だからこそ五輪中止を 表明次つぎ
看護師 世界21カ国の組織代表 IOCと菅首相に書簡
                      しんぶん赤旗 2021年7月13日
「各国住民に深刻な脅威」
 世界34カ国の看護師らの組織が加盟する「グローバル・ナーシズ・ユナイテッド」(世界看護師連盟)は、東京五輪・パラリンピックの中止・延期を求める書簡(9日付)を、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と日本の菅首相に送付しました。デルタ株など新たな脅威が広がる一方で、日本を含めて多くの国でワクチン接種率が低いことなどをあげて「公衆衛生に対する五輪開催のリスクはあまりにも大きい」としています。
 書簡は、日本医療労働組合連合会の森田しのぶ委員長をはじめアメリカ、カナダ、ブラジル、インド、韓国、イタリア、ギリシャなど21カ国の看護師・医療従事者組織の代表が連名で署名しています。
 日本医労連や東京都医師会が「医療崩壊」に近い深刻な影響を受けると指摘していることも紹介し、「世界的な感染症拡大が公衆衛生と安全に深刻な脅威をもたらし、大会参加者と帰国後の各国と日本の何百万人もの住民にリスクをもたらす」と指摘。「世界的大流行の時期に五輪を開催することは、『平和でより良い世界の構築に貢献する』という五輪の目標に反する」と強調しています。


今だからこそ五輪中止を 表明次つぎ
女性 人権も人命も危機に 外国特派員協会で会見
                        しんぶん赤旗 2021年7月13日
 女性の権利を求めるフラワーデモの主催者の松尾亜紀子さんや看護師で随筆家の宮子あずささんら各分野の女性が12日、東京五輪、パラリンピック中止を求め、外国特派員協会で記者会見を開きました。五輪が行われようとする中で、日本の女性の権利が侵害されており、人命も危機にさらされていると訴えました。
 松尾さんは、日本では、医療従事者の多くが女性だとした上で、コロナ対応に必要な医療従事者が五輪に動員され人員不足が深刻化し、より過酷な労働環境に追い込まれていると説明しました。
 日本女医会理事の青木正美さんは「無観客にしようが、選手や関係者が大量に集まることは絶対にしてはならない」と述べ、五輪を実施すれば東京が感染源になると警告しました。
 国際婦人年連絡会CEOの前田佳子さんは、病院に収容できず、PCR検査すら受けられない在宅患者が増えており、五輪開催で事態が深刻化すると報告しました。
 宮子さんは、看護師は自ら感染を出さぬように、友人や家族とすら接触を避けており、気分転換もできずに追い詰められていると語りました。
 教育関係者は、「子どもたちは給食での会話すら許されず、さまざまな行事が中止になっているが、なぜ五輪が特別扱いか」と批判しました。


政権の思惑国民を犠牲
ジャーナリスト元共同通信特別編集員 春奈幹男さん
                       しんぶん赤旗 2021年7月13日
 そもそも、この東京五輪は贈収賄疑惑でJOC(日本オリンピック委員会)がフランス当局から捜査を受けるなど、招致段階から政治に汚されており、私は開催に疑問を持っていました。招致した安倍音三鮪首相には、一貫して五輪開催を政治的に利用する思惑があったことは明らかです。昨年3月、新型コロナウイルスの感染拡大で延期を決めた際、当時の森喜朝大会組織委員長は、2年延期も念頭にあったものの、安倍氏が1年延期を主張したと明かしています(「朝日」2020年4月1日付)。なぜ1年なのか。自らの総裁任期と重なっていたからです。その点では、いまの菅義偉首相も同じです。自らの総裁中、五輪開催で国民の人気を高め、与党に有利な流れをつくろうという狙いがすけてみえる。
 現状では、ワクチン接種が大きく遅れるなど、感染防止のための準備態勢が不十分なままであり、無観客であっても、このまま突入すれば危険きわまりい。それでも、政権の政治的な思惑で開催が強行され、その結果、感染拡大で国民とアスリートに犠牲を強いるそれでいいのか。問い続けていきます。  (聞き手 竹下岳)


コロナ完敗の証として東京五輪を中止
                植草一秀の『知られざる真実』 2021年7月11日
五輪の開催強行は感染拡大推進策。
緊急事態宣言は感染抑制を目的とする。
ブレーキとアクセルを同時にふかすドリフト暴走だ。
菅義偉氏は東京五輪開催強行の強気策を採用してきた。
東京五輪に照準を合わせるなら、感染抑制を基軸に据えることが必要。
昨年3月24日の東京五輪延期決定から1年4ヵ月の時間があった。
この期間、感染収束に全力を注いできたならまったく様相は異なっただろう。しかし、そうではなかった。
Go Toトラブル事業の推進、水際対策の妨害、早すぎる緊急事態宣言解除を続けてきた。
結果として感染再拡大、感染ピークで東京五輪の日程を迎えることになる。順当な結果。
「天網恢恢疎にして失わず」だ。「人類がコロナに打ち勝った証しとして東京五輪を完全なかたちで開催する」との宣言は敗れ去った。
完全なるコロナ敗戦。「コロナに打ち破れた証しとして東京五輪を中止する」のが妥当。

6月21日に緊急事態宣言を無理やり解除した。東京五輪有観客開催に突き進むためだった。
すでに人流は再拡大し、新規陽性者数も再拡大に転じる局面だった。
せめて7月11日まで緊急事態宣言を実施していれば状況は多少なりとも違っただろう。
菅義偉氏が強気の賭けに出た勝負はすべて完敗している。
昨年7月22日のGo Toトラベル始動。11月21日からの三連休前にGo Toトラベルを停止させず12月28日まで推進。
12月の英国変異株確認に際して水際対策強化を年明け1月13日まで妨害。
3月のインド変異株確認に際して水際対策強化を5月1日まで妨害。
3月21日、6月21日の緊急事態宣言の時期尚早解除強行。
6月21日緊急事態宣言解除後に五輪有観客開催を強行決定。
これらのすべてのギャンブルに全敗している。菅義偉氏の勝負弱さは事実によって立証済み。

緊急事態宣言発出に伴い東京都の飲食店は酒類提供禁止を要請される。
しかし、酒類提供要請、時短要請を拒否している飲食店がある。
大半の飲食店が要請を受け入れているから、要請を受け入れない深夜営業、酒類提供飲食店は大繁盛。
こうした飲食店に対する規制強化策に強い反発が出た。資金の貸し手という強い立場を用いて圧力をかける手法に批判が集中した。
規制強化は白紙に戻された。このことによって酒類提供事業者が激増することが予想される。
営業自粛が行われているときに酒類提供、深夜営業を強行すれば売り上げは激増する。
しかし、その事業者が擁護されるなら、多くの自粛事業者が雪崩を打って酒類提供を始めるだろう。深夜営業も一斉に再開されることになる。
大混沌が発生する。もちろん、感染抑制は実現しない。

五輪開催強行は南アメリカからのラムダ株を間違いなく流入させるだろう。
デルタ株L452Rに加えてラムダ株F490Sが国内に流入する。両変異株の特徴はワクチン有効性が低いこと。
失敗の本質は緊急事態宣言を発出して五輪開催を強行することにある。
五輪開催を強行して営業自粛を要請しても正当性がない。
菅コロナ大失政がいよいよ終末を迎えることになる。
            (以下は有料ブログのため非公開)