英国医師会発行の医学雑誌『BMJ』は社説で、日本の7月から8月にかけてのコロナ感染再拡大に注目し、いまのままでは医療機関が危機に瀕し多数の犠牲者を生むと警告しました。
感染の再拡大は政府の初期の危機対応の失敗によるもので、現有の病院と隔離施設のキャパシティでは感染再拡大に対処するには不十分だと述べ、『中央の調整された指揮のもと』で、検査能力を拡大し、無症状者に対する広範な検査を実施すること、そして効果的な接触者追跡を行い、検疫、医療関係者と患者を保護する十分な資材を供給するなどしない限り、日本の医療は打ちのめされるとしました。
「何の実効性もない虚名の「クラスター対策」は止め、最先端の科学を展開しないとダメだ(要旨)」とも述べました。
要するに基本的な対策において、何もかもが不十分という指摘です。
社説が敢えて「中央の調整された指揮のもとで」と述べているのは、地方自治体では部分的に行われているがそれでは自ずから不十分で、国家として取り組まないといけないという意味で、極めて当然の指摘です。
「日本モデル」などという虚名の下に安住し、無為無策のママでいた政府は大いに愧じるべきです。
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「検査・医療強化なければ日本は多数の犠牲者生む」
英医学誌が日本政府に警告
しんぶん赤旗 2020年8月23日
英国医師会発行の医学雑誌『BMJ』は社説(18日付)で、日本政府の新型コロナウイルス対応の問題点を分析し、対策の変更がない場合、医療機関が危機にひんし、多数の犠牲者を生むと警告しています。
社説は、7月から8月にかけての感染再拡大に注目。「政府の初期の危機対処の失敗がパンデミックの全体的な影響を悪化させた」と述べ、とくに実験室検査を拡大する努力が不十分だったと指摘しました。このため、医師から多くのPCR検査依頼があっても保健所が断らざるをえず、市中感染や院内感染が増加したと紹介しています。
また、感染が急増した7月下旬に国内旅行キャンペーンを開始する一方で、公衆衛生上の問題に取り組むことを怠ったと指摘。PCR検査数は現在1日あたり4万件以下に限られ、「病院と隔離施設の容量は感染再拡大に対処するには不十分だ」と述べています。
社説は最後に、中央の調整された指揮のもとで、検査能力拡大、無症状者に対する広範な検査の実施、効果的な接触者追跡、検疫、医療関係者と患者を保護する資材の供給など一連の施策を提起。そのうえで「日本政府がクラスターに基づく対策から前述の原則に基づく対応に移行し…最先端の科学を展開しない限り、日本の医療は再び打ちのめされ、より多くの命が今後数カ月で不必要に失われるだろう」と厳しい見方を示しました。