2020年8月25日火曜日

PCR検査拡充 各自治体は独自に取り組み 厚労省は自治体任せを改める時

 共産党や日本医師会の有識者会議や超党派の「医師国会議員の会」が、政府に対し感染震源地などでのPCR検査の抜本的な拡充をそれぞれ提言・要請してきたことを受けて、厚労省は18日、ようやく「事務連絡」の改定版を公表し「Q&A」で感染者が多数発生していると考えられる地域では、「医療施設、高齢者施設等」に勤務する人や入院・入所者に「幅広く行政検査を実施していただくことは可能」としました。
 従来より前進したとはいえ、「することが可能」というのでは自治体の判断、施設の判断に任せるいう姿勢であり、必要にして十分な検査が行われることにはなりません。
 共産党の志位委員長は20日の記者会見で、政府の姿勢が自治体任せになっていることは大きな問題だと指摘し「これでは事態が打開できない」と強調しました。

 いま、地方自治体では、PCR検査をめぐり積極的な動きが広がっています。
 東京都千代田区では、区内の介護施設の全職員にPCR検査を行うとしています。
 那覇市では、市内有数の歓楽街・松山地域で8月1、2日の2日間で2064人を検査し、88人の感染者を発見しました。
 石川県では、医療機関など「重症化のリスクの高い集団」で感染が確認された場合、「濃厚」ではない接触者まで検査を広げるとしています。
 栃木県那須塩原市では、市内の温泉旅館従事者に対し、8月下旬からPCR検査を実施します。

 また東京都世田谷区では、「いつでも、どこでも、何度でも受けられる『世田谷モデル』を目指す」とし、「プール方式」を導入し、検査能力を1日3000件に向上させる予定で、当面、区内すべての介護施設職員や保育士ら計約2万人を対象に、発熱など症状の有無にかかわらず、新型コロナウイルスのPCR検査を一斉に行う方針を固めまし
 こうした地方自治体が主導する取り組みを見て政府は一刻も早く姿勢を改めべきです。

 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
 併せて読売新聞の記事を紹介します。
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PCR拡充 厚労省方針 党申し入れ 前向きの動き後押し “自治体任せ”改める時
しんぶん赤旗 2020年8月24日
 厚生労働省がこの間、相次いで新型コロナウイルス感染症対策としてのPCR検査など行政検査の対象を拡大する方針を地方自治体に示しました。しかし、いずれも自治体、現場任せの姿勢は変わりません。他方、自治体にはPCR検査拡充の流れが広がりつつあります。こうした流れをいっそう強め、地方から“自治体任せ”の政府の姿勢を改めさせる時です。

地域から拡充具体化の動き
 日本共産党は7月28日、安倍晋三首相に対して新型コロナ対策に関して「緊急申し入れ」を行いました。この中で、PCR検査の拡充について、(1)感染震源地(エピセンター)を明確にし、その地域の住民、事業所の在勤者全体を対象に網羅的に、「面」での検査を行う (2)医療機関、介護・福祉施設、保育園・幼稚園、学校など集団感染によるリスクが高い施設に勤務する職員等への定期的な検査を行うこと ―などを要請しました。
 日本共産党の「緊急申し入れ」の後、日本医師会の有識者会議や超党派の「医師国会議員の会」が、政府に対し感染震源地でのPCR検査の抜本的な拡充をそれぞれ提言・要請しています。

 厚生労働省は、こうした動きを無視できず、新たな方針を相次いで示しています。
 厚労省は7日の「事務連絡」で、「現に感染が発生した店舗等に限らず、地域の関係者を幅広く検査することが可能」との見解を示しました。それまで「点」でとらえていた検査対象を「面」でとらえる方向を打ち出しました。
 さらに18日に改定版を公表した「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査に関するQ&A」では、感染者が多数発生していると考えられる地域では、「医療施設、高齢者施設等」に勤務する人や入院・入所者に「幅広く行政検査を実施していただくことは可能」としました。感染リスクの高い施設での定期的検査につながる方向です。
 ところが、いずれの方針も、「することが可能」というだけで、あくまでも自治体の判断、施設の判断とする姿勢は変わっていません

 日本共産党の志位和夫委員長は20日の記者会見で、政府の姿勢が自治体任せになっていることは大きな問題だと指摘し、「政府が自ら主導して検査の抜本的拡大で感染拡大を抑止するという姿勢が見えてこない。これでは事態が打開できない」と強調しました。
 いま、地方自治体では、PCR検査をめぐり積極的な動きが広がっています。

 東京都千代田区では、区内の介護施設の全職員にPCR検査を行うとしています。那覇市では、市内有数の歓楽街・松山地域で大規模なPCR検査を実施。市や県医師会などが協力し、8月1、2日の2日間で2064人を検査し、88人の感染者を発見するなど無症状感染をあぶりだしました。
 報道によれば、石川県では、医療機関など「重症化のリスクの高い集団」で感染が確認された場合、「濃厚」ではない接触者まで検査を広げるとしています。栃木県那須塩原市では、市内の温泉旅館従事者に対し、8月下旬からPCR検査を実施するとしています。

 PCR検査の抜本的拡充を求める市民や関係団体の運動、地方自治体が主導する取り組みの流れが、政府の姿勢を変えさせる力になります。


世田谷区の保育士ら2万人、一斉PCR検査へ…症状の有無問わず
読売新聞 2020/08/24
 東京都世田谷区は、区内すべての介護施設職員や保育士ら計約2万人を対象に、発熱など症状の有無にかかわらず、新型コロナウイルスのPCR検査を一斉に行う方針を固めた。総額約4億円の費用は公費負担とする。厚生労働省によると、自治体による無症状者への大規模検査は異例。

 区幹部らによると、検査対象は、区内で勤務する介護職員や保育園・幼稚園の職員、特別養護老人ホームの新規入所者。9月開会の区議会定例会で関連事業費を盛り込んだ補正予算案が可決されれば、区は施設ごとに希望者を募り、検査を開始する。検査完了には約2か月かかるとみている。
 区内では、区医師会と世田谷保健所が1日最大300件を検査している。ただ、対象は発熱などの症状があり、医師や保健所が必要と判断した人や、感染者の濃厚接触者に限られている。
 区内の累計感染者数は1565人(22日時点)に上り、幼稚園や福祉施設20か所以上で感染者が出ている。区は、無症状者が自覚のないまま感染を広げている可能性があるとして、一斉検査が必要と判断した。

 保坂展人区長は7月下旬、「いつでも、どこでも、何度でも受けられる『世田谷モデル』を目指す」と表明。複数人の検体を混ぜてまとめて検査し、陰性の場合は全員を陰性と判断する「プール方式」を導入し、検査能力を1日3000件に向上させる考えを示している。