2020年8月3日月曜日

03- コロナ対策強化の指標を示さなかったのは官邸が抵抗したため それだけでいいのか

 政府の新型コロナ感染症対策分科会は31日、感染状況を4段階に分類し、次の段階に進む「予兆」が見えた時点で対策レベルを引き上げるべきだとする見解をまとめたましたが、肝心の予兆を見極めるための客観的指標は示しませんでした。
 それは政府側が、45月の宣言発令が日本経済に与えた打撃は大きかったため、今後は「絶対に出せない」との立場からそうしたのであり、数値を出してしまうと逃げがきかなくなるからだとする記事が出ました。
 再びあの「休業・自粛」を繰り返したくないというのは、政府というよりはむしろ国民の側の必死な願いです。
 政府は宣言発令を避けることにだけ熱心になるのではなく、むしろ指標を適正に決めてそこに至らないための施策を必死に打つべきです。
 時事通信の記事を紹介します。
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対策強化の指標示せず 経済考慮し官邸が抵抗―新型コロナ分科会
時事通信 2020年8月1日
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は31日、感染状況を4段階に分類し、次の段階に進む「予兆」が見えた時点で対策レベルを引き上げるべきだとする見解をまとめたが、予兆を見極めるための客観的指標は示せなかった。コロナ対策が経済の足を引っ張ることを懸念する首相官邸が抵抗し、事前の調整がつかなかったためだ

4段階で対策
 分科会が31日の会合後に公表した文書は、指標について「医療提供体制への負荷を重視する必要」を指摘したが、具体的には「今後検討」と記すにとどめた。「1カ月も2カ月もかける余裕はない。次の会で結論を得たい」。尾身茂会長は指標を明確にできなかったことへの焦りをにじませた。
 関係者によると、尾身氏ら専門家は会合前から、指標を数値の形で明示すべきだと主張。これに対し、官邸は数値化に反対した。感染拡大の勢いが止まらない中、具体的な数値を示せば政治判断の余地がなくなり、経済への深刻な影響を承知の上で緊急事態宣言を再び出さざるを得なくなる展開も想定されるためだ。

 4~5月の宣言発令が日本経済に与えた打撃は大きく、30日の経済財政諮問会議で委員から「再発令すれば日本は持たない」との声が上がったほど。もともと再発令に消極的だった官邸は今や「絶対に出せない」(政府関係者)との立場だ。
 尾身氏は来週中にも分科会を再度開き、指標を取りまとめたい考え。しかし、官邸は5月の宣言解除前にも、解除の基準を策定するに当たり「総合的に判断する」との文言を入れ込んで骨抜きにした経緯があり、明確な数値を示せるかどうかは不透明だ。
 政府が急速な感染拡大への対応にもたつく中、東京都が独自の緊急事態宣言を検討するなど、自治体は危機感を強めている。鳥取県知事の経験がある片山善博元総務相は31日のTBSの番組で「国は都道府県に対策を丸投げしている。無責任だ」と厳しく批判した。


感染状況、4段階で対策 状況に応じ営業自粛要請―新型コロナ分科会
時事通信 2020年7月31日
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会(会長・尾身茂地域医療機能推進機構理事長)は31日、新型コロナの感染状況を四つの段階に分けた上で、感染防止策として飲食店への休業要請や、緊急事態宣言を検討するよう政府に求めることで一致した。4段階の区分けにより地方自治体の取るべき対策を明確にすることが狙い。自治体が現状を評価するための指標に関しては、数値を含めて検討を続ける。
 安倍晋三首相は同日、首相官邸で記者団に対し、「地方自治体としっかり連携を取り、必要な対応を講じる」と述べ、分科会の提案を踏まえて対処する意向を強調した。

 分科会では感染状況を、
(1)感染ゼロ散発段階
(2)感染漸増段階
(3)感染急増段階
(4)感染爆発段階
に分類。「爆発段階」は死者が急増する事態を想定した。尾身会長は記者会見で、東京都や大阪府の現状について「『感染漸増段階』に当たる」との見解を示した。
 分科会は感染段階を判断する指標として、
▽重症者向け病床の稼働率や60歳以上の感染者数を踏まえた医療提供体制の状況
▽PCR検査の陽性率
▽新規感染者数や感染経路不明の割合
などの項目を列挙。各指標の具体的な数値については、引き続き詰める。
 その上で指標に基づき、「急増段階」に進む予兆があると判断すれば、都道府県知事から飲食店への休業要請や人数制限、外出自粛や、感染拡大地域への移動自粛などを要請。メリハリを付けた感染対策を取ることを提案した。
 感染悪化に歯止めがかからず、「爆発段階」への予兆が見られれば、接触機会を全面的に低減する必要性を指摘。対策として、緊急事態宣言の再発令や県境をまたいだ移動の全面自粛、生活必需品を取り扱う事業者以外の全面休業要請などを挙げた。