2020年8月3日月曜日

沖縄の人口10万人当たり感染者が全国1位に 首相はなぜ逃げ回るのか

 沖縄県は1日、新たに58人が新型コロナに感染し、累計453人となりました。
 第1波沈静時の5月25日時点の累計は142人だったので、その後の増加数は311人と第1波時の22倍に達しています。
 1週間の新規感染者数は人口10万人当たり153人(731日時点)で、東京や大阪などの都市部を抜いて全国ワースト(1位)になりました。
 病床利用率は100%を超え、入院調整中の感染者は1日正午現在で138人に達し、が確保した療養ホテル60 運用2日目で46室が埋まりました。軽症患者に対応する看護師確保出来ていません。
 新感染者が出始めたのは7月23日頃から(グラフ参照)で、沖縄県保健医療部の糸数保健衛生統括監は、政府の観光支援事業「Go Toトラベル」で多くの人の出入りが県内であった強調しました

 沖縄県民のコロナ感染への意識は高く、那覇市や県医師会などが同市松山で働く飲食店従業員らを対象として1日に無料のPCR検査を実施したところ、2日間で受診者を800人と見込んだのに対して、従業員の家族や関係者らも訪れ初日に1千人以上が殺到しました

 在日米軍基地内で、新型コロナ感染症が急拡大しているなか、在日米軍司令部はようやく721日からホームページで基地別の新型コロナ感染者数の公表を始めましたが、その頻度は週2回感染者数るだけです。
 感染者が米兵か軍属か家族なのかなどの属性や、感染経路、行動履歴などが分からないと沖縄県も濃厚接触者も把握できませんが、国にそうした対応を求めても、河野防衛相は既に担当する保健所の間で情報のやり取りが行われており、それ以上必要ない」などと強弁るのみです。
 琉球新報が伝えました。

 いずれにしても独自の対応にはおのずと限界があります。自治体飲食店の休業や営業短縮を求めるにしても、私権を制限する以上補償が不可欠ですが、ネックになるのが協力金の財源確保です。
 そもそも国と都道府県の権限・役割の分担もあいまいです。
 早急に臨時国会を開きPCR検査の抜本的拡充や新型コロナ特措法の見直しなど、喫緊の課題を話し合うべきです。
 それなのに国会の会期延長に応じず、閉会中審査にも出席せず、記者会見もやらず、ひたすら逃げ続ける安倍晋三首相の姿勢はあまりにも異様です。
 沖縄タイムスが社説で指摘しました。
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沖縄、人口10万人当たり感染者 全国ワースト 看護師の確保見通せず
琉球新報 2020年8月2日 08:08
 沖縄県は1日、県内で新たに58人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。感染者数は計453人となり、500人が目前に迫った。1週間の新規感染者数は人口10万人当たり1531人(7月31日時点)で、東京や大阪などの都市部を抜き、全国ワーストになった。新たなクラスター(感染者集団)は確認されていない。緊急事態宣言を受けた自粛初日、行楽地などの人通りはまばらだった。
 県内では7月27日から5日連続で最多の感染者数を更新。8月1日は減少に転じたが、最多だった前日の71人に次ぐ人数となった。
 県保健医療部の糸数公保健衛生統括監は、政府の観光支援事業「Go Toトラベル」で多くの人の出入りが県内であったと強調。「きょうは下がったが、これがピークを過ぎたことにつながるとは考えていない。なるべく人と接触する機会を減らしてほしい」と注意を呼び掛けた。
 入院調整中の感染者は1日正午現在で138人に上る。県は軽症者向けの療養ホテルを60室確保したが、運用2日目で46室が埋まっている。県は別の宿泊施設の確保を急いでいる。
 一方で、宿泊施設が整っても、軽症患者に対応する看護師の確保が見通せていないとし、糸数統括監は「免許を持つ人などはぜひ県に一報いただきたい」と協力を呼び掛けた。

 1日の米軍関係者の感染者は8人。7月31日の検査総数は707人で、陽性率は約1%だった。累計は256人。米軍関係者の感染について県は「新たな発生は少し抑えられている」との見解を示した。

県内の感染者数の推移
      県内の感染者数の推移

PCR検査に1000人超 那覇で松山店員対象、混乱も
琉球新報 2020年8月2日 05:00
 那覇市松山などキャバクラ店や飲食店が集中する地区で新型コロナウイルスの新規感染が相次いでいるのを受け、同市や県医師会などが1日、同市若狭の那覇港大型旅客船バースで無料のPCR検査を実施した。松山で働く飲食店従業員らを対象としていたが、その家族や関係者らも訪れ、想定していた400人を大幅に上回る千人以上が殺到。予定よりも時間を早めて検査を終えるなど混乱もみられた。関係者によると、検査結果は5日ごろ出る見込みだが、ずれこむ可能性もあるという。検査は2日も引き続き行われる。
 PCR検査は那覇市と同市医師会、県医師会などが連携して行われた。同市が実施した検査としては最大規模。感染拡大が目立つ松山地域のバー、ナイトクラブ、飲食店などで勤務する従業員を対象に2日間で800人前後の来場者を見込んでいた
 検査は開始1時間ほど前から順番を待つ人の列が目立ち始めたため、予定より15分早めて開始。順番を待つ車の列で渋滞が発生するなど、来場者が途絶えず、終了予定時間の1時間前には用意していた千人分の検査キットがなくなった。
 対応に当たった市職員は、「松山の接客業の方を中心に限定的にやっていこうという思惑だったが、想定外の人数が来てしまった」と話していた。

在日米軍コロナ感染 行動歴など非公表 更新は週2回、感染者数のみ
しんぶん赤旗 2020年8月2日
 在日米軍基地内で、新型コロナウイルス感染症が急拡大しているなか、在日米軍司令部は感染状況の公開を求める世論に押され、7月21日からホームページで基地別の新型コロナ感染者数の公表を始めました。
 ただ、情報の更新は週2回しかなく、感染者数を掲載するだけです。7月31日午前9時現在で127人の陽性が確認されていますが、米兵か軍属か家族なのかなどの属性や、感染経路、行動履歴などの詳細な情報は公表していません
 新型コロナの感染防止には迅速な対応が求められ、そのためには感染状況の詳細な情報が不可欠です。
 にもかかわらず、河野太郎防衛相は7月31日の記者会見で、米軍に情報提供の改善を申し入れる考えはあるかと問われたのに対し、「在日米軍とそれぞれ担当する保健所の間で、情報のやり取りが既に行われており、それ以上必要ない」などと強弁しました。
 米軍関係者の感染が爆発的に広がった沖縄県は、米軍基地内の感染者数の情報を毎日更新し、基地従業員の検査状況などもあわせて公表しています。
 感染拡大を抑止し、基地周辺住民の安全・安心を確保するためにも、全ての在日米軍基地で感染者の行動履歴や濃厚接触者の有無などの詳細な情報を公表するよう、政府として米軍に求めることが必要です。


社説[各地で感染急拡大]国会召集し対策を示せ
沖縄タイムス 2020年8月2日
 新型コロナウイルス感染者の急増を受け、県独自の「緊急事態宣言」が発令された。
 県の病床利用率は100%を超え、差し迫った状況にある。「感染爆発」が懸念される中、やむを得ない判断だ。
 1日も新たに58人の感染者が確認され、累計は453人となった。警戒レベルは上から2番目の「感染流行期」に引き上げられている。
 感染急拡大に、どう対応していくのか。
 県が打ち出したのは15日まで▽本島全域における不要不急の外出自粛▽那覇市内の飲食店に対し営業時間の短縮▽松山地区の接待を伴う飲食店などへの休業の要請である。
 休業要請に応じた店には20万円、短縮営業に応じた店には10万円の協力金をそれぞれ支給する。不十分な額とはいえ、財政への負担が大きい協力金の支払いに踏み切ったのは、ここで食い止めなければという危機感からである。
 他方、県をまたぐ移動については、県民に対し往来自粛を求めつつ、県外からの来訪は「慎重に判断」という分かりにくい対応になった。
 観光依存度が高い経済だけに厳しい措置では事業者が持たないとのぎりぎりの判断なのだろう。クラスターを抑え込む集中的な対応で感染対策を取りながら経済を回したいとの思いがにじむ。
 相反する二兎(にと)をどのように追っていくのか。県の対応にはおのずと限界がある。自治体の財政力格差が感染防止策格差を招くようなことがあってはならない。政府は今こそ財源を含め、より踏み込んだ対策を示すべきだ。
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 「アベノマスク」や「Go Toキャンペーン」に象徴されるように、政府のコロナ対策は、ちぐはぐで一貫性がなく、投入した予算に見合った効果を上げていない。
 官邸主導の政策決定がコロナ対策では機能しなくなり、官邸と与党、政府と都道府県、国民の間にずれやきしみが目立つようになってきた。
 沖縄県以外でも、飲食店の休業や営業短縮を求める動きが相次いでいるが、私権を制限する以上、補償が不可欠である。独自の判断で感染防止策を進める自治体にとって大きな悩みが協力金の財源確保だ。
 新型コロナ特措法には、私権制限への補償規定がない。国と都道府県の権限・役割の分担もあいまいである。
 政府・与党は、憲法に基づいて野党が要求している臨時国会を早急に開き、特措法改正など当面の課題を話し合うべきだ。
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 このような重大な時期に、国会の会期延長に応じず、閉会中審査にも出席せず、記者会見もやらない。説明責任を果たすことなく逃げ続ける安倍晋三首相の姿勢はあまりにも異様である。
 少しずつ増えているとはいえPCR検査もまだ不十分だ。
 検査と隔離を徹底することによって、経済を回しながら感染拡大を防ぐことが可能になる。なぜそれが十分でないのか。
 安倍首相が国会で説明責任を尽くすことが、切実に求められている。