2020年8月9日日曜日

国会召集要求拒絶を糾弾しない野党(植草一秀氏)

 野党は先に憲法第53条の規定に基づいて国会召集を要求しましが、安倍首相はこれまでと同様に平然と無視する構えを見せています。内閣が憲法の規定によ国会を召集する義務を負っていることは最近の那覇地裁判決も認めているところです
 植草一秀氏は、野党は黙って引き下がるべきでなく、国会召集要求への拒絶を糾弾し、憲法を破壊する安倍首相には即刻職を辞してもらう必要があるとしています

 コロナの感染拡大とGo Toトラブルキャンペーンとの関連について、植草氏は、Apple社が公表している人の移動指数データ推移が4週間後の東京都の新規感染者数と連動することを示してきました。今回の記事で最新のグラフが公表されました。

 植草氏の記事を紹介します。
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国会召集要求拒絶を糾弾しない野党
植草一秀の「知られざる真実」 2020年8月 7日
コロナは人々を死活問題に追い込んでいる。コロナで命を落とす人も多い。
日本では1000人強だが、米国では16万人もの人がコロナで命を失っている。
その日本でも感染者数が急増している。
4月の感染者増加局面では「緊急事態宣言」が発出された。人々は厳格な行動抑制を実行した。その結果として新規感染者数が急減した。
この局面で慎重に対応するべきだった。ところが、安倍首相は5月25日に、全国すべての都道府県の緊急事態宣言を解除し、「わずか1ヵ月半で感染を収束させることに成功した。日本モデルの力を示した」と豪語し、行動再拡大を誘導した。

その結果、この発言からわずか1ヵ月半で感染者減少はあとかたもなく消滅した。史上最大の感染者数が連日報じられることになった。
安倍首相は中国政府が武漢市を封鎖した翌日の1月24日に、中国国民に対して春節の休みを利用しての訪日を要請した。最低最悪のコロナ対応を続けている。

安倍内閣は4月の感染者数急増局面では「緊急事態宣言」を発出したが7月以降の感染者数急増局面では逆の行動を示している。
Go Toトラブルキャンペーンで大都市から地方への人の移動を促進している。人の移動とともにウイルスが拡散される。安倍内閣はコロナ感染症の感染拡大を推進している。
私はApple社が公表している人の移動指数データ推移が4週間後の東京都の新規感染者数と連動することを示してきた。いまも連動関係は維持されている。

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人の移動指数は6月26日にピークを更新した。小池都知事がすべての営業自粛要請を解除したことなどが背景だ。
この人の移動拡大を背景に7月末にかけて新規感染者数が急増した。
その人の移動指数データが7月22日にさらにピークを更新した。安倍内閣がGo Toトラブルキャンペーン開始を強行した日である。
これに連動して8月19日頃に発表される新規感染者数が最高値を更新する可能性が高い。
感染者数推移の特徴は、日を追うごとに感染者数の基準値が増加する点にある。
新たな感染者が別の新たな感染を引き起こす。感染拡大は等差級数ではなく、等比級数で拡大する。このために、新規感染者数の規模が増大してゆくものと考えられる。
東京都の感染者数が1日1000人を超える事態に移行する可能性が高い。

東アジアでのコロナ感染症の致死率は低いと考えられる。シンガポールの致死率は英国の300分の1である。しかし、手放しの楽観は許されない。
ウイルスが変異によって強毒化する可能性を否定できない。
安倍内閣が推進しているコロナ感染拡大策は極めてリスクの大きなものだ。東京都の小池都知事は帰省自粛を呼びかけている。行政部門内が完全な支離滅裂に陥っている

この局面でフル稼働しなければならないのが国権の最高機関である国会だ。
野党は日本国憲法第53条の規定に基づいて国会召集を要求した。内閣は憲法の規定により、国会を召集する義務を負っている。6月10日の那覇地裁判決がこのことを明確にした。
ところが、安倍首相は平然と憲法の規定を無視する構えを示している
日本国憲法には
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
との定めが置かれている。
速やかに国会を召集しない安倍首相は二重の意味で憲法に違反している。
野党は黙って引き下がるべきでない。憲法を破壊する安倍首相には即刻職を辞してもらう必要がある。
(以下は有料ブログのため非公開)