2020年8月29日土曜日

29- 娘2人が感染し車中泊「3日で限界」 自宅療養での隔離に父苦悩

 この2か月余り政府はコロナ対策を何一つ進めませんでした。その一方で「Go To」だけは進めましたが、感染拡大を十分に行わわないままに進めれば感染は拡大します。そうすると経済の拡大は中途半端なものにならざるを得ないので、その被害は結局国民に及ぶことになります。
 安倍首相はコロナ対策について政令の改正を口にしたようですが、その真意が軽症者や無症状者を隔離することなく自宅待機にして経費を節減することであれば、飛んでもないことです。
 琉球新報が、娘2人が感染したものの保健所から自宅待機を要請されたため、父親は自家用車内に3日間車中泊をしましたが、それが限度だったという記事を載せました。
 (保健所)は家庭内感染を防ぐポイントとして(1)部屋を分ける (2)感染者の世話は限られた人数で‥‥などの注意事項をまとめているようですが、通常の家庭でそれを実現するのは結局無理だということです。
 これは常識的に直ぐ分かる話で、東アジアでも先進国家が実施しているように、(ホテルを含む)隔離施設を国が準備することが不可欠です。そんな基本が達成できない中で経済を回そうとしても結局不十分な規模でしかできないので国民の苦悩はなくなりません。

 日刊ゲンダイの記事「安倍首相の持病悪化が招いた肝心コロナ対策の“機能不全”」を併せて紹介します。
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娘2人が感染し車中泊「3日で限界」 自宅療養での隔離に父苦悩
琉球新報 2020年8月28日 08:47
4歳と6歳の娘2人が感染し、自宅療養する男性の自宅。車中泊も限界で小さな子どもがいる家庭での自宅療養の難しさを語っている

 中部保健所管内で暮らす30代男性の家庭では、幼稚園に通う6歳と保育園に通う4歳の娘がそれぞれ新型コロナウイルスの陽性と確認された。男性と妻は濃厚接触者となり、8月末までの自宅待機となった。保健所は自宅療養の対応として寝室を別々にし、共用部分の消毒徹底を呼び掛けるが、男性は「小さい子どもがいる家庭は絶対できない」と頭を悩ませる。家庭内感染を避けるため、車中泊に追い込まれた。

 8月上旬、4歳の娘が発熱し、PCR検査で陽性が確認された。家族全員と実家の祖父母も濃厚接触者となり、PCR検査を受けると6歳の娘も陽性で、他は陰性だった。「宿泊施設は保留させてほしい」と保健所から回答があり、自宅療養を余儀なくされた。家庭内感染が起きかねない。不安が募った。
 当時、感染者用の宿泊療養施設は本島内に那覇市内にのみ確保されていた。さらに小さい子どもだけでは利用することもできない。妻は感染を覚悟し、自宅で娘2人に付き添うことを決めた。男性も感染しないよう車中泊をした。自宅アパートや実家の各駐車場で寝泊まりしたが、暑くて寝付けなかった。クーラーを付けるため、エンジンをかけたままでガソリン代もかさんだ。「3日が限界だった」と自宅に戻った。

 予想した通り「自宅内隔離」はままならなかった。予防のため離れようとしても、娘たちは男性にくっついてきたり、おもちゃを触ったりした。マスクを着けたがらない。濃厚接触者も隔離できる施設はないのか。男性はそんな思いを抱いた。

 県は家庭内感染を防ぐポイントとして (1)部屋を分ける (2)感染者の世話は限られた人数で ―などの注意事項をまとめている。これらについて、小さい子どもがいる場合、男性は「実行はほぼ不可能」と指摘した。今も自宅で子どもたちと過ごす男性は「無症状だけど感染している可能性はある。仮に自分か嫁のどちらかが症状が出た場合、同じことが続く。切りがない」。子育て世代に合わせた別の指針が必要ではないか。この自宅療養が続けば、日常がいつ戻るのか分からない。男性は歯がゆさを感じている。 (阪口彩子)


安倍首相の持病悪化が招いた肝心コロナ対策の“機能不全”
 日刊ゲンダイ 2020/08/28
 日増しに強まっている安倍首相の健康不安説。その払拭のためか、安倍首相は28日夕方、約70日ぶりに官邸で会見する。現在の体調や、延期もウワサされる秋の自民党役員人事・内閣改造などについて考えを示す。ようやく、説明の場に出てくるが、野党が再三要求する予算委員会出席は相変わらず拒否。安倍首相の持病悪化による“トップ不在”のせいで、肝心の新型コロナウイルス対策はフン詰まり状態だ。
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 野党が憲法第53条の規定に基づき、臨時国会の召集を求めてから約1カ月。安倍政権はまったく開く気ナシだ。
「予算案や法律案が今のところないので、国会を開催する状況ではない」(森山裕国対委員長)などと屁理屈をコネ回し、サボタージュを決め込んでいる。
 現状、週1回ペースで閉会中審査が開かれているとはいえ、目新しいコロナ対策は出てこない。安倍首相は今こそ、首相在職歴代最長の名に恥じぬよう“リーダーシップ”を発揮すべきなのに、満身創痍だ。野党が要求している来月2日の衆院予算委員会集中審議への出席をかたくなに拒否。トップ不在の続く政府は、安倍首相がアピールしてきた「決められる政治」とは真逆の状態。もはや機能不全と言っても過言ではない。

西村コロナ担当相「3兆円で対応できる」の愚
 そんな「決められない政治」の象徴が、27日の参院内閣委員会での一幕だ。全国知事会が増額を求めている「地方創生臨時交付金」について、西村コロナ担当大臣は「すでに3兆円を配布しているので、かなりの部分に対応できると思っている」とノラリクラリ。続けて、次のように言い放ったのだ。
「いずれにしても、感染状況あるいは今後の経済状況を見ながら、国の施策で手の届かないところは交付金を活用し、地域の実情に応じて支援していただくことを期待している」

 知事会は25日、47都道府県の交付金不足額が約5000億円に上るとの調査結果を発表済み。なのに、西村大臣はまるで他人事。知事会が増額を求めているのは、西村大臣の言う「地域の実情」に合わせ、中小企業支援や医療体制強化に動こうとしているにもかかわらずだ。交付金を出し渋るクセに「支援を期待」とは、いったいどの口が言うのか。

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう言う。
「地域によって感染状況も対策も異なる中で、『3兆円でよろしく』とは、それこそ地域の実情が分かっていない。地域住民の要望に沿った対策の打てる都道府県や市町村といった基礎自治体に、使途自由なお金と権限を渡すべきです。予備費10兆円を計上したのだから増額できるし、そもそも、地方創生を掲げているのだから、第1次、第2次予算に交付金として10兆円を計上してもよかったはず。あの東日本大震災の時、当時の民主党政権に『自治体に自由なカネを出せ』と詰め寄っていたのが何を隠そう、野党時代の自民党です」
 地方が悲鳴を上げているのに安倍首相は国会閉会後から雲隠れ。今月初旬に健康不安説が浮上してから国のコロナ対策はずーっと停滞し続けている。
 このコロナ禍に、中途半端な形で総理の座にしがみつかれても、国民はたまったものではない。