野党は、憲法53条に基づいて安倍政権に対して臨時国会の開催を要求しましたが、政府は一向に応じる気配を見せていません。
この開催要求は2015年と2017年にも行っていますが、片方は冒頭解散に利用しもう一つは事実上無視しました。
立憲デモクラシーの会が13日、無視を決め込む政府を批判する会見を行い「安倍内閣の度び重なる憲法第53条違反に関する⾒解」を出しました。
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安倍内閣の度び重なる憲法第53条違反に関する⾒解
立憲デモクラシーの会 2020年8月13日
新型コロナウィルスの感染拡⼤と経済活動の⼤幅な収縮に⻭⽌めが掛からず国⺠⽣活が深刻な危機に⾒舞われるさなか、国会は閉じる⼀⽅で、来⽉にも国家安全保障会議で「敵基地攻撃能⼒」の保有に向けた新しい⽅向性を⽰す安倍晋三政権の意向が報じられている。
コロナ対策の当否など⽕急の案件だけでなく、国政上の深刻な課題が⼭積しているにもかかわらず、安倍⾸相は国会の閉会中審査に姿を現さず、記者会⾒もまともに開かず、何より憲法53条に基づく野党による臨時国会開催要求にさえ応じない。これは、主権者たる国⺠に対する説明責任を徹底して回避していると⾔わざるをえない。
そもそも憲法53条後段は、国会閉会中における⾏政権の濫⽤を防⽌する⽬的で、⼀定数の議員の要求により国会が⾃主的に集会する制度を設定したものであり、「いづれかの議院の総議員の四分の⼀以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」とするのは、衆参どちらかの少数派の会派の要求がありさえすれば、国会の召集の決定を内閣に憲法上義務づけたものである。
また、議員からの召集要求があった以上は、召集のために必要な合理的期間を経た後は、すみやかに召集すべきであるとするのが学説の⼀致した⾒解であり、近年は政府でさえ「合理的期間を超えない期間内に臨時国会を召集しなければならない」(2018 年2 ⽉14 ⽇横畠裕介内閣法制局⻑官答弁)と認めている。さらに、本年6⽉10⽇那覇地裁判決は、「内閣が憲法53条前段に基づき独⾃に臨時会を開催するなどの特段の事情がない限り、同条後段に基づく臨時会を召集する義務がある」とする。議員の要求によって召集される臨時国会での審議事項は、上記の⾃律的集会制度の本質上、内閣提出の案件の存否にかかわらず、各院において⾃ら設定しうるものである。内閣の準備不⾜などとして、召集時期を必要な合理的期間を超えて⼤幅に遅らせようとするのは、憲法53条後段の解釈・適⽤に前段のそれを持ち込もうとする悪意すら感じさせる。
2015年と2017年につづいて2020年にもまた、このような憲法違反が常態的に繰り返されようとする事態は看過できない。そうした中、憲法上重⼤な疑義のある「敵基地攻撃能⼒」が政権・与党内で軽々しく論議されていることも、現政権の姿勢を⽰すものと⾔える。敵基地攻撃は国際法上preemptive strike すなわち先制攻撃と⾒なされるのは明らかで、政権内の⾔葉遊びですまされるものではない。安倍政権はいずれ終わるとしても、その負の遺産は消えない。これ以上、⽴憲主義や議会制⺠主主義を冒瀆することを許してはならない。