収束の兆しが見えない新型コロナウイルスへの対応や、大きく落ち込んだ経済の立て直しなど、待ったなしの課題が山積しているなか、安倍首相は19日午後、3日間の夏季休暇を終えて公務に復帰しました。
注目の健康状態については記者団に、「体調管理に万全を期すために検査を受けた。これから再び仕事に復帰し、頑張っていきたい」と語りました。
しかし健康状態をめぐっては、首相の周辺は対外的には体調懸念の払拭に躍起となる一方で、政府・与党内でも潰瘍性大腸炎が深刻化しているとの見方が強まっています。自民党の幹部で「病状は相当重いようだ」と指摘する人もいます。
今月24日には12年末の第2次政権発足からの連続在職日数で歴代単独1位になりますが、当然政権内に記録更新の高揚感はありません。
日刊ゲンダイが、「永田町は“安倍重病”を前提に動きはじめている」とする記事を出しました。そこでは
「首相が激ヤセしたのは1カ月近く、モノを食べられなくなっている可能性がある」「受診せざるを得ないほど体がきつかったのだろう。慶大病院では『がんの検査』と『潰瘍性大腸炎の治療』を受けた」
などと述べています。
またこのまま首相を続けられるかについては、政治評論家の本澤二郎氏の、
「焦点は、9月に予定されている内閣改造をやれるかどうかで、改造人事をやった直後に体調が悪化して政権を放り投げたら、無責任だと批判される。体力に自信がなかったら、内閣改造の前に退陣する可能性が高いでしょう」
という見解を紹介しています。
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安倍首相“激ヤセ”と13年前の悪夢 内閣改造前の9月退陣説も
日刊ゲンダイ 2020/08/19
安倍首相が7時間半も慶応病院に滞在したことで、政界では早くも「9月退陣説」が飛び交いはじめている。永田町は“安倍重病”を前提に動きはじめている。いったい、どんな体調なのか。退陣は近いのか。
安倍首相の体調がかなり悪化していることは、間違いない。ここ数日、歩幅が小さくなり、歩くスピードも極端に遅くなっていた。12日、記者団に「黒い雨」訴訟への政府見解について話した時も、声はかすれて小さく、現場の記者はほとんど聞き取れなかったという。
周囲が懸念しているのは、激ヤセだという。たしかに目がくぼみ、ふっくらしていた頬から肉がそげ落ちている。17日の日本テレビは、「最近、総理が昼飯を残すようになったと官邸の関係者が言っていた」と報じている。7月22日夜、東京・銀座のステーキ店で、自民党の二階俊博幹事長やプロ野球ソフトバンクホークスの王貞治会長などと会食した時も、一人だけ食べる量が少なかったという。もう、1カ月近く、モノを食べられなくなっている可能性がある。
最新号の「週刊新潮」によると、7月上旬、総理官邸の執務室で食べたモノを吐き、吐瀉物のなかに鮮血が混じっていたという。
「7時間以上も病院にこもったら、健康悪化を疑われることは分かり切ったことです。それでも安倍さんは、受診せざるを得ないほど体がきつかったのでしょう。当日朝、わざわざ今井尚哉補佐官が総理の自宅に迎えに行っている。めったにないことです。よほど心配だったのでしょう。もともと、入院する予定だったのに、記者が病院に殺到して大騒ぎになったため、日帰りになったともいわれています」(官邸事情通)
慶応病院では「がんの検査」と「潰瘍性大腸炎の治療」を受けた、と報じられている。持病の潰瘍性大腸炎は、これまで特効薬のアサコールとステロイドで症状を抑えてきたが、抑えられなくなり、顆粒球吸着除去療法(GCAP)という治療を受けたとみられている。透析のような治療だ。血液を取り出して白血球を除去する機械に通し、再度、血液を戻すという。
所信表明演説までやりながら直後に辞任
はたして、この体調で総理をつづけられるのか。政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「焦点は、9月に予定されている内閣改造をやれるかどうかです。もし、改造人事をやった直後に体調が悪化して政権を放り投げたら、無責任だと批判される。13年前、国会で所信表明演説までやりながら、その直後に辞任した時の再現になってしまう。体力に自信がなかったら、内閣改造の前に退陣する可能性が高いでしょう」
安倍首相は19日午後、首相官邸に出邸。自身の健康状態について「体調管理に万全を期すために先般検査を受けた。これから再び仕事に復帰してがんばっていきたい」と述べた。
国会も開かず、閉会中審査にも出席せず、記者会見も開かない。それほど体調が悪いなら、本人のためにも即刻、辞任した方がいい。