安倍首相は28日に会見を行うようです。26日付の産経新聞の報道によると、首相はその際に介護職員らの検査体制の強化や検査機器の整備拡充を盛り込んだ新型コロナ感染拡大防止のための「対策パッケージ」を明らかにし、その狙いについて説明するということです。
介護職員や医療スタッフなどのいわゆる「エッセンシャルワーカー」に優先的にPCR等の検査を行うことはもはや世界の常識なので、そんなことを口にしても自慢にはなりません。
PCR自動分析機器についても、千葉県松戸市の精密機器メーカー「PSS(プレシジョン・システム・サイエンス)社」の製品は既に世界中を席巻する勢いで普及しているのに、日本の厚労省がそれを認可したは6月になってからでした(国内で販売できるようになったのは8月に入ってから)。
どんな国内事情によるものかは分かりませんが、感染研などを擁する厚労省が如何に旧弊なものであるかを表して余りがあります。
因みにその価格は、96検体を同時に分析できるもの(所要時間は2時間余り)が約2000万円(8検体用は800万円)なので、あの無用なアベノマスクに投じた費用466億円があれば2000台(~6000台)が購入できたのでした。
もしもそんなことを自慢たらしく述べ立てるのなら噴飯物というしかありません。
それとは別に、新型コロナを現在の感染症法の二類から三類に下げるのではないかという噂があります。
現状の特措法ではコロナ感染者は、軽症者であれ無症状者であれ入院が義務付けられているため、本当に入院治療を要する中等症以上のコロナ患者の収容が困難になるという不都合がありました。
それは早急に改善すべきであったのですが、二類から三類に下げるというのはまったく別の話です。もしも三類になれば「入院要請」が出来なくなり、治療費の公的負担もなくなります。
従って二類から三類に下げるという対応は間違いで、「入院勧告」と「治療費の公的負担」を維持したままで、軽症者や無症状者はホテルなどの比較的簡易な隔離施設に隔離することを可能にすればいいのです。
不評極まる厚労省・分科会はこの期に及んで一体何を考えているのでしょうか。呆れるほかはありません。
産経新聞の記事を紹介します。
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新型コロナ「2類相当」見直しへ 首相、28日にも対策パッケージ表明 入院、重症者に特化
産経新聞 2020.8.26
政府が今秋以降のインフルエンザの流行に備え、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた新たな対策パッケージを策定することが25日、分かった。介護施設の検査強化に乗り出すほか、医療提供体制についても、感染者のうち無症状や軽症者は宿泊施設か自宅療養とする方向で見直すことも検討する。今後、インフルによる発熱患者の増加が予想される中、新型コロナで重症化リスクが高い高齢者などに医療資源を集中させる狙いがある。
早ければ今月末にも新型コロナ感染症対策本部会合で決定する。安倍晋三首相が記者会見を開き、パッケージの狙いについて説明することも検討している。
対策パッケージには、病院や保健所など医療従事者だけでなく、介護事業者など高齢者施設の職員に対するPCR検査体制の強化や検査機器の整備拡充などが盛り込まれる見通し。
新型コロナの感染拡大に関する最新の知見では、陽性反応が出た患者のうち、高齢者や基礎疾患がある人は重症化しやすい一方、40代以下は無症状か軽症の人が多い。ただ、新型コロナは感染症法上の指定感染症に指定され、患者に入院勧告する「2類相当」に位置づけられている。このため医療機関では陽性反応が出た患者は症状が軽くても入院措置となるケースが多い。
現在は新型コロナ患者向けの病床数は確保できている。だが、インフルの流行期に発熱などを訴える患者が医療機関に殺到すれば、新型コロナの患者の受け入れ可能な病床数が不足したり、新型コロナの集団感染が発生するリスクが高まり、医療現場が混乱するおそれがある。指定感染症の運用のあり方を見直し、高齢者など重症化する可能性が高い患者への治療体制を手厚くしたい考えだ。
軽症の病床減らし負担軽減 「2類相当」見直し
産経新聞 2020.8.26
政府が新型コロナウイルスを「指定感染症」に指定する政令を施行したのは2月1日だった。感染症法は感染症を危険度の高い順で1~5類に分けており、最も危険度が高い1類にはエボラ出血熱やペストが指定されている。新型コロナは実態が分からないため「2類相当」の措置を取ることができると定めた。
2類感染症は医療費が公費で負担される。職場や通勤経路での感染を防ぐため就業を制限できるほか、患者に入院を勧告することも可能だ。入院先は機器などが整備された感染症指定医療機関が原則だが、新型コロナでは軽症者の一部に自宅やホテルでの療養も認めている。1類のように、ロックダウン(都市封鎖)に近い交通制限は認められていない。
政府の新型コロナ感染症対策分科会が24日の会合で2類相当の扱いを再検討することで合意した。6月以降は若者の感染者が多く、無症状や軽症の割合が高くなったからだ。この傾向のまま感染者が増え続ければ軽症者が病床を埋め、重症者や新型コロナ以外の疾患で入院を必要とする患者の病床が確保できなくなる恐れがある点も考慮された。
加藤勝信厚生労働相は25日の記者会見で、新型コロナを2類相当とした影響について「さまざまな医療機関や保健所における負担につながっているという指摘をいただいている」と述べた。一方、専門家の間では新型コロナを危険度が低い感染症に分類すれば、感染予防対策にゆるみが生じるとの懸念もある。