19日から官邸に出た安倍首相は、19~21日の3日間は、午後1時過ぎに私邸を出て官邸に(片道約20分)行き、午後6時前に官邸を出て帰宅(片道20~30分)する毎日でした。22日(土)は終日私宅で過ごしました(来客なし)。
途中で官邸から出ることはなく、3日間、連日会った人物は官邸ポリスと呼ばれている北村滋(国家安全保障局長)氏、樽見英樹(新型コロナ感染症対策推進室長)氏と和泉洋人氏でした。
公務は最低限で、火・金曜日が定例の閣議も開かれず、体調不良は誰の目にも明らかです。
すでに焦点は「次の局面」に移り、報道各社は首相の突然の入院や辞意表明に備えて、24時間態勢の“Xデー”シフトを組み始めています。
療養期間中の「臨時代理」についても公然と語られるようになったそうですが、過去臨時代理を置いた大平元首相と小淵元首相の例ではいずれも途中で亡くなったため、“不吉だ”ということで置かない可能性が強いようです。
それに臨時代理を立てた瞬間に政権はレームダック化し、長くは持たないので、安倍首相としてはなんとかゴマカしながら政権延命を図るのではと見られています。
しかし5月25日に緊急事態宣言を終了させて以降、コロナに対しては全く無為無策で来たつけが回っているいま、そんなことで済まされない状況であるのは明白です。
もしも首相の座に居続けるのであれば、適切に実務がこなせる人間を臨時代理に立てるのが筋です。
日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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安倍首相の体調不良で「不吉な臨時代理」の可否が焦点に
日刊ゲンダイ 2020/08/22
健康不安が囁かれる安倍首相は8月21日も午後出勤で、午後6時前には官邸を後にした。公務は最低限で、ごく限られた取り巻きと会うだけだ。毎週火・金曜日の閣議も8月11日以降は開かれず、21日も行われなかった。体調不良は誰の目にも明らかで、すでに焦点は「次の局面」に移っている。
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「総理の体調はかなり悪そうに見える。突然の入院や辞意表明に備えて、報道各社は24時間態勢の“Xデー”シフトを組み始めています」(官邸担当記者)
与党内からも「しばらく休んで治療に当たるべきだ」などと、休養を求める声が相次ぐ。療養期間中の「臨時代理」についても公然と語られるようになった。
20日、自民党の森山国対委員長は記者団に対し、首相臨時代理を置く必要性について「総理が判断すること。私の立場で申し上げることはない」と話した。平時なら、こんな際どいテーマが話題に上ることはあり得ない。フェーズが変わったのは明らかだ。
臨時代理は、内閣法第9条で「首相に事故のあるとき、または欠けたときは、あらかじめ指定する国務大臣が臨時に首相の職務を行う」と規定されている。
組閣時に就任予定者5人があらかじめ指定され、首相が病気や海外出張などで不在になった際に職務を代行。現内閣で臨時代理に就く順番は、1位が麻生副総理兼財務相で、2位以下は菅官房長官、茂木外相、高市総務相、河野防衛相の順だ。
第1次政権でも臨時代理は置かず
だが、臨時代理を置くことに自民党内では慎重論が根強いという。
「1980年に大平総理が過労で倒れた時は伊東正義官房長官が、2000年に小渕総理が脳梗塞で入院した際には青木幹雄官房長官が臨時代理を務めたが、いずれも総理が亡くなり、直後に内閣総辞職にいたった。“不吉だ”ということで、第1次安倍内閣の末期は、総理が退陣表明してから総辞職まで約2週間の入院期間中も臨時代理を置かなかった。当時の就任予定者1位は与謝野馨官房長官でした」(自民党ベテラン議員)
安倍首相は今年4月の会見で、自らが新型コロナウイルスに感染した場合の対応について聞かれると、「意識がなければ、麻生副総理が臨時代理ということになる」と答えていた。20年周期の不吉なジンクスを乗り越え、盟友の麻生に代理を託して、入院治療に入る可能性はあるのか。
「臨時代理を立てた瞬間に政権はレームダック化し、長くは持たない。安倍首相としては、このままなんとかゴマカし続けて政権延命を図りたいのが本音でしょう。しかし、今はコロナ禍と経済悪化の非常時です。体調不良による政治空白は許されません。すぐさま国会を開き、山積する課題に対応する必要がある。首相の病気が理由で政治が停滞しているなら、国民生活のために潔く退陣すべきです」(政治評論家・本澤二郎氏)
臨時代理か、総辞職か。いずれにしても、政権の終わりは近づいている。